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「診療圏調査」とは? 開業するなら調査必須

「診療圏調査」とは? 開業するなら調査必須

クリニックの経営がうまくいくかは「立地」にかかっています。クリニックを開院するなら患者さんを多く集められる場所、勝てる場所を探すことです。逆にいえば、勝てる場所だと確信が持てないなら開院してはいけません。

ここで重要になるのが「診療圏調査」です。

「診療圏調査」とは?

「診療圏調査」とはマーケティング調査の一種で、このエリアにクリニックを開院すると「1日○人の患者さんを見込める」といったリポートを出すものです。物件がすでに特定されているのであれば、「この物件で開院した場合には1日に○人の患者さんを見込める」といったリポートになります。

この調査には、該当エリアでの以下のようなデータが含まれます。

    • 人口(昼間人口/夜間人口)
    • 人の動線
    • 交通事情
    • 年齢階級の構成
    • 男女比
    • 医療機関の数と種類、標榜科目の種類
    • 各医療機関の営業日時・休日
    • 各医療機関の設備
    • 各医療機関の患者数
    • 各医療機関の経営状態、評判
    • 各医療機関のHP、アクセス状況
    • 医師の人数
    • 各医師のプロファイル
    • etc.

    普通は誰しも歩いて通えるクリニックがいいはずです。「例えば徒歩10分以内」の人々が患者さんになるはず、と考えるなら不動産業の基準「1分 = 80m」なので、徒歩10分で「800m」。つまり、クリニックを中心として半径800mの円を描けば、基本その円内に居住する人が潜在的な患者さんになるはずです。

    各地方自治体のデータなどで人口を調査し、エリア内の戸数を数え上げれば、おおよそのエリア内の人口が出ます。単純な話ですが、その人口に受療率を掛ければ「患者さんになる可能性のある人数」は推測できます。

    しかし、これは非常にシンプルな推算です。もしこの程度の診療圏調査で済むのなら外注せず、自分で時間を作って行えばできます。外注を頼むだけお金の無駄です。

    実際の診療圏調査では、そのエリアの「人の動線」や「時間による人口の変化」なども調べます。例えば、昼間の人口の非常に多いエリアがあったとしても、それが学校や企業があり、他の場所から移動してきた人口だったらどうでしょうか? 住民でないのならそのエリアにあるクリニックにかかることは少ないはずです。また、整形外科を開院するのなら年齢層の高いエリアがいいでしょうし、女性向けのクリニックなら女性の数が多いエリアを選ばなければなりません。

    さらに重要なのはライバルとなる医療機関の情報です。エリアにはどんな医療機関があって標榜科目は何なのか、患者数はどのくらいなのかなどの情報は必須です。既存のクリニックの評判も重要です。もし評判が悪いのなら患者さんを奪える可能性があります。また非常に高齢な医師ならリタイアするかもしれません。

    端的にいえば「診療圏調査」とは、クリニックを開院して勝てるかどうか調べることです。

    調査会社、コンサルタント会社も利用できる!

    上記のとおり、自分で少し調べれば分かるデータもあります。しかし、どうしても時間がない、またより詳細なデータと分析を入手したい、という場合には外注します。ネットで検索すれば、「診療圏調査を行います」という調査会社、医療系のコンサルタント会社などがたくさんヒットするはずです。

    このような会社を使うのであれば、できるだけ場数を踏んだ、経験のあるところを選ぶようにしましょう。また、どのような調査を行うのか、リポートの項目はどのようなものなのかも確認してください。

    半径1km以内の人口(潜在患者さん人口)を調べます、程度であればやめておくのが良いでしょう。

    2020年には『株式会社メディヴァ』から「診療圏調査」というスマホの無料アプリが出ているほどです。

    ↑『MEDIVA』の「診療圏調査」。iPhone、Android対応

    参照・引用元:『MEDIVA』「スマートフォンアプリ『診療圏調査』」

    このアプリを使うと「国内の任意の場所で、各診療科の1日あたり推定外来患者数を調査」することが可能としています。

    ただし、このような調査会社のリポートをそのまま鵜呑みにするのは危険です。調査会社が失念している意外なファクターがあって、1日の来院患者予測が外れることもあるからです。

    例えば「地形」。診療圏と推測して描いた円内に川や幹線道路があって、それを越えて人が来ないなどです。以下の「医院開業成功へのヒント」という記事では、コンサル会社の予測が「1日60人」だったのに、実際に開業してみたら「1日に平均4人弱しか患者さんが来ない」という例が書かれています。そうなった理由は「半径2kmの診療圏内の北には東西に流れる河川」などがあったためでした。これは「地形」を重要視していなかったための失敗です。「診療圏調査」のリポートが信用できるものではなかった例です。

    つまり、「診療圏調査」は非常に重要ですが、信じすぎてもいけないということです。調査会社に依頼しても、できる限り現地に行き、リポートの真偽を確認するようにしてください。

    参照・引用元:『フクダ電子株式会社』「データの甘い診療圏調査に注意 口コミが期待できる立地を選ぶ」

    クリニックを開業するなら、診療圏調査は必須です。また診療圏調査は勝つクリニックをつくるためのものです。できるだけ妥協せず、多くの項目を調べてください。よく調べられたリポートに納得の上、クリニックを開院するようにしましょう。