診療予約システムとは?予約システムの種類と機能特徴まとめ
コロナ禍の中、日常的に「三密を避ける生活」が一般的になっています。院内にできるだけ長くいないようにという意識が患者さんにあるため、待ち時間を減らせるようにと「予約システム」を導入するクリニックが増えています。
ここではクリニックで使われる「予約システム」についてご紹介します。
「予約システム」とは? その基本機能と概要
「予約システム」は、
- 患者さんがクリニックに診察の予約を入れる
- クリニックが患者さんの予約を管理する
ためのものです。患者さんは、スマホ・タブレット・PCなどインターネット接続可能なデバイスを用いて診察の予約を入れます。
クリニックでは、患者さんが入れた予約をPCで確認できます。たいていの場合、クリニックにはインターネット接続環境とネットにつながるPCがあれば予約システムを利用可能です。
患者さんには自分の入れた予約の内容を確認する通知が送られます。また、予約日時が近くなると忘れないように警告する通知が送信されます(これを「リマインダー」といいます)。このような仕組みがあるので、患者さんが予約を入れたことを忘れにくく、確実に来院につなげることが可能です。
また、患者さんが予約変更、キャンセルなどを行うと瞬時に反映され、クリニックでは予約システムの管理画面で確認可能です。
さらには、診察時間近くになると患者さんに「診察時間○分前です」などの通知を行う機能を備えています。この通知機能のおかげで、患者さんは特にクリニック内の待合にいる必要はありません。例えば、カフェなどでリラックスして過ごし、通知が来たらクリニック内に入ればいいのです。
患者さんは、院内感染予防にもなり、待合でイライラしながら待たずに済むというわけです。
予約システムの中には他に便利な機能を持つものがある
普通、予約システムは上記のような機能を標準で備えています。しかし、種類によっては他の便利な機能を持つものもあります。
例えば、受付から診察までをスムーズに行えるという予約システムです。
患者さんが予約を行った段階で、患者さんに「バーコード」(あるいはQRコード)と「予約番号」が発行されます。これはある患者さんに一意に結び付いて発行されるようになっています。
患者さんが予約日時にクリニックを訪れ、リーダーにそのバーコード(あるいはQRコード)をかざすと、それで受付が終了します。スタッフと会話を交わす必要はありません。
クリニックの予約システムの管理画面に「受付済」のマークが出て、どの患者さんがチェックインしたのかが分かります。
また、院内のモニターに「現在何番の人が診察を受けていて、何人待っているか」を表示していれば、上記の自動チェックインをした後、患者さんは診察の進行状況が分かります。予約システムから「診察時間○分前です」の通知が来ますから、人数によってはクリニック外で待っていてもいいのです。
院内モニターに番号で呼び出しがあれば患者さんは診察室に入ります。このようになっていれば、スタッフがいちいち患者さんの名前を呼ぶ必要はありません。番号呼び出しが行えれば、会計の場面でも同様です。
つまり、予約システムではありますが、受付、診察、会計の場面までスムーズに進行できるようになっているわけです。
予約システムの中には、クリニックにこのようなソリューションを提供する機能を持つものもあります。
予約システムの種類について
予約システムは、「予約の入れ方」で大きく以下の3つに分けることができます。
- 順番制
- 時間制
- 時間帯制
それぞれの特徴について以下にご紹介します。
「順番制」予約システムとは?
「順番制」というのは、銀行などで使われている早く番号札を取った人から呼ばれるという仕組みです。いわば「早い者勝ち」で、早く予約を入れた患者さんが列になっていて、先頭から順番に呼ぶイメージです。
例えば耳鼻咽喉科など、一人当たりの診察時間が短く、次々に患者さんをさばいていくような診療科目の場合には「順番制」の予約システムが向いています。「○時△分に予約」としても、その時間に診察が始まるとは限らないですし、「今何番まで診察が進行しています」「あなたは何番目です」と教えてくれた方が患者さんにとっても分かりやすいですね。
メリット・デメリット
「順番制」のメリットは分かりやすく、使いやすいことです。ただし、上記のとおり診療科目によっては全く向きません。一人当たりの診察時間が長かったり、読めなかったりする診療科目においては、順番制ではかえって患者さんのイライラが募ります。「次なんだけどいつ診察が始まるんだろう」といったことになるからです。
「時間制」予約とは?
「時間制」というのは、「○月△日15時30分」などのように予約を入れるシステムです。人と待ち合わせをするときのように、ある意味きっちりと日時を指定します。患者さんの診察時間が長くても「30分」と分かっている場合には、例えば「15時00分~」「15時30分~」と予約枠を切ることが可能で、それならこの予約システムが向いています。
メリット・デメリット
人と待ち合わせを行う場合と同じで、予約した日時が明確ですから、患者さんにとって分かりやすい予約の入れ方です。またクリニックにとっても、「○月△日15時30分」はこの患者さんを診察する、と予定がはっきりします。
しかし、このはっきりしている点からくるデメリットがあります。時間がずれると患者さんは「15時30分に予約したのに……」と不満に思います。またクリニック側では、前の患者さんが早く終わったからといって次の患者さんを安易に呼べません。「時間どおりじゃない」と思われたりするからです。きっちり時間を指定するぶんズレたときのフォローが難しいというわけです。
「時間帯」予約システムとは?
「時間帯制」というのは、時間制のはっきりしすぎるデメリットを除くために、例えば「○月△日の14時~」あるいは「○月△日の14時台」といった予約の入れ方をするものです。患者さんは、○月△日の14時台に診察が始まることを予約し、クリニック側は○月△日の14時00分~14時59分の1時間で例えば2人の患者さんを診察する、ということを決めるのです。
このようにしておくと、少なくとも14時台に診察が始まれば患者さんの待ち時間に対する不満は最小限にできますし、クリニック側でもある程度の時間の幅を持って診察を進めることが可能です。このような時間帯制の予約システムは、患者さん一人当たりの診察時間が長い、また読みにくい診療科目に向いています。
メリット・デメリット
「時間帯制」の予約システムのメリットは、予約時間が分単位まできっちりしていないぶん、クリニックの時間配分に幅が持てることです。しかし、患者さんからすると「ふわっとした予約」と受け取られてしまいがちで、ここがデメリットになります。しかし、上記のように診察時間が長い、あるいは診察の他に検査やリハビリが入るといった診療科目の場合には、患者さんにも「このような時間帯の予約でも当然」と受け入れられるでしょう。
自分のクリニックに合った「予約システム」を考えましょう
予約の入れ方で分けると、予約システムはこのように「順番制」「時間制」「時間帯制」の3つに分けることが可能です。ただし、気を付けていただきたいのは、多くの予約システムが3つともに対応していることです。
「順番制」だけに特化した予約システムといったものはむしろまれで、「どれもできます」とする予約システムが多いのです。しかしながら、「実は時間制が得意」などの特性を持っていることがほとんどです。
また、中には順番制と時間帯制をうまく併用して使えるといった、高度な機能を装備した予約システムもあります。例えば、「内視鏡検査」は診療室3番を使って「順番制」でこなし、診察は診療室1番で「時間帯制」で行う――この両方の予約を患者さんが同時に行えるといった具合です。しかし、機能が高度な分、予約システムの価格は高くなります。
とどのつまり、自分のクリニックにどこまでの機能が必要なのかを考えることが先決です。「順番制」が向いているのかなど、クリニックに合った予約システムを導入するようにしてください。それが患者さんにとっても、クリニックにとっても最重要なポイントです。