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患者目線で「行きたいクリニック」「行きたくないクリニック」の特徴は?

患者目線で「行きたいクリニック」「行きたくないクリニック」の特徴は?

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病院やクリニックは、基本的には心や身体の状態が思わしくないときに訪れる場所です。もちろん、未病予防や検診で訪れる場合もありますが、いずれにしても、「心や身体のケアのために安心して足を運べる場所であるか」は非常に大事。では、患者からみて、なにかあったときに「行きたい(お世話になりたい)クリニック」「行きたくないクリニック」にはどんな違いがあるのでしょうか? 早速考察していきましょう。

患者は何を基準に医療機関を選んでいる?

まず、患者が医療機関を選ぶ際のポイントを、厚生労働省が公表している「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」から紐解いていきましょう。全国の一般医療機関利用者を対象に無作為におこなわれた同調査で、外来患者たちは、「医療機関を選んだ理由」として下記の選択肢を選択しています。

第1位医師による紹介38.7%
第2位交通の便がよい27.9%
第3位専門性が高い医療を提供している27.0%
第4位家族・友人・知人からのすすめ17.5%
第5位医師や看護師が親切15.2%
第6位建物がきれい・設備が整っている7.7%
第7位その他14.5%

参照:厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」p.3より一部抜粋

上記調査結果は医療機関全体においてのものですが、"クリニックのみ"で考えると、「交通の便がよい」「家族・友人・知人からのすすめ」「医師や看護師が親切」「建物がきれい・設備が整っている」あたりが重要だとわかります。

自覚症状がある患者はまずどんな行動をとる?

続いては、患者が実際に医療機関を訪れるまでの期間に着目してみます。同じ調査において、外来患者に「自覚症状を覚えてから受診までにどのくらいの日時を要したか?」を尋ねたところ、以下のような結果となっています。

【自覚症状があった外来患者の受診までの期間】

24時間未満1~3日4~6日1週間~1か月未満1か月~3か月未満3か月以上覚えていない無回答
14.5%17.5%9.0%17.0%10.6%12.9%13.0%5.6%

自覚症状があるのにすぐに医療機関を受診しない人は意外に多いことがわかりました。では、なぜ自覚症状があるのにすぐに受診しようと思わないのかについて、受診までの期間が「1週間以上」と回答した人に質問したところ、以下の回答結果となりました。

【受診までに時間がかかった理由(複数回答)】

まず様子を見ようと思った65.7%
医療機関に行く時間の都合がつかなかった15.1%
医療機関の都合(予約が取れないなど)9.2%
医療機関に行くのが面倒だった6.4%
医療機関に行くのが怖かった6.2%
経済的な負担を感じた3.6%
医療機関が近くになかった3.5%
その他12.9%
無回答0.9%

実に7割近くの人が、自覚症状があってもまず様子を見ようと思っていることがわかりました。様子を見ている期間には、ただ治るのを待っているだけでなく、気になる症状をネットで検索して対処方法などを自分なりに検討していることが考えられます。

参照:厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(概数)の概況」p.7~8より一部抜粋

「行きたいクリニック」「行きたくないクリニック」の特徴は?

続いては、「行きたいクリニック」「行きたくないクリニック」の特徴として考えられることを挙げていきます。

【行きたいクリニックの特徴】

清潔感がある

医療機関は基本的に体調が悪いときに訪れるので、清潔で居心地がよいことはもっとも求められる要素です。

ドクターやスタッフの感じがいい

地域密着型クリニックであれば特にそう。患者の話にしっかりと耳を傾けてくれるドクターがいるクリニックは、高齢者や小さな子どもからも信頼されやすいでしょう。

待ち時間が少なくて診察がスムーズ

「いつ行っても待たされる」「予約したのに待たされる」などは大きな不満となりやすい要素です。予約システムを導入するだけでなく、時間内にきちんと診療できるようオペレーションも常に改善していくことが大切です。

