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診療圏調査は信ぴょう性がある? 実績のある調査会社は?

診療圏調査は信ぴょう性がある? 実績のある調査会社は?

診療圏調査

クリニック開業前には診療圏調査をおこなったほうがいいと言われていますが、果たして診療圏調査には信ぴょう性があるのでしょうか? 診療圏調査の結果、予測が立った患者数と実際の来院数とに大きな開きがあるということはないのでしょうか? また、診療圏調査を自院でおこなうのが難しい場合、どんな業者に頼めばいいのでしょうか? 早速みていきましょう。

診療圏調査とは?

診療圏調査とは、その場所にクリニックを開業した場合、1日当たりどのくらいの患者数を見込めるかを把握するための調査です。算出された推定患者数が大きければニーズが高く、数値が小さければ既にそのエリアの人口に対して医療機関が十分あるということになります。開業した結果、ほとんど患者が来なければ廃業へと追い込まれる可能性もあるので、事前にしっかりと診療圏調査をおこなうことが理想です。

なお、推定患者数は以下の公式によって導くことができるので、必要な数字を調べるのが手間でなければ自分でも算出することができます。

≪推定患者数を割り出すための基本式≫

エリア人口×受療率÷(科目別競合医院数+1(=自院))=推定患者数

診療圏調査の信ぴょう性は?

診療圏調査の計算式によって割り出される患者数は、あくまでも"推定"患者数です。ということは、蓋を開けてみたらまったく予想と違ったということもあるのでは……? と思う人もいるでしょう。

しかも、どこまでを"エリア"ととらえるかなどによって算出される数字自体大きく異なります。そのため、自分で算出した場合は特に、診療圏調査の数字をアテにしすぎないほうがいいといえます。

ちなみに、エリア範囲の目安は以下になります。

一般内科の場合

都市部であれば電車で移動する人が多いため駅徒歩3分以内、郊外であれば車で5~10分以内

耳鼻科、精神科など特定の疾患に対応しているマイナー科の場合

都市部なら半径500mから1km前後、郊外なら半径2kmから4km前後

産婦人科(婦人科)、泌尿器科、精神科(心療内科)、美容皮膚科などの超マイナー科や、下肢静脈瘤などの手術をおこなうクリニックの場合

都市部で急行が止まる駅なら駅徒歩3分、鈍行しか止まらない駅なら駅徒歩1分

※2021年11月25日に開催されたオンラインセミナー『開業物件の選び方と集患・増患施策がわかる 院長がゼロから教えるクリニックの経営戦略』から一部抜粋

診療圏調査を実施する際の注意点

より信頼できる数値を算出するには、以下の点にまで目を向けながら診療圏調査を実施することが望ましいです。

1 競合の強度

患者からすると、同じ診療科であればどこでもいいというわけではありません。評判が悪いクリニックは避けたいと思うのは当然の心理ですし、最新の医療機器をそろえているなどの好条件があればそちらを選びたいと思う場合もあるでしょう。

それだけでなく、「駐車場があって車が停めやすい」「夜間や土曜なども診療している」なども強度につながります。これらすべての情報を自分で調べようと思うと大変なので、自分には難しそうだと感じるならプロに頼むのが得策です。

2 人口世帯特性

高齢者が多いエリア、ファミリー層が多いエリアなど、地域によって特性は異なります。たとえば生活習慣病や認知症などの予防医療に力を入れているなら前者のエリアのほうが患者が見込めますし、小児科であるなら後者が理想的でしょう。

3 人口の動向

長年診療をおこなっていくのですから、現在の世帯特性だけでなく、将来的にその土地のターゲット数が減る可能性があるかどうかもしっかりチェックすべきです。市役所に行けば今後10年間の都市計画については教えてもらえます。交通網の整備やショッピングモール建設などの構想が盛り込まれている場合、人の流れが大きく変わることがあるので注意が必要です。

4 昼間人口と夜間人口の違い

住民基本台帳の人口は夜間人口とイコールですが、クリニックの診療時間は基本的に昼間でしょう。そのため、都市部の開業でオフィスワーカーなどをターゲットとしている場合は、想定とは数が大きく異なる可能性が高いです。昼間人口と夜間人口の違いを把握するためには、実際に現地に足を運んで定点観測することがもっとも有効です。

5 地域住民の心理的障壁

市町村合併でひとつの街になったものの、それぞれの地域の住民がもともと街の中で生活を完結していた場合など、その地に住んでいなければわからない心理的障壁もあります。これに関して自分で調べるには限界がありますが、インターネットの検索や役場の人に話を聴くことなどはできるでしょう。

自院で簡単に診療圏調査できるアプリやwebサイトは?

診療圏調査を自分でおこなう際には、以下のアプリやサービスが役立つでしょう。

日経メディカル開業サポート 簡易診療圏調査機能

「候補地の住所」「診療科目」「調査範囲(半径500m、半径1,000m、半径1,500m、半径2,000m、半径3,000mから選択)」の3つを入力するだけで簡単な調査が可能です。

参照:日経メディカル開業サポート 簡易診療圏調査機能

MEDIVAスマートフォンアプリ「診療圏調査」

日本全国の外来患者の簡易市場調査を、住所の入力のみで実施できます。昼間人口、夜間人口をもとに算出した推定患者数を得ることができます。加えて、検索地域の競合となる医療機関もチェックすることができます。ダウンロードすれば登録不要で無料で使えます。調査結果が履歴として保存されるため、いくつかの候補地を比較検討したいときにも役立ちます。

参照:MEDIVA スマートフォンアプリ「診療圏分析」

MiSol (マイソル)「クラウドASPサービス」診療圏分析

日本全国の商圏分析が可能なクラウドASPサービスのコンテンツのひとつ「診療圏分析」なら、既存医療機関の推定患者数と実績データ比較がおこなえます。5年ごとの市町村別将来推計患者数も取得可能です。

参照:MiSol クラウドASPサービス 診療圏分析

専門家に依頼するならどこ?

続いては、診療圏調査をおこなっている業者を紹介します。

シャープファイナンス株式会社

医療系のリースもおこなっているシャープファイナンス株式会社の診療圏調査は、無料でおこなってもらうことができます。調査希望地の住所(2か所までOK)や開業予定日などを記してメールするだけで実施してもらえるので、利用しない手はありません。

参照:シャープファイナンス株式会社

株式会社日医リース

医療専門リースの日医リースは、推定患者数のほかに競合先の情報一覧、診療圏地図なども提供してくれます。そのほか、開業無料相談にも応じてくれるので、頼れるパートナーとして覚えておくといいでしょう。

参照:株式会社日医リース

富田薬品株式会社

調査エリアは九州7県のみ。推定患者数および競合院数を除した1日平均来院予測数、診療圏内の年代別人口構成、分析結果地図を提供してもらえます。

参照:富田薬品株式会社

株式会社ケーエスケー

開業支援や診療サポートもおこなう株式会社ケーエスケーは、競合施設の状況なども考慮しながら推定患者数を算出するシステムを導入しています。

参照:株式会社ケーエスケー

診療圏調査は複数社に依頼するのがおすすめ

診療圏調査は、自分でおこなう場合もプロに頼む場合も、ひとつの結果のみで満足することなく、いくつかの結果を照らし合わせることがおすすめです。算出された結果が大きく異なるなら、どの条件が違うために差が出たのかを確認したり、算出しなおしたりするのが正解。物件選びが開業には最も重要で、開業後に集客がうまくいかなくて残念な思いをすることがないよう、時間をかけて調査をおこなってくださいね。

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