自動精算機の相場はいくらか?
コロナ禍のため、診療費の会計もできるだけ非接触で行えるようにと、「自動精算機」の導入を行う病院が増えています。この動きは比較的小規模なクリニックにも広がっており、「うちもそろそろ……」と導入を考える医師・クリニック院長は少なくないでしょう。今回は、「自動精算機」についてご紹介します。
「自動精算機」とは?
まず「自動精算機」とは、診療費の会計業務を患者さん自身に行ってもらうための機器です。クリニックスタッフはほぼ会計に関わらずに済ませられるものを「自動精算機」と呼びます。
患者さんは、診療費の支払いを以下のように行います(一例です)。
- 患者さんに診療費の計算が終わったことを知らせます。
(院内モニターに患者さんの番号を表示する/患者さんの名前を呼ぶなど) - 患者さんは自動精算機のところに行き、診察券のバーコードなど、その患者さんを識別できるものを自動精算機に読み取らせます。
- 自動精算機がその患者さんの診療費を表示します。
- 患者さんは内容を確認し、支払いを行います。
(現金、クレジットカード、電子マネーなど支払い方法は自動精算機の対応状況によります) - 支払いを完了したら、自動精算機が明細書・領収書を印刷するので患者さんはそれを受け取ります。
このように、自動精算機をクリニックに導入すると会計業務にスタッフの手間がほぼかかりません。患者さんを識別できるように診察券にバーコードを添付するなどを行わなければなりませんが、自動精算機を導入して得られる以下のようなメリットを考えれば小さなことではないでしょうか。
- 会計業務がほぼ自動化できる(スタッフの負担が激減する)
- 入金間違い・釣り銭間違いが起こらない
- レジ締めにかかる時間を大幅に短縮できる
また、あまり考えたくないことですが、邪(よこしま)な考えを起こしたスタッフが診療費を詐取するというリスクを大きく減らすことが可能です。さらに、自動精算機とレセコンが連携すれば、その日の売上がいくらだったのかが一覧管理できます。医師・クリニック院長にとっては毎日の励みになるでしょう。
「自動精算機」と「POSレジ」は分けて考えよう
「自動精算機」の導入を考える際には、「POSレジ」と分けて考えましょう。「POSレジ」というのは、基本スーパーなどで見掛けるレジと同じものです。「POSレジ」は、スタッフが診療代金を入力し、それを患者さんが精算するスタイルですから、クリニックのスタッフが会計に立ち会うのが基本です。
ただし、最近のPOSレジの中には、
- 診療代金の入力をバーコードで行う
(明細書に印刷されるバーコードをスキャナーで読み込む、など) - 自動釣銭機能が付いている
(患者さんがお金を投入すると自動的に釣り銭が出る) - クレジットカード・電子マネー・アプリ決済に対応
が可能で、会計をほとんど患者さんに任せてしまえる機種もあります。
ですので、レセコンとも連携し、上掲の1~5を全部こなせる「自動精算機」を選ぶのか、それとも「POSレジ」にするのかは、医師・クリニック院長がよく考えないといけません。会計業務に関わるスタッフの労力を極小化したいのであれば、絶対に「自動精算機」を選ぶべきです。
自動精算機はいくらくらい?
自動精算機はいってみれば一種のATMです。会計に関わる要件を全てこなすために多機能で筐体(きょうたい)も大きくなります。
導入価格は、最も安価なものでもざっくり「200万円[税別]ぐらいから」です。患者さんを識別するためのバーコード付き診察券も併せて導入といったこともあるので、「350万円[税別]前後で導入可能」と考えてください。
また、保守・メンテの月額料もかかり、これは「3万円[税別]ぐらいから」です。さらに、クレジットカード決済などを導入したいのであれば決済手数料「3.5%前後」を見ておかなければなりません。
クリニックとしては決して安い投資ではないでしょうが、上記のようなメリットの方が大きいと判断するのであれば導入を考えてみるのはいかがでしょうか。