キャッシュレス

特に若い世代は、キャッシュレス決済を希望する患者が増えています。キャッシュレス対応かどうかは、受診する医療機関を選ぶ際の判断材料になることも多いので、導入がまだであれば早急に導入を進めたいところです。

【行きたくないクリニックの特徴】

清潔感がない

掃除が行き届いていないと、見た目にも不快感を与えるだけでなく、院内感染のリスクも高まります。特に水周りなどがキレイに掃除できていないと口コミに書き込まれることが多いので注意が必要です。

ドクターやスタッフが横柄

「医師が話を聞いてくれない」「受付事務が冷たい」なども、悪い口コミになりやすい要素です。スタッフの教育にも力を入れながら、クリニック全体の、患者とのコミュニケーション力を高めていきましょう。

長時間待たされる

待ち時間改善のためには、予約システムの導入のほかに、「比較的空きやすい日時に患者の次回予約を促す」などの対策も取ることができます。また、患者が自分の順番がくるまで院外で過ごせるよう、順番が近づいたらLINEでお知らせするシステムなどを導入するのも一手。これによって、「体感待ち時間」を削減することができます。

キャッシュレス未対応

IT導入補助金はキャッシュレス決済システムの導入にも充てることができるので、これから導入を検討している人は、早めにチェックしてみることをおすすめします。

参照:IT導入補助金2022

来院したことがない患者から「行きたくないクリニック」の烙印を押される原因は?

上記に紹介した特徴は、「一度来院した結果の印象」をもととするものですが、なかには、「行ったことはないけど行きたくない」と思われているクリニックもあります。どういうことかというと、今の時代、ほとんどの患者がインターネットで事前に評判をチェックするので、Googleなどに悪い口コミが多く書き込まれていると敬遠しがちなのです。

そのため、口コミ対策をとることはもちろん、自院のホームページの質をあげることや、SEO・MEO対策に力を入れることもとても大切です。

このうち、ホームページの作成やSEO・MEO対策に関しては専門知識を必要とするため、専門の業者に相談することが業務の効率化にもつながりますが、患者のリアルな声が反映されている口コミに関しては、自院でしっかりと目を通したうえで対応することをおすすめします。

たとえば、悪い口コミを書かれたとして、「患者の言う通りで反省すべきことがある」という場合もあります。この場合は、意見を述べてくれた人にお礼の一言を添えたうえで、今後は改善に励みたい旨を伝えられるといいでしょう。また、よい口コミを書いてもらった場合も同様に、感謝の気持ちを伝えることが大切です。なぜかというと、多くの人は口コミをチェックする際、クリニック側の対応にも目を光らせているからです。仮に口コミに対して感情的に反論するようなコメントを返していた場合、それを見た人に「めんどくさそうなクリニックだ」と思われても仕方がありません。

それ以外に、明らかに悪意が感じられる口コミが入ることもあります。内容が各口コミサイトやGoogleのポリシーに違反していた場合、通報することで削除してもらえる場合もあるので、まずは通報するといいでしょう。それでも削除してくれない場合は、運営者に問い合わせることが大切です。

また、悪意ある口コミが入っていることを外部の業者が知らせてくることがありますが、この場合は注意が必要です。なかには、自ら悪い口コミを書きこんでおいて、削除を申し入れて高額な削除料を請求してくる悪徳業者もいるためです。

より多くの患者および潜在的患者から「行きたいクリニック」と思ってもらうためにできることは?

では、どうすれば患者や潜在的患者から「行きたい」と思われるクリニックになることができるかというと、まずは、患者がどんな期待を持って来院しているのか、どんなギャップを感じているのかを正確に把握して、可能な限り対応していくことです。たとえば、患者にアンケートを取ることによって、「改善すべきポイント」や「磨きをかけるポイント」を知り、よりよいクリニックとなれるよう努力や工夫を重ねていくことも大切。患者の帰り際には、口コミの投稿もお願いするようにして、地域のみんなと一緒に成長していけるといいですね。

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