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電子カルテの普及率は現在どのくらい?

電子カルテの普及率は現在どのくらい?

電子カルテの普及率は現在どのくらい?

電子カルテを使うクリニックは年々増えている印象がありますが、実際のところ、どのくらいの病院やクリニックが既に電子カルテを導入済なのでしょうか? 今回は、気になる電子カルテの普及率についてみていきます。

クリニックにおける電子カルテの普及率は2017年時点で41.6%

厚生労働省が実施している「医療施設調査」によると、電子カルテの普及率は徐々に高くなっています。2017(平成29)年時点でのクリニックにおける電子カルテ普及率は41.6%。2008(平成20)年時点での普及率が14.7%だったことからも、かなりの勢いで伸びていることがわかります。

≪電子カルテの普及率推移≫

一般病院病床規模別一般診療所
400床以上200~399床200床未満
2008(平成20)年14.2%38.8%22.7%8.9%14.7%
2011(平成23)年21.9%57.3%33.4%14.4%21.2%
2014(平成26)年34.2%77.5%50.9%24.4%35.0%
2017(平成29)年46.7%85.4%64.9%37.0%41.6%

※2011(平成23)年は、宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏および福島県全域を除いた数値

参照:厚生労働省「医療施設調査」より「電子カルテシステム等の普及状況の推移」より一部抜粋

海外と比べて日本の電子普及率は高い? 低い?

2008年以降、普及率は右肩上がりとはいえ、41.6%という数字は海外と比べると決して高いとは言えません。厚生労働省が2019(平成31)年に公表している「諸外国における医療情報の標準化動向調査」の結果によると、アメリカ、スウェーデン、イギリス、シンガポールにおける電子カルテ普及率は以下の通りです。

アメリカスウェーデンイギリスシンガポール
一般病院における電子カルテ普及率85-100%90%99%100%
クリニックにおける電子カルテ普及率80%90%99%80%

続いて、これらの国がどんな目的で電子カルテを活用しているかをみていきます。まず、アメリカは、患者が受ける医療の質向上、障碍者手当の正当な配給、公衆衛生に関わる報告活動の円滑化を進めているほか、重複検査の排除や医療行為の効率化を通じたコスト削減に力をいれています。スウェーデンは、プライマリーケアの役割強化と地域医療の実現を通じた費用対効果の向上、地域内における各コミューンとの医療情報連携促進、各種の主要な疾患領域における医学研究の促進などに積極的です。

イギリスは、医療行為のアウトカムを把握することで医療の質向上を目指したり、医療内医療行為の効率化を通じたコスト効率化も視野に入れたりと、アメリカ、スウェーデン同様、医療の質向上および医療の効率化に注力しています。一方、シンガポールの活用目的は主として患者中心の医療および医療の効率化。医療従事者が最新の患者方法にアクセスして適切な判断を下せる環境を整えているほか、重複検査の排除、投薬ミスの低減、疾患ごとの管理などを通じて医療の質向上および医療費節約につなげることを目指しています。

参照:厚生労働省「諸外国における医療情報の標準化動向調査」P.4~P.5より一部抜粋

なぜ日本では電子カルテの普及が遅れている?

日本は世界の中でも長らく「医療先進国」とされてきました。しかし、アメリカやスウェーデン、イギリス、シンガポールと比べてみたところ、かなり普及率が低いことがわかります。では、なぜこれらの国と比べて普及率が低いかというと、紙カルテから電子カルテへの移行が大変だと考える医療機関が多いからです。

どういった点が大変かというと、特に医師が高齢である場合などは、電子カルテの操作を覚えることが大変です。入力に時間がかかって患者を待たせる日々が続くようなら、クリニックの評価が大きく下がることも考えられます。また、初期費用が高額だということも理由のひとつ。電子カルテのメリットを考えると、高くてもそれだけの価値があると思う人もいるかもしれませんが、一方で長期的視野を持って物事を考えるのが苦手という人もいるかもしれません。

新しいことを覚えるストレスは最初だけ

操作を覚えることに不安やストレスを感じている人は、実際のところとても多いでしょう。しかし、たとえば新しいスマホやパソコンを導入するときのことを思い出してみてください。「いつもみたいにサクサク使えなくてイライラする」と感じるのは最初の数日ではないでしょうか? 操作に慣れてしまえば、以前の機種より快適に操作できるうえ、できることが増えているはず。紙カルテから電子カルテへの移行もそれとまったく同じで、一度慣れてしまえば、手書きするよりうんと速く入力できますし、伝達ミスや処方ミスなどがなくなります。

さらに、久しぶりの患者のカルテを探したいときなどは検索できるので、大量の紙カルテから探し出す必要がありませんし、オンライン診療などもおこなえるように改良していくことで、患者の満足度が高まることも予想されます。「めんどくさいのは最初だけ」を意識して、ぜひ電子カルテ導入のメリットにも目を向けてみてください。

補助金活用などでハードルを下げることができる

また、操作面の不安に関してはメーカーのサポート、金銭面の不安に関しては補助金活用などで解消できる場合もあるので、電子カルテ導入を迷っているクリニックは、各種サイトなどを見ながら検討してみてはいかがでしょうか? クリニック開業ナビでも、電子カルテ販売店の紹介はできますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。

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