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クリニックの分院展開で失敗する理由とは?

クリニックの分院展開で失敗する理由とは?

220524

開業医として独立するドクターのなかには、将来的に分院展開していきたいと考えている人も多いでしょう。分院展開に成功すれば、できることが増えたり所得も増加したりとメリットがたくさんありますが、失敗に終わる可能性も無きにしも非ずです。では、失敗の原因としてはどういうことが考えられるのでしょうか? 早速みていきましょう。

分院展開にはどんなパターンがある?

分院展開の成功/失敗について考える前に、まずはどうやって分院展開するのかを説明します。分院展開は大きく3つのパターンに分かれます。具体的には以下のパターンです。

1. 多店舗展開型

基本的に、分院と同じタイプの診療所を展開するパターンです。提供する医療、コンセプトなどはそのままに、本院とは異なる地域で需要が見込めそうな地域に展開することが多いでしょう。飲食店のチェーンのようなイメージだと思ってもらえるといいでしょう。

2. 垂直展開型

本院の上流または下流を担うクリニックを、分院として展開するパターン。規模の大きい病院が、交通の便のよい駅前などに、「サテライトクリニック」として外来診療専門の小さなクリニックを開設することがありますが、それがこのパターンです。

3. 水平展開型

本院と関連性のある領域の分院を展開するパターンです。産婦人科の本院が、本院を"卒業"する赤ちゃんを引き継ぐために分院として小児科を開設したり、高齢患者が多い整形外科の本院が、分院では訪問診療をおこなったりするパターンがあります。

分院展開が失敗に終わる理由とは?

いずれの場合も、施設の数としては2つ以上になるため、本院で成功している場合は特に、所得もできることも倍増していく"倍々"の構造をイメージしてしまうかもしれませんが、実際はそうとは限りません。では、分院展開が失敗に終わる理由としては具体的にどんなことが考えられるかというと以下の通りです。

人選ミス

もっともよくありがちなのが人選ミスです。分院を展開するためには、まず、安心して分院を任せられる人材をチョイスすることが大切です。本院あっての分院ゆえに、理念を共有してもらったうえで診療方針をすりあわせることも必要ですし、そもそも信頼関係が構築されていなければ安心して任せることはできないでしょう。自分の右腕となってもらえる人材はそうそう見つかるものではありませんが、ここで手を抜くと失敗に終わる可能性は高いでしょう。また、院長のみならず、スタッフに関しても、自院の理念をしっかりと理解して同じ方向を向いて働いてくれる人を見つけることが大切です。

また、自分の右腕以上の働きをしてくれるドクターが見つかり、業績も好調であれば、「このまま順調にいくだろう」と多くの人が判断するでしょう。しかし、業績が好調であればあるほど、分院長が「自分なら、本院長や法人のサポートがなくてもひとりでうまくやっていけそうだ」と考え始める可能性があります。将来的に独立志望というパターンはもちろんありえますが、分院長としての契約はきちんと遂行してもらえるよう、しっかりと話し合うことも大切です。

オペレーションがうまくいっていない

本院も分院も本院長がオペレーションするのは、時間的にも物理的にも困難でしょう。2つ(以上)の事業所にどのように統一性を持たせるのか、それぞれの地域の特性にどう合わせていくのか、どこからどこまでをそれぞれの事業所に任せるのかなど、一つひとつを慎重に考えることが大切です。

また、分院開業時に人手が足りなかったりオペレーションがうまくいかなかったりしたため、本院での業務に慣れたスタッフを分院に配置することがあります。それによってうまく軌道に乗ればいいですが、場合によっては、分院の収益が思ったように伸びないうえ、本院はいつものようにスムーズに業務を進められず、共倒れとなってしまうこともありえます。

資金繰りがうまくいかない

分院開業時には、本院開業時同様、数千万円から億単位の資金が必要です。本院開業時に金融機関からの融資が通ったことから、「また融資を受ければいいや」と思うかもしれませんが、本院開業時に受けた融資の返済が終わっていなければ、融資を受けることは難しいでしょう。

分院展開を失敗に終わらせないために考えるべきことは?

では、分院展開を失敗に終わらせないためには何が必要なのでしょうか? 有効な手段をいくつか紹介します。

「なぜ分院展開したいのか?」の答えを突き詰めて考える

まずは、「なぜ自分は分院を展開したいのか」を改めて考えることが大切です。理由は人さまざまですが、マンネリからの脱却のために新しいことにチャレンジしたいというパターンは多いでしょう。チャレンジ自体はすばらしいことですが、「マンネリから脱却したい」が一番の目的では、失敗に終わる可能性が高くなります。「分院と本院の違いは?」「分院は、地域の人にとってどんなクリニックにしていきたい?」と自問自答することで、着実に達成したい目標を固めましょう。

分院を安心して任せられるドクター、信頼できるスタッフを確保する

理念を共有できないドクターやスタッフしか集まらなければ、分院の運営にはなから暗雲が立ち込めているようなものです。患者からも支持が集まるような、スキル、人柄ともに備わったドクター、目指す医療の実現に向けてともに歩んでくれるスタッフをまず確保できてから、分院展開を検討しましょう。短期でそういった人材を見つけることは人不足の現在においてなかなか難しいです。そのため、長期視野で人員を探す、交流会、コミュニティなどに積極的に参加し、人的ネットワークを強化するなど普段から検討しましょう。

事業計画を入念に練る

達成したい目標を決めたら、それを実現するために事業計画を入念に練ることが大切です。先に述べた「人選ミス」「オペレーションが回らない」「資金繰りがうまくいかない」といった失敗を予防するためにも、本院開業時同様に時間をかけて事業計画を立てましょう。

分院開業後、運営を軌道に乗せるためにできることは?

分院開業までスムーズに漕ぎつけたとしても、運営が軌道に乗るまでには時間がかかる場合があります。スタッフも患者もこれまでとは異なるため、最初のうちは特に、想定しなかったトラブルが起き得るでしょう。そのなかで着実にクリニックを成長させていくためにも、分院長にモチベーションを維持してもらうことはとても大切。給与にも関わる評価制度を導入するなど、スタッフが意欲的に業務に取り組める仕組みや制度作りにも注力できるといいですね。

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