泌尿器科開業で失敗しないクリニック開業ポイントは？

6/7/2022

少子高齢化が進む日本において、今後、泌尿器科のニーズは高まることが予想されます。しかし、競合が少ないマイナー科であるものの、立ち上がりに苦戦しがちという難点も。では、泌尿器科の開業で失敗しないためにはどんなポイントを踏まえておけばいいのでしょうか？　早速紹介していきます。

立地や物件の選定ポイント

泌尿器科にかかる患者の多くは、通院していることを周囲に知られたくないと考えるでしょう。そのため、テナントの場合は、人通りが多い大通りに面していないビルの2階以上が理想的です。ただし、前立せん肥大や尿疾患などは高齢者のほうがかかりやすい疾患なので、駅からの距離がありすぎることは望ましくありません。必要面積は約40坪程度とされています。

ただし、内科や皮膚科も標榜する場合、好ましい立地はやや異なってきます。内科および皮膚科の開業ポイントなどもチェックしながら、それぞれの患者がどんな条件のクリニックを求めているのかをよく考えることが大切でしょう。また、なかには性機能低下の原因ともいわれる禁煙外来の診察を取り入れている泌尿器科もあります。この場合も、それぞれの患者のニーズを確認することが大事です。

外科的治療や不妊治療をおこなう場合は、他の病院との連結が不可欠となるので、連携をとる病院からのアクセスを考えて立地を決めることも大切です。男性更年期障害の症状が心療内科の疾患と似ていることから、心療内科・精神科クリニックとも連携しておくことが理想的です。

また、内科外来を訪れた患者に泌尿器系の問題があった場合、内科医は泌尿器科に紹介しようとする場合が多いので、近隣の内科からのアクセスも考慮するといいでしょう。

内装のポイント

建物の立地のみならず、内装を考えるうえでも患者の気持ちを考慮する必要があります。たとえ同じ疾患の患者同士だとしても、「恥ずかしい」と感じる場合があるので、患者同士が接触しにくい動線を考えることが理想的です。受付の会話が待合室で待つ患者に聞かれないような配置にすることも重要ですし、診察室の会話は絶対に外に漏れないよう、しっかりと防音対策を取るべきです。

また、泌尿器科の受診は特に女性にとってハードルが高いものであるため、女性患者が少しでも受診しやすくなるよう、男女の待合室や動線を分ける工夫ができるといいでしょう。

設備に関しては、初診ではほとんどの患者が尿検査を実施することになるため、患者向けのトイレは最低でも2つ必要です。トイレタイプの尿流量測定装置の導入も検討するなどして、個室内で採尿から提出までできるよう設計しましょう。

診察について考えるべきポイント

泌尿器科の患者ひとりあたりの診療単価は、院外処方の場合、約7,500円程度と他の診療科と比べて高い傾向にあります。しかし一方で、通院日数は外来中心のクリニックであれば1.5日程度と他の診療科と比べてかなり短いのが特徴です。そのため、毎月の家賃や人件費、リース費の支払いや借入金の元本返済を滞りなくおこなうためには、一日あたり何人程度の患者を診療することが必要であるかを考えることが非常に大切です。

また、膀胱鏡検査をおこなうかどうかは、事前に考えることが必要です。おこなう場合、専用の部屋があることが望ましいため、内装の設計に関わってくるからです。

宣伝広告のポイント

泌尿器科を探す患者は、マイナー科であることもあって広域で検索することがあるので、リスティング広告を活用するなどして、ローカルSEOのみではカバーできない範囲にまでアプローチすることが大切です。

受診を「恥ずかしい」と感じる患者が多い診療科だからこそ「頼れる存在」を目指そう

立地のポイントや内装のポイントでも触れた通り、泌尿器科を訪れる患者の多くは、受診を恥ずかしいと感じがちです。そのため、患者に少しでもリラックスしてもらえるよう、観葉植物をたくさん置くなどして寛げる空間を用意して、「患者に寄り添ったコミュニケーションの大切さ」をスタッフ全員に周知させて実践してもらうことが大切です。ひとりで悩んできた人に「頼れるクリニック」だと思ってもらうことで、よい口コミも増えていくことが期待できます。