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「怖い」「恥ずかしい」とは無縁!「カプセル内視鏡」人気に迫る

「怖い」「恥ずかしい」とは無縁!「カプセル内視鏡」人気に迫る

「怖い」「恥ずかしい」とは無縁!「カプセル内視鏡」人気に迫る

大腸がん罹患率は40歳以降増加すると言われていますが、「検便が嫌だから検査しない」「出血があっても恥ずかしいから病院には行かない」という人は多いもの。この問題を解消してくれるとして、昨今、注目されているのが、カメラが装備されたカプセル型の内視鏡「カプセル内視鏡」です。

ビタミン剤程度の大きさのカプセルを飲むだけで小腸や大腸を検査できる

大きさはビタミン剤と同程度。水と一緒に飲み込めば、食道や胃を通過して腸管内部を進みながら、カプセルに内蔵された小型カメラが何枚もの写真を撮影。腸管を通過した後は、便と一緒に自然排出されるという仕組みです。もちろん、カプセルは使い捨て。患者さんは、ビタミン剤などの錠剤を飲む感覚で服用することができます。

カプセル内視鏡 image1

「カプセル内視鏡」「データレコーダー」「センサーアレイ」「ワークステーション」がセットになったシステム

もちろん、「カプセル内視鏡」単体だけあっても、撮影された画像を見ることはできません。「カプセル内視鏡」は、「超小型カメラ」および「撮影した画像を無線送信できる機能」を内蔵した「カプセル内視鏡」(写真上4)、その画像を受診する「センサーアレイ」(写真上2)、検査中にカプセルが撮影した画像を記録するデータレコーダー(写真上3)、そして専用ソフトウェアがインストールされた「ワークステーション」(写真上1)で構成されています。専門医は、ワークステーションに送られた画像を通して、患者の腸管内の状態を知ることができるのです。

「小腸カプセル内視鏡」「大腸カプセル内視鏡」の2種類の内視鏡がある

次に、カプセル内視鏡自体の構造について説明します。カプセル内視鏡には、小腸用と大腸用の2種類があります。前者は長さ約26mm、直径約11mmで、後者は長さ約32mm、直径約12mm。服用後は、消化器官内を移動しながら、移動速度に合わせて撮影をおこないます。撮影枚数は、大腸カプセル内視鏡の場合、ゆっくりめの移動のときは毎秒4枚。速めの移動時には毎秒35枚を撮影します。

日本では2007年に初めて小腸用のカプセルが発売。大腸用のカプセル発売は2014年

小腸用のカプセルが日本で発売されたのは2007年、大腸用のカプセルが発売されたのは2014年のこと。「ファイバーの内視鏡を挿入する身体的負担を軽減するにはどうしたらいいだろうか? と試行錯誤するなかで、内視鏡を飲み込んで検査するというアイディアが生まれたといいます。また、世界で初めて、カプセル内視鏡について発表されたのは2000年のこと。科学誌『NATURE』にも臨床応用報告が掲載され、2002年には、丸紅とスズケンによってカプセル内視鏡の日本への輸入計画が立てられています。翌2003年には獨協医科大学病院を中心にカプセル内視鏡の実験がおこなわれ、2007年には認可が下り、同年中に保険適用となったのです。そして現在では、コヴィディエン社やオリンパス社などが、カプセル内視鏡を取り扱っています。

従来の検査のように、検査時に腸を拡げる必要がない

開発から保険適用まで着々と進んできたのは、医療関係者たちの、患者の負担を少しでも軽減したいという想いがあったから。従来の内視鏡検査では、挿入時に違和感や痛みがある場合がありますが、カプセル内視鏡であれば、検査時 の苦痛を少なくすることができます。また、従来の検査方法では、検査時にしぼんだ状態の腸を拡げることで視野を確保する必要がありますが、カプセル内視鏡での検査であれば、腸に空気を送り込む必要がありません。しかも、検査中、患者は身体を動かして問題ありませんし、むしろよく歩いたほうが、カプセルが消化器官内をスムーズに移動できるといいます。

小腸用のカプセル内視鏡を使った検査中は、普段通り日常生活を送れる

カプセル内視鏡イメージ2

検査中に動いてもOKとはどういうことなのでしょうか? 小腸、大腸それぞれの検査について詳しくみていきましょう。まず、小腸カプセル内視鏡を使った検査の流れを説明します。検査前日は、消化のよい食事を摂取して、検査8時間前から飲食禁止。翌朝、「センサーアレイ」と「データレコーダー」を身体に取り付けます。センサーアレイは腹部と胸部に取り付け、データレコーダーが収納された専用ベルトを腰に装着するだけなので、取り付けることは患者にとってほとんど負担となりません。

病院内でカプセルを服用した後は、施設の外に出てOK

取り付けが終わったら、適量の水でカプセル内視鏡を飲み込みます。その後、2時間経ったら飲み物を飲んでOK、4時間経ったら軽食もOKとなります。また、その間、激しい運動は避けるよう指示されるものの、通常通り日常生活を送って問題なし。約8時間経ったら検査終了となるので、検査機器を取り外すために施設に戻ります。飲み込んだカプセルは、後日、便とともに自然排出されますが、カプセルが排出されたかどうか確認できなかった場合は、腹部単純X線検査をおこなって確認。排出されていなかった場合は、適切な処置をおこなうこととなります。

