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医療機関における広告ガイドラインで気を付けるべきこと2020年

医療機関における広告ガイドラインで気を付けるべきこと2020年

クリニックを開業すれば、多くの人にクリニックの存在を知ってもらうために宣伝をしないといけません。しかし、宣伝のために出す広告には「ガイドライン」が定められており、これに違反するものは掲示することができません。今回は、「医療広告ガイドライン」について基本的な内容や注意すべきことをまとめてみました。

医療広告ガイドラインとは?

「医療広告ガイドライン」は、厚生労働省が定めた医療関連の広告に関する取り決めです。医療は人の生命・身体に関わるサービスです。そのため、不適切な処置を受けた場合の影響は計り知れません。また、医療関係者ではない人の場合、誤った内容、怪しい内容の広告なのか見抜くのは難しいため、医療に関する広告は、客観的で正確な情報を掲載するよう定められています。

医療広告ガイドラインでは、次のような広告を禁じています。

  1. 比較優良広告
  2. 誇大広告
  3. 公序良俗に反する内容の広告
  4. 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
  5. 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告

単純にいえば、ほかと比較する広告、効果を誇張した内容、紛らわしい内容はNGということです。また、品位を損ねる内容や、医療に関する広告としてふさわしくない広告もNGとしています。

医療広告ガイドラインで気を付けるべき点

ガイドラインでは、「患者の受診等を誘引する意図があること」と「医師の名前、もしくは病院・診療所の名称が特定可能であること」を満たしている場合に、広告に該当すると見なしています。ただし、これらの要件を満たしていない場合でも、内容によって実質的に広告だと判断される場合もあります。厚生労働省では、「実質的に広告と判断されるもの」として以下のような例を挙げています。

  1. 「これは広告ではありません。」などと記述してあるが病院名等が記載されている
  2. 「医療法の広告規制のため、具体的な病院名は記載できません」と表示をしているが、住所や電話番号などから病院が特定できる
  3. 治療法等を紹介する書籍、冊子及びウェブサイトの形態をとっているが電話番号などから病院が特定できる

このような場合は広告と見なされ、規制の対象となるとのこと。たとえ意図的に規制逃れしようとしたのではなくても、内容によっては広告と見なされるケースもあるため、注意が必要です。また、暗示的、間接的な表現も広告となり得ます。

広告の規制対象となるのはチラシやパンフレット、看板だけでなく、新聞、雑誌、放送、Eメール、ビデオ、口頭で行われる演述も含まれます。そのため、医師・医療関係者だけでなく広告代理店、マスコミ、患者や一般人も規制対象です。日本国内向けの広告であるならば、海外の企業や在住者も対象となります。

一方で、通常広告と見なされないものとしては、

  1. 学術論文・発表など
  2. 新聞や雑誌などの記事(誘因性を有さないもの)
  3. 患者等が自ら掲載する体験談、手記など(病院からの依頼でないもの、誘因性を有さないもの)
  4. 院内で掲示、配布するパンフレットなど
  5. 医療機関の職員募集に関する広告

が挙げられます。線引きが難しいですが、誘因性を有さないものや、院内パンフレットなどすでにその医療機関を受診している人向けの情報であれば、広告としては見なされません。

どんな内容のものがNG?

NGとなる表現は非常に多く、例えば「専門外来」という言葉は、診療科名と誤認を与える事項のため広告に使用できません。また、よく耳にする「死亡率」や「術後生存率」といった医療提供の結果を表示することは、適切な選択に資する情報でないと見なされており、使用は禁じられています。ほかにも、未承認医薬品による治療も広告可能ではありません。

上でも挙げたように、「誇大広告」も当然ですがNG。「絶対安全」といった医学上あり得ない表現や、加工・修正した写真の掲載、データの根拠が示せない情報など公正な結果でないものを掲載することも禁じられています。

難しいのは「比較優良広告」でしょう。厚生労働省では、「肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です。」「当院は県内一の医師数を誇ります。」などを例に挙げ、最上級の表現や、優秀性について誤認を与えかねない表現は、たとえ客観的な事実であったとしても禁じています。掲載する場合は、明確な調査結果など、合理的な根拠を示す必要があります。新聞社や雑誌社が広告を目的としない形で記事を作ったとしても、「国内最高」など比較優良広告に当たる表現が含まれている場合は、その記事を掲示したり、配布物に引用することはできません。

優秀性をアピールすることは、誘因性を高めるだけでなく、患者に安心感を与えることにもつながるためつい使ってしまいがちです。しかし、誤認を与える可能性もあるため、使うことは禁じられているのです。

広告に該当するのか、OKなのかNGなのかはケースごとに細かく判断が分かれます。厚生労働省では「医療広告ガイドラインに関するQ&A」として、さまざまなシチュエーションでの回答を掲載しています。こちらを参考にするといいでしょう。

参考:厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」

医師略歴中の専門医や学会の表記

広告で院長や所属する医師を紹介することも多く見られますが、広告に掲載できるのは厚生労働大臣または都道府県知事の免許を受けた医療従事者のみです。これに該当しない場合は掲載NGです。医師を紹介する場合は、氏名、年齢、性別のほか、非常勤であれば「非常勤」であると明記する必要があります。これは患者に「常勤であると誤解させないため」です。

また、略歴の中で専門医や学会などを表記する場合が多いと思います。ここでも記載方法が定められており、

  • 医師○○○○(△△学会認定××専門医)
  • 薬剤師○○○○(△△学会認定××専門薬剤師)

といった形で、「専門性の認定を行った団体を明記する」と、ガイドラインで定められています。例えば「○○専門医」など簡略化した表記は、これも患者に誤解を与えるものと見なされ、禁じられています。ここで注意しないといけないのは、学会が厚生労働省に認められている団体であること。もし厚生労働省に届け出をしておらず、認められていない場合は表記できません(ただし条件を満たせば表記可能)。

価格の明示

自由診療の広告は規制が厳しいのですが、治療の内容、費用に関する情報を提供することで広告可能事項が限定解除となります。

例えば、公的医療保険が適用されない旨や、標準的な費用を併記する場合に限って広告が可能。標準的な費用は、「〇万円~〇万円」とおおよその価格で表示する場合でも問題ありませんが、実際に窓口で支払うことになる費用が容易に分かるよう記載する必要があります。

ただし、料金を記載する場合は、

  • 今なら○円のキャンペーン実施中
  • 期間限定で50%オフ

などといった費用を強調した広告は、「品位を損ねる内容」として禁じられているため避けるようにしましょう。

基本的なことから意外と分かりにくいことまで、「医療機関における広告ガイドラインで気を付けるべきこと」をご紹介しました。広告はクリニック経営を成り立たせるために大事ですが、一歩間違えるとクリニックの名を傷つけることになります。広告を出す際には、ガイドラインを順守しつつ、効果的な内容にしたいところですね。

参考:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」