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【さすが先生】精神科ドクターの患者対応エピソード

【さすが先生】精神科ドクターの患者対応エピソード

【さすが先生】精神科ドクターの患者対応エピソード

精神科ではさまざまな事件が発生します。患者さんが不可解な行動をするのは日常茶飯事。脱走計画、看護師へのプロポーズは朝飯前です。そんな精神科病院で患者さんと向き合いながら治療をおこなうのが精神科ドクター。今回は、さすが先生だな、と看護師が唸った精神科ドクターの患者対応エピソードを2つ紹介します。

とある秘密を隠していたAさん

とある秘密を隠していたAさんと精神科ドクターとのエピソードを紹介します。

以前入院していた凶暴なAさん

以前入院していたAさんは、横暴な態度のため看護師から怖がられていました。Aさんは医師や看護師、他の患者さんに対して大声で攻撃的な態度を取ります。手が出ることもあるので危険人物としてマークされていました。しかし、薬の調整によって症状がコントロールできるようになり、なんとか退院しました。

そんなAさんが再入院してきた

そんなAさんが冬の寒い時期に再入院してきました。アパートでの問題行動が続いて住民に通報され、警察介入での入院でした。

警察官と共に病院まで到着したと報告を受け、病院玄関まで迎えに行くことに。以前入院していた際の凶暴なイメージがかなり強かったため、看護師大勢で迎えに行きました。すると、借りてきた猫のように静かなAさんが警察に頭を下げているのを発見。看護師は顔を見合わせあい驚きました。

以前の凶暴さは微塵も感じさせないほど謙虚な態度で、看護師に対して「お久しぶりです。またお世話になります」と頭を下げられました。

入院後も穏やかなAさん

病棟まで案内し、主治医と顔を合わせるとAさんはまた深々とお辞儀しました。以前は医師に対してもまくし立てるように話していたのに、今は敬語で笑顔を浮かべ話しています。

私達看護師はAさんが改心したのだと思って、その様子を眺めていました。その後、Aさんを病室に案内し、ナースステーションに戻ると医師が神妙な面持ちで「Aさんに薬物検査受けてもらおう」と言い出したのです。

精神科病院では、興奮状態や錯乱状態の患者さんや違法薬物使用歴のある患者さんに尿を採取してもらい、尿中に違法薬物の成分があるか調べる場合があります。主治医はAさんがあまりにも人が変わったので、何か隠しているのじゃないかと疑っていたようです。

Aさんの尿検査の結果

そしてAさんの薬物検査を実施することに。大きな病院だったので検査科に尿を提出するとすぐに結果が出ました。

Aさんの尿中からは、METH、TCAの反応が出ました。METHは覚せい剤、TCAは抗うつ薬の反応です。抗うつ薬は違法ではなく、きっと病院で処方されて飲んでいたのでしょう。ですが、しっかりと覚せい剤の反応も出てしまったAさん。医師を交えて話を聴くと、友人と集まったときに使用してしまったと白状しました。

薬物使用をずばり見抜いた精神科ドクター

先生は、患者さんの態度の変化で薬物使用を疑いました。Aさんには薬物使用歴はないとのことでしたが、もしかしたら以前にも使用したことがあったのかもしれません。なぜなら主治医いわく「いきなり覚せい剤に手を出すのは考えにくい。友人と集まって使用するのは常習性を感じるし、もっと別のドラックも使用していたんだと思う」とのこと。

精神開始の勘の鋭さに驚かされた一件でした。

夏になると入院してくるBさん

夏になるたびに再入院するBさんと精神科ドクターとのエピソードです。

入院してくるときは憔悴しているBさん

私が勤めていた精神科病院には、夏になると再入院してくる患者さんがいました。その患者さんは、無口であまり素性を話したがらない人でした。

入院するときには憔悴しきっており精神状態もかなり悪いのですが、入院して2、3日ですっかり回復する、というのがBさんの特徴です。入院すると安心感から一気に症状が和らぐ患者さんも多いので、Bさんもこのタイプなのかなと感じていました。

Bさんが夏に入院する理由

ただ、Bさんが毎年夏になると入院して、秋の始まりには退院するというサイクルを繰り返しているのが不思議でした。

あるとき、主治医がこんなことを言い出しました。「Bさんは、夏は入院したほうが都合いいことがあるんじゃないかな」。夏には入院したほうが都合がいいこと、そう言われて医師と看護師みんなで首をひねって考えましたがなかなか答えは出ずにいました。

数日後、主治医がBさんの自宅を訪問しようと言い出しました。私はなんの目的があるのか分かりませんでしたが、住居環境の視察というも目的でBさんの家を訪問することに。入院中のBさんに声をかけると静かに同意されたため、Bさん含め数人で家に向かいました。

Bさんの家の秘密

Bさんの家はまるで小屋のような控えめな造りでした。日当たりがよさそうで夏場は暑いだろうなと思いました。ですが、室内も想像以上にキレイで、Bさんは症状が安定していたら生活能力が十分にあるんだなと思いました。

病院に戻ると、先生は「Bさんは、夏は病院じゃなきゃ過ごせないんだね」と言いました。私はその言葉の意味が分からず、どういうことなのか尋ねると、「エアコンがなかったでしょ? 夏はあの家では過ごせないよ」と。

先生にそう言われて家の中を思い返してみると、確かにBさんの家にはエアコンがありませんでした。田舎の盆地にあり日当たりもよく、夏場はかなり暑そうだなあと思いましたが、だからか! と納得。Bさんは、夏の暑さから逃れるために入院していたことが判明しました。

Bさんの入院理由をずばり見抜いた精神科ドクター

住居環境にまで目を向けて考えた精神科ドクターはさすがだと思いました。

その後、Bさんはソーシャルワーカーを交えて話し合い、家にクーラーを設置できるよう生活保護費の見直しをおこなうことに。入院理由もはっきりしてみんなすっきり。Bさんは、無事にクーラーを手に入れられました。

まとめ

いかがでしたか?

今回は精神科で起きた「さすが先生!」というエピソードをまとめました。

多角的な視点から患者さんを見たり、疑いの目を持って真相を見抜いたりする能力を垣間見ると、さすが精神科の先生だなあと感心しますよね。

精神科ドクターの目はごまかせないので、みなさんも注意してくださいね。

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