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オンライン資格確認「資格確認端末」導入の注意点とは?

オンライン資格確認「資格確認端末」導入の注意点とは?

オンライン資格確認「資格確認端末」導入の注意点とは?

「オンライン資格確認」は、社会保険診療の資格における「なりすまし」や資格過誤に伴う返戻リスクをなくすためのもので、『厚生労働省』の進める「データヘルス改革」の基盤となります。患者さんはマイナンバーカードを保険証の代わりに使えて便利ですし、クリニックではきちんと本人確認を行った上での診療が行えます。また、診療データの一元管理、蓄積に大きな役割を果たしてくれます。

このようなメリットをもたらすので、現在『厚生労働省』の旗振りの下、官民一体で導入へ向け進行しています。クリニックでの導入を考慮中の医師・クリニック院長も多いと思われますが、どのような仕組みになっているのか、またハードウエアの構成などについて詳しく知りたい方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、「オンライン資格確認」導入に際しての注意点についてご紹介します。オンライン資格確認に用いるパソコン(資格確認端末:後述)を開発・提供している『株式会社アイ・オー・データ機器』に取材しました。

「オンライン資格確認」のハードウエア構成

「オンライン資格確認」に必要なハードウエアについてですが、まず仕組みの全体像を把握してください。

「オンライン資格確認」のハードウエア構成

患者さんが来院して、マイナンバーカードをカードリーダーにスキャンします※1。その際に顔認証も行い、本人であるかを確認します。

この確認は、読み取ったデータをネットワーク経由で「支払基金・国保中央会」の「オンライン資格確認等システム」のサーバーに接続し、照合することで行われます。(つなぎ込みが可能であれば)この照合結果はクリニック内のレセコンや電子カルテなどに送信されます。

また、診療のデータも「オンライン資格確認等システム」に送信されます。ここに蓄積されたデータがその患者さんの診療の基盤になり、2021年3月下旬から患者さんの同意を得られれば医療機関で「特定健診情報」を閲覧できます。また、2021年10月からは同様に薬剤情報の閲覧も可能になる予定です。

上掲のような仕組みになっているので、クリニックには最低限、

  1. 顔認証付きカードリーダー
  2. 資格確認端末(パソコン)
  3. ネットワーク機器(およびネットワーク回線)
  4. 医事会計システム(レセコン)の改修

が必要になります。

1.の「顔認証付きカードリーダー」は、『医療機関等向けポータルサイト』で申し込みを行うと機器が送られてきます(無償で提供されます※2)。これは認証を行うための患者さん用のデバイスですが、カードリーダーからのデータを「支払基金・国保中央会」のサーバーと照合するための機器、簡単にいえばパソコンが必要になります。これが2.で、このパソコンを「資格確認端末」と呼びます。

しかし、クリニックのパソコンをそのまま使うことはできません。

患者さん個人、マイナンバーカードなど、非常にセンシティブなデータを扱うため、特別なスペックが要求されており、これを満たすものしか使用できません。

例えば「デスクトップPC」の場合は、以下のようなスペック要件となっています(一部を抜粋)。

OS
Windows10 IoT Enterprise 2019 LTSC 64bit版
またはWindows10 Enterprise 2019 LTSC 64bit版
CPU
Intel Core i3-8100以上または、同等以の性能を有する互換プロセッサー
メモリー
8GB以上
ストレージ
256GB以上(HDD、SSD等の指定なし)
NIC
院内・局内ネットワークとオンライン請求ネットワークの接続に必要な数を用意すること。例えば、IP-VPN方式において、オンライン請求ネットワークを接続し、院内・局内ネットワークへも接続する場合は2系統必要と想定(外部接続のNICを用いる構成もよしとする)。

参照・引用元:『厚生労働省』「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」

「3.ネットワーク機器(およびネットワーク回線)」については、すでにレセコンや電子カルテ、また予約システムなどを導入しており、インターネット回線、ルーター、ハブなどのネットワーク機器がそろっている場合には、新たな機器を購入する必要はありません(資格確認端末用のケーブルは必要です)。

※1 マイナンバーカードを保険証として利用するには、あらかじめ本人がマイナポータルで登録しておかなければなりません。これはマイナンバーカードと保険者番号をひも付ける作業です。ただし、このひも付けを行っていない患者さんでもクリニック来院時にカードをリーダーに読み込ませて登録作業が行えます。

※2 診療所・薬局は1台、病院は3台まで無償で提供されます。

「資格確認端末」導入の注意点とは?

