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今後どのような発展を見せるか。「血糖クラウド管理システム」を活用した糖尿病のオンライン診療とは

今後どのような発展を見せるか。「血糖クラウド管理システム」を活用した糖尿病のオンライン診療とは

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生活習慣の変化などが原因で、今後大きく増えるといわれている糖尿病患者ですが、そのオンライン診療が注目されています。例えば、医療機関向けコミュニケーションツール『MeDaCa PRO』を展開する『メディカルデータカード株式会社』は、本ツールを用いた「血糖クラウド管理システム」を構築。同システムを活用したインスリンポンプ療法(以下、SAP療法)のオンライン診療が慶應義塾大学病院で始まっています。本治療法について、『メディカルデータカード株式会社』の鈴木康之代表にお話しを伺いました。

正確なデータを閲覧しながらオンライン診療が可能に

――「血糖クラウド管理システム」を活用した糖尿病のオンライン診療が注目を集めています。同取り組みがスタートした背景を教えてください。

慶應義塾大学病院とは、以前から弊社のコミュニケーションツール『MeDaCa PRO』(医療機関向け)、『MeDaCa』(患者さん向け)を導入連携して医療や診療システムの構築を行っており、例えば産科との連携では、胎児の超音波画像をデジタル画像で提供する(スマホに送る)システムを構築しました。また、同外来では診察順になったらプッシュ通知がされる呼び出しサービス、血液検査の結果や処方箋をPDFで患者さんに送るシステムなどを展開しています。

一方で、私どもは『中部電力株式会社』の子会社でして、中部電力のクラウドを活用してさまざまな取り組みを行っています。その中の一つが、『MeDaCa PRO』(医療機関向け)、『MeDaCa』(患者さん向け)との連携です。中部電力のクラウドを利用し、集積した患者さんの在宅時の体重、血圧、血糖値などの測定値を医師が確認しながら診療を行い、また医師と患者さん間で検査結果を共有したり、服薬・食事指導を行ったりできるツールで、ビデオ機能を使ったオンラインコミュニケーションも可能です。

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今回の慶應義塾大学病院との取り組みでは、弊社の『MeDaCa』と中部電力のデータプラットフォームを、日本メドトロニックの「ケアリンクシステム」(24時間の血糖・インスリン投与データをクラウドへ集積するシステム)と連携させました。これにより、正確なデータを閲覧しながらテレビ電話でオンライン診療が可能になりました。

――SAP療法のオンライン診療が求められる理由を教えてください。

SAP療法は専門の知識を有した医師しか行えない高度な医療です。そのため、治療を行える医師がいない地域では受診のハードルが高く、定期的な治療が困難になります。また、糖尿病の患者さんが治療のために通院するのも大きな負担になります。こうした理由からSAP療法のオンライン診療導入が求められています。

『MeDaCa』との連携で従来の課題をクリア

――『MeDaCa』と連携することでどのようなメリットが得られたのでしょうか?

「ケアリンクシステム」を活用したオンライン診療はこれまでも実現は可能でしたが、患者データ検索をする必要がある、ID管理が複雑といった問題があり、スムーズな診療が行えないという課題がありました。また、オンライン診療においても、別のシステムと連携、または構築する必要がありました。

今回、『MeDaCa』と中部電力のデータプラットフォームと連携することで、レポートを一元的に画面上に表示する仕組みを構築することに成功しました。血圧・体重・血糖値といった情報のほか、SAPから得られる24時間の持続グルコースデータ・インスリン投与量を併せて閲覧することができます。『MeDaCa』にはテレビ電話機能も備わっているので、正確なデータを速やかに確認しつつ、スムーズに患者さんにオンライン診療が行えるようになりました。

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――専門医がいない地域でも、SAP療法が可能になるかもしれないのですね。

そのとおりです。オンラインだと遠く離れた場所でも、対面に近いクオリティーの診療が可能になると考えております。また、医療機関側でも、データを一元化することで作業効率が上がりますし、通院しなくても診療や指導が行えることで、従来よりも細かなケアが可能になります。質の高い医療の提供につながります。

SAP療法使用の中心となるのが1型糖尿病です。患者さんの中には若い方も多くいますが、オンライン診療を導入することで通院頻度が減ると、仕事や生活への影響も軽減するはずです。糖尿病のオンライン診療の確立には、社会的、経済的効果も期待されています。

クリニックでも同様のシステムが運用可能

――どのような成果が得られていますか? また課題があれば教えてください。

スタートしたばかりなので、成果や課題が出てくるのはまだこれからといった状況です。幸いなことに、現在のところは大きな不具合などは起きておらず、スムーズな運用ができております。今後使っていく中で修正点や課題などが出てくると思いますが、さらに便利に使ってもらうにはどうすればいいのか考えつつ、よりスムーズな運用を目指したいと思います。

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――今回は慶應義塾大学病院が中心となっての運用ですが、例えば糖尿病の治療を行うクリニックでの導入も考えられるでしょうか?

セキュリティー面の担保が必要になりますが、クリニックでも同様の仕組みを構築することは可能だと思います。弊社ではクリニックさまへのシステム提供をメインで行っているため、今後もさまざまな形で連携し、より良い形でサービスの提供を行いたいと思います。

今後、1型糖尿病患者は増加すると予測されており、専門医の数が足りなくなる可能性もあるでしょう。場合によっては満足な治療が行えないケースも増えるかもしれません。SAP療法のスムーズなオンライン診療が確立すれば、こうした課題にも立ち向かえるようになるでしょう。

取材協力:『メディカルデータカード株式会社』

『MeDaCa PRO』

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