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クリニックの親族経営のメリット、デメリットは?

クリニックの親族経営のメリット、デメリットは?

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開業医として自院を法人化するにあたって、家族や親族で経営することを考えたことがある人は多いかもしれません。しかし、家族や親族での経営には、メリットだけでなくデメリットもあります。では、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか? 早速紹介していきます。

医療法人設立のメリットは?

まずは、家族経営や同族経営について考える前に、医療法人を設立することのメリット、デメリットについて考えていきましょう。

医療法人化のメリット医療法人化のデメリット
・節税効果が期待できる
・分院展開、事業展開ができる
・将来的な継承・相続対策をとれる
・退職金を準備できる
・運営管理が複雑になり、事務処理が煩雑になる
・医師の月収が固定化される
・社会保険への加入が必須になる

メリット、デメリットのなかで、家族経営や同族経営ともっとも関連があるのが「節税効果が期待できる」です。具体的にどういうことなのかを見ていきましょう。

クリニックを親族経営することでなぜ節税効果が期待できるのか?

クリニックを親族経営することによって期待できる節税効果は、「法人化することによって期待できる節税効果」と併せて説明していきます。

クリニックを法人化すると、3つの観点から節税できることになります。

①納める税金が大幅減

個人事業から法人事業へと移行した時点で税率が以下のように変わります。そのため、まずは納める税金が大幅に減ります。

個人(所得税)医療法人(法人税)
最高税率55%(住民税含む)17.59%
ただし、800万円を超えた部分に関しては27.21%

②給与所得控除での節税効果

続く2つめとしては、「給与所得控除」によって節税効果が期待できます。

開業医として独立して「個人事業主」だったものが、医療法人化によって、"医療法人から給与を受ける"という構図になるため、給与所得控除が受けられるようになります。

③理事報酬での節税効果

そして3つめが、親族経営と大きく関係しているポイントです。

どうすれば親族経営が節税効果につながるかというと、医療法人から支払われる「理事報酬」を家族に支払うようにすればいいのです。具体的には、配偶者や両親、子どもを「理事・監事」の一員として連ねることで、それぞれに理事報酬を支払うことができます。

「理事報酬」を理事長ひとりのみに支払うと個人の納税率が大きくなりますが、理事長の給与を抑えた分を(便宜上、理事・監事とした)家族に分散すれば、家族単位で見た収入の総額は同額であっても、課税額は小さくなるのです。

節税効果以外にもさまざまなメリットがある

続いては、節税効果以外の主なメリットを説明していきます。

余計な気を使わなくていい

家族や親族との関係性が良好な場合に限ってですが、余計な気を使わなくていいため、診療に集中しやすいことは大きなメリットとなりえます。

お金の管理を安心して任せられる

クリニックに関わらず、信頼していた仲間に裏切られてお金を持ち逃げされたというのはよくある話。しかし、お金の管理を信頼できる家族や親族に一任すれば、そうした心配はしなくて済む場合が多いでしょう。ただしもちろん、「親族なら100%安心」というわけではないので、どこまで信頼できるかを見極めることは大切です。

意思決定がスムーズ

コミュニケーションの基本は対面ですが、他人であるスタッフ相手であれば、夜間や休日などはメールやLINEなどで確認をとらなければならない場合もあるでしょう。しかし家族や親族であれば、一緒に住んでいたり夜間でも電話しやすかったりとコミュニケーションがスムーズ。なるべく早く決定して動き始めたいことがある場合などは、親族経営のありがたみを感じやすいかもしれません。

クリニックの親族経営のデメリットは?

公平に扱いづらい

家族や親族以外のスタッフもいる場合、公平に扱いづらいのは大きなデメリットとなりえます。院長自身は公平に扱っているつもりでも、スタッフに言わせると「依怙贔屓だ!」というパターンもありえるでしょう。ありがちなのが、院長の妻が医療事務の仕事をしながら事務長的な役割を果たしているパターン。業務の効率化という観点もあり、妻にある程度の権限が与えられている場合もあるので、なおのことトラブルが起きやすくなるでしょう。

他のスタッフが余計な気を使う

院長とその家族が喧嘩を始めた場合などは、他のスタッフは気を使わずにはいられないでしょう。また、たとえばスタッフ全員にとお土産を人箱差し入れされた場合など、「もしよかったらご家族でどうぞ」と家で食べることを想定して譲ろうとするスタッフもいるかもしれません。

揉めるとこじれやすい

家族やカップルは一度揉めると厄介です。仕事だと割り切っていないぶん、他人であるスタッフ以上に厄介な場合が多いでしょう。住んでいる家も同じ場合は最悪。24時間顔を合わせることから、関係修復のタイミングもつかみづらく、関係性がこじれてしまうこともありえます。

親族経営と一言に言っても……

家族や親族にはいろんな形があるので、必ずしも関係が良好とは限りませんし、現状は良好な関係を築いていたとしても今後もそのままとは限りません。「うちは大丈夫」と思っていた家族に限ってトラブルが起きる可能性もあるので、万が一トラブルが起きたときのことをイメージしながら経営戦略を立てることは大切かもしれませんね。

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