クリニックに新しく導入することになる②の資格確認端末について、『株式会社アイ・オー・データ機器』営業本部の内藤基夫課長にお話を伺いました。

同社では『APX-MEDICAL/QC』という、オンライン資格確認の専用端末を開発、提供しています。この『APX-MEDICAL/QC』は『厚生労働省』の要求スペックを全て満たし、かつ日医標準レセコン『ORCA(オルカ)』の推奨を唯一得ている端末です。

APX-MEDICAL/QC オンライン資格確認の専用端末

――オンライン資格確認を導入するクリニックが急増しています。新たなハードウエアがクリニックに入るわけですが、「資格確認端末」導入に当たって注意する点を教えてください。

内藤課長 『厚生労働省』が準拠すべきスペックを提示しておりまして、その要件を満たす必要があります。最もクリティカルな点でいいますと「OS」ですね。

Windows10 IoT Enterprise 2019 LTSC 64bit版、またはWindows10 Enterprise 2019 LTSC 64bit版となっています。「IoT」の方が好ましいとされるのは、資格確認に必要なアプリケーションが長期的に安定して動作するからです。通常のウィンドウズでは、頻繁にアップデート(ときに大規模アップデート)が行われますし、患者さんが来院しているときにアップデート中で動かないとなると問題です。

OS以外では、リアルタイムに患者さんの資格確認を行わなければならないので、相応のCPUのスペックが必要です。あとはDRAM、メモリーですね。つまり、スピードを担保する仕様であることに注意が必要です。

――ネットワーク環境についてはいかがでしょうか。

内藤課長 クリニックのネットワーク環境は千差万別なので一概には申し上げられないのですが、『厚生労働省』からはNIC(簡単にいうとネットワークポートの数)が2口以上ある方がいい、とされています。

――NICが1つではだめでしょうか?

内藤課長 院内ネットワークとオンライン資格確認で使用する院外ネットワークを分けてセキュリティリスクに対応するため、2口あった方がいいと考えられます。弊社の機器でいいますとNICを3つ備えていますが、このうち3つ目はシステムベンダーさんがメンテナンスに使うことを想定しています。NICが複数あった方がよりよい運用ができるでしょう。

――なるほど。小規模なクリニックの場合には設置スペースが気になるものですが。

内藤課長 そうですね。顔認証付きカードリーダーと一緒に受付に設置することになると思いますが、すでに受付にはレセコンがある場合が多く、普通のPCサイズの筐体のものを置くと狭くなってしまうかもしれません。コンパクトなものがいいのですが、できるだけ長く使いたいというものですので、高靭性、堅牢性に気を付けていただきたいですね。

――御社の『APX-MEDICAL/QC』はずいぶん小さいですね。

『APX-MEDICAL/QC』のサイズ感

『APX-MEDICAL/QC』 サイズ感イメージ

内藤課長 クリニックにも設置しやすい左右10.2cm・奥行21.6cm・高さ・15.4cmというA4用紙3分の1のコンパクトなサイズながら要件を満たすスペックを有しています。また小さいながら堅牢性も十分に備えています。

――他にクリニックが注意することはありますか?

内藤課長 診療時間中はずっと稼働させる状態が何年にも及びます。そのため、ハードウエアの堅牢性という意味では、搭載するハードディスクにも注意が必要です。これらが破損するとクリニックの受付業務が止まることにもなりかねませんので、あらかじめ故障への備えを行っている端末を選んでください。弊社の製品の場合には、NAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続するハードディスク「ナス」)で培った技術を生かしてRAID(Redundant Array of Inexpensive Disksの略「レイド」)を組んであります。

――「RAID」とはなんですか?

内藤課長 複数のハードディスクを制御してデータを書き込み、保存する技術のことです。1台のハードディスクが破損しても残りの1台で稼働を続けられるようにしています。これによって障害への耐性を高めているのです。やはり医療の現場で使用されるものですので、診療に影響したり、患者さんのデータが飛んだりといったことがあってはなりませんので。

――そのような配慮も必要なのですね。

内藤課長 私どもでは、今あるパソコンが仕様を満たしているからそれでいい、ということではなく、オンライン資格確認に使われるにはどのようなスペックが必要かということを『厚生労働省』『支払基金』さんと相談しながら作ってきました。ですので、安定した供給・安定した動作・納得のいく機能を満たしたものになっていると思います。

――クリニックではサポート体制についても気になると思われます。サポートは十分に受けられるのでしょうか。

内藤課長 これはベンダーさんによって異なると思いますが、例えば弊社の場合には、資格確認端末専用のサポートダイヤル(電話サポート)を設けています。月~金の9:00~17:00(土日祝休み)対応です。また、メールサポートも行っていますが、こちらは24時間、365日対応です。ただ、回答については翌営業日になります。

――ありがとうございました。

オンライン資格確認を導入する際に必要となるハードウエア、また「資格確認端末」導入に際しての注意点についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。資格確認端末の選択については、「ただ単にスペックを満たしているから」という理由だけで選ぶのはおすすめできません。堅牢性などについても十分に検討することが必要です。また、レセコンとの連携も考えるのであれば、システムベンダーとよく協議することをおすすめします。

取材協力:『株式会社アイ・オー・データ機器』

取材協力:『株式会社三栄シスポ』