大腸カプセル内視鏡の検査当日は病院内で過ごす

一方、大腸用のカプセル内視鏡検査前には、従来の大腸内視鏡検査と同じように、事前に下剤を服用して大腸をキレイにしておく必要があります。加えて、カプセル服用後にも、カプセル内視鏡の排出を促すために下剤を飲むことが必要です。また、検査中は病院内で過ごす必要があるため、仕事が休みの日などに検査を受けることが望ましいでしょう。

排便時にカプセルが出てくるか、またはカプセルを服用してから10時間経ったら検査終了

検査の流れは、概ね小腸カプセル内視鏡の検査と同様ですが、前夜に消化のよい食事を摂った後、下剤を服用します。翌日は、まず、腸管洗浄剤を服用して大腸内をキレイな状態にしたら、小腸の検査同様、「センサーアレイ」と「データレコーダー」を装着。適量の水で大腸カプセル内視鏡を飲み込みます。検査中は大腸カプセル内視鏡の排出を促進するために定期的に下剤を服用します。その後、大腸カプセル内視鏡の排出が確認できたか、もしくは大腸カプセル内視鏡を服用してから10時間が経過すると撮影が終了となります。

「カプセル内視鏡」のほか、有料で読影サービスも提供

検査の結果が出るまでの時間は、小腸カプセル内視鏡検査、大腸カプセル内視鏡検査ともに、各クリニックの読影のタイミングや所要時間にもよりますが、「カプセル内視鏡」を扱うコヴィディエンジャパンでは、別途、読影の外部委託も展開。有料サービスとなりますが、業務の負担軽減には大いに役立ちます。

「入院不要」「被ばくの心配ゼロ」など患者にとってうれしいメリットがたくさん

2種類の検査の流れからもわかる通り、「カプセル内視鏡」があれば、検査のために入院する必要もありませんし、放射線を使用した検査ではないため、被ばくの心配もありません。また、疾患の種類などにもよりますが、保険が適用される場合もあるため、より気軽に検査を受けることができるのも魅力です。

ファイバーの経験とカプセル両方がある患者は、以降、カプセルでの検査を指定

このように、「カプセル内視鏡」は患者にとっていいことづくし。実際に導入しているクリニックからは、「痛くない内視鏡があると口コミで近所に広がったことで、カプセル内視鏡検査目的で来院される方が増えた」「ファイバーとカプセルの両方の経験がある炎症性腸疾患の患者さまは、毎回カプセルを指定して定期フォロー検査を受けに来ている」なども報告されているのだとか。

炎症性腸疾患患者を対象に実施された意識調査でも、身体的・肉体的負担が少ない「カプセル内視鏡」に支持が集まった

また、炎症性腸疾患患者を対象に2016年に実施された「クローン病、潰瘍性大腸炎 全国意識調査」では、クローン病患者の60.5%、潰瘍性大腸炎患者の73.1%が、「今後、小腸カプセル内視鏡検査を受けてみたい」と回答。「身体的な負担が少ないと思う」「麻酔や鎮痛剤が不要だから」「恥ずかしさなどの精神的普段が少ないから」「バリウムを使わずに済むから」「放射線への被ばくがないから」といった理由を挙げています。

コヴィディエン社のカプセル内視鏡は、小腸カプセル内視鏡=約800施設、大腸カプセル内視鏡=約200施設のクリニックが導入

※小腸カプセルはオリンパス社でも取扱いあり

クリニックにとっても患者にとってもメリットが大きい「カプセル内視鏡」。現在、導入しているクリニックおよび病院は全国で何施設かというと、小腸カプセル内視鏡=約800施設、大腸カプセル内視鏡=約200施設。導入施設数は年々増加していています。

患者ファーストの医療を考えると、「怖くない」「恥ずかしくない」はとても大切

もちろん、検査方法はひとつではないので、カプセル内視鏡以外の検査方法を導入している病院やクリニックもあります。しかし、従来のファイバー内視鏡検査だと「怖い」「恥ずかしい」ことから、受診を避けてしまう人が多いことも考えられます。事実、大腸がん検診において「要精密検査」の判定が出ているにも関わらず、その先の検査を躊躇している人は、欧米人に比べて日本人は多いのだとか。そうなると、必然的に、大腸がんの罹患率や死亡率も上がってしまいます。

「患者にとってよりよい医療」を考えると、自ずと浮かび上がる「カプセル内視鏡」という選択肢

そうした事態を避けるためにも、「カプセル内視鏡」をより多くの人に知ってもらい、利用してもらうことは有効といえるはず。「患者のためによりよい医療とは?」と考えた先に、「カプセル内視鏡」の導入を選択するクリニックは今後ますます増加するに違いありません。