クリニックや病院の待ち時間に対するよいクレーム対応は?
クリニックや病院の運営には、クレーム対応がつきものです。外来であれば、もっとも多いクレームは、「毎回採血までに時間がかかる」「予約時間通りに来たのに待たされるのはなぜ?」「現在何人待ちがわかるようにしてほしい」などの待ち時間に関することではないでしょうか。もちろん、「なるべく待たせないこと」が一番の解決方法ではあるのですが、日々、診察を待っている患者が来院するなか、迅速な改善は難しいのも現状でしょう。そこで今回は、改善策を図りつつも、その間にできるクレーム対策について考察していきます。
患者はどのくらいの待たされている?
まずは、そもそも診察までの待ち時間がどのくらいなのかを確認しましょう。厚生労働省が公表している「平成29年受療行動調査の概況」によると、2%弱の外来患者が3時間以上もの時間を診察待ちに費やしていることがわかりました。30分を超えても長いと感じるのに、そこまで待たされるとなると、「クレームを入れて当然」と思えます。
≪外来患者の診察までの待ち時間≫
15分未満 | 27.1% |
15分以上30分未満 | 22.9% |
30分以上1時間未満 | 20.1% |
1時間以上1時間30分未満 | 10.3% |
1時間30分以上2時間未満 | 6.7% |
2時間以上3時間未満 | 3.8% |
3時間以上 | 1.7% |
無回答 | 7.4% |
参照:「平成29年受療行動調査の概況」より「病院の種類別にみた外来患者の診察等までの待ち時間」p.5(2枚目)より一部抜粋
クレームに対する理想的なマインドセット
続いては、クレームを入れられた場合の理想的なマインドセットについてお話します。クレームを入れられたら、「怒られてイヤだな……」「面倒くさい患者だな……」とネガティブに感じてしまう人は多いでしょう。しかし、クレームを入れてくる患者は、不満を覚えることに対して、改善してほしいから声を大にしているのです。相手の言葉に耳を傾けると、「なるほど、うちの病院は配慮が足りなかったな」と思うこともあるでしょうし、患者の不満点を改善することは、患者の信頼を得ることにもつながるのです。もちろん、すべてのクレームに正当性があるとはいえないかもしれませんが、なかには改善につながる声もあるので、「まずは相手の言葉に耳を傾ける」ことを習慣づけましょう。
クレームを聞くときの基本姿勢
1. 傾聴
相手の言葉に耳を傾けた結果、「診察が長引いているのだから、待たせてしまうのはしょうがないじゃない!」などとこちらの事情をぶつけたくなることもあるでしょう。しかし、クレームを受けているときには、よほど筋の通らないクレームでない限り、「至らない点を教えてくださりありがとうございます」という気持ちで傾聴するのがベストです。ポイントは、相手の話は遮らずに最後まで聞き、反論や言い訳をしないこと。相手の言い分に対して同意できることに対しては、「おっしゃるとおりです」と言葉でも共感を示しましょう。
2. 謝罪・解決策の提案
一通り話を聴き終えたら、「ご不快な気持ちにさせてしまって申し訳ございません」と謝罪することも大切。ただし、たとえば、「いかなる場合も予約時間ぴったりに診察を開始すべき」などの言い分で100%受け入れるのは難しい場合は、謝罪したうえで、「●曜日のこの時間帯でしたら比較的すいていますので予約をお取り直しいたしますか?」などの解決策を提案するのもいいでしょう。
3. 感謝
謝罪や解決策の提案を終えた後は、「言いにくいことをおっしゃってくださりありがとうございました」と感謝を述べましょう。患者側も、相手を不快な気持ちにさせたくてクレームを入れているわけではありません。「こんなこと言いたくなかった」「こんな病院もう来たくない」と思っている患者にひとことお礼を言うことで、「改善に向けて動いてもらえるならこれからもお世話になろう」と思ってもらえるものです。
待ち時間の不満を緩和するためにできることは?
クレームの対応が完璧であっても、いつまで経っても状況が改善されなければ、「あの病院は口だけだ」と思われてしまって仕方ありません。そう判断されないためにも、改善に向けての努力は怠らないことが大切です。待ち時間に対する患者の不満を緩和するために、今すぐできることもはいくつもあるので以下記事でも待ち時間対策について、何が有効かご紹介しているのでぜひご確認くださいね。
開業後も常に進化し続けられるクリニックを目指そう
クレームを真摯に受け止め、至らない点を指摘してくれた相手に感謝し、改善に向かって動くのは簡単なことではありません。しかし、何もしなければ何も変わらないまま。何年経っても同じクレームを入れられているようでは、患者にも病院側にもイヤな感情が蓄積されてしまいます。できることから少しずつでもいいので、改善に向けて動いてみてはいかがでしょうか?