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クリニック承継とは? 継承との違いやメリット、デメリットも知りたい!

クリニック承継とは? 継承との違いやメリット、デメリットも知りたい!

クリニック承継とは? 継承との違いやメリット、デメリットも知りたい!

開業医として独立を考えているけど、一から新規開業となると、必要な資金を用意するのに時間がかかりそう…と頭を悩ませていくなかで、継承や承継について考えたことがある人は多いかもしれません。そこで今回は、クリニック承継およびクリニック継承についてさまざまな視点から考察していきます。

クリニック承継とは?

クリニック承継とは、既に開業しているクリニックを引き継いで運営することです。つまり、開業するために土地や物件を探す必要がないということです。また、詳しくは後述しますが、土地、建物以外のものも引き継ぐことができます。

承継と継承の違いは?

「クリニック承継」と同じように使われる言葉に「クリニック継承」があります。「承継」と「継承」にはどういう違いがあるかというと、前者が、先代の事業に対する想いや信念を含めて引き継ぐことを意味するのに対して、後者は、業務や財産といった具体的なものを受け継ぐことを意味します。

実際はそこまできっちり使い分けされていない場合もありますが、総じて「クリニック承継」の言葉が使われる場合が多いといえるでしょう。

クリニック承継のメリットは?

続いては、クリニック承継のメリットをみていきます。

医療機器や内装設備などの初期費用が不要

クリニックの承継に際して、土地や建物だけでなく医療機器なども引き継げば、初期費用をぐっと抑えることができます。

スタッフも引き継ぐことができる

双方の合意があれば、看護師などのスタッフも引き継ぐことができます。

既にその地域で認知されている

もともとのクリニックが地域から多大な信頼を得ていた場合などは、ほとんど集客の必要がないといえるでしょう。ただしもちろん、もともとのクリニックとは違う医師が診療することになるため、馬が合わないと感じた患者が離れていく可能性はないとはいえません。

少ない運転資金でも始動できる

一定の患者がいるため、はじめからある程度の収入が見込めるので、運転資金が少なくて済みます。

クリニック承継のデメリットは?

クリニック承継にはデメリットもあります。

承継物件の数が少ない

承継できる物件自体が多く存在しないことから、限られた物件から選ばなくてはなりません。少しでもいい物件に巡り合うためにも、信頼できる仲介業者を見つけて、物件が出るたびにスピーディに連絡してもらえるようにしましょう。

前院長への承継に対しての支払額が大きい場合がある

クリニックの譲渡に際し、対価を支払わなければならない場合と不要な場合があります。安く抑えたい場合は、他の条件には目をつむって、金額のみを重視するというのも一手です。

レイアウトなどの変更が難しい場合がある

理想の内装に変えようと思っても、難しい場合があるでしょう。また、大きく変更しようと思ったらそれなりの資金が必要になります。そのため、院内のレイアウトを含めて理想に近い物件を選ぶことが望ましいといえるでしょう。

建物や設備の老朽化で出費がかさむ

老朽化に伴うリニューアル工事費などで出費がかさむ場合があります。承継への対価は、そのことを加味した金額にしてもらえるよう交渉しましょう。

前院長の方針と合わない場合がある

前院長の診療方針と著しく異なる場合などは、患者からいい印象を抱いてもらえないこともあるでしょう。自分の理想の医療を追求することを優先したいなら、患者に対して自身の考えをしっかりと伝えて納得してもらうことも必要になってくるでしょう。

クリニック承継の流れは?

続いてはクリニック承継の流れを説明します。

1. どんなエリアのどんなクリニックを承継したいかを考えると同時に、仲介業者を探す

承継物件は常に存在するわけではありません。より理想に近い物件が出てきたときにすぐに下見して、いいと思ったら契約できるよう、早い段階からイメージを固めておきたいものです。また、固まったイメージを伝える相手である、クリニック承継の仲介業者も探しておきましょう。

2. 仲介業者と秘密保持契約書および仲介契約書を締結する

信頼できる仲介業者を見つけたら、秘密および仲介契約書を締結します。仲介契約書には、業務手数料や報酬体系なども記します。

3. 条件に合致する承継先を紹介してもらう

契約書締結後は、条件に合う承継先が出てきたら紹介してもらえます。ただし、最初はクリニック名や所在地などを伏せた匿名での紹介となります。これを「ノンネーム」といいます。概要を聞いて詳しく知りたいと思った場合は、クリニック名などを明かしてもらう「ネームクリア」をお願いします。同じタイミングで複数の候補先にネームクリアをお願いすることも可能です。

4. 希望の承継先の内見および院長との面談を実施

ネームクリアの結果、内見したいクリニックがあった場合、実際に内見します。併せて、院長との面談も実施して、診療方針やクリニックに対する想いなども確認します。その結果、承継希望となった場合、完全に引き継ぐまでの期間にアルバイトさせてもらったり、もしくは承継後しばらくの間、前院長にアルバイトとして残ってもらうことでスムーズに引き継ぎしている医師もいます。

5. 承継先が決まったら、条件を調整して基本合意書を締結する

内見および面談を経て双方の合意のもと承継することとなったら、条件を調整して基本合意書を締結します。条件の調整とは具体的にはどんなことかというと、たとえば内見を通して老朽化がかなり進んでいることを確認したら、譲渡対価を減額したり、承継時期を相談したりといったことです。

6. 買収監査を実施。問題がなければ最終譲渡契約書を締結する

基本合意書を締結したら、承継先にリスクがないか、財務情報の数字に間違いがないかなどを「買収監査」で確かめます。ただし、小規模クリニックの場合は買収監査をおこなわない場合もあります。買収監査の結果、問題がなければ最終譲渡契約書を締結しますが、問題があった場合は、最終譲渡契約書を締結する前に、承継条件を再度調整します。

7. 承継実行

最終譲渡契約書の内容に沿って承継を実行したら、対価を支払います。

8. 保健所に診療所開設届を提出する

承継手続きが完了したら、管轄の保健所に診療所開設届を提出して、保健所の検査を受けます。また、保険診療をおこなう場合は、厚生労働省所管の地方港政局に保険診療医療機関の指定申請をおこなわなければなりません。

クリニック承継の費用は?

クリニック承継には、概ね2,000万円~4,000万円の費用がかかると考えておくといいでしょう。ただし、「患者のためにもクリニック存続が必要だ」との考えから承継してくれる開業医を探している承継元は、対価を不要とすることもあります。ただし、承継元への支払いが不要であっても、仲介業者への支払いは発生します。仲介業者への謝礼は10%程度であることが多いので、最低でも300万円と見積もっておくといいでしょう。

2つの承継パターンとは?

承継には主に2つのパターンが存在します。どんなパターンかというと以下の2種類です。

親族間承継

親族間での承継なら、対価や仲介手数料を支払う必要がない場合も多いでしょう。ただし、相続税や贈与税に関しては税理士などに確認する必要があります。

第三者承継

親子関係、親族関係にない第三者からもクリニックを承継できます。しかも、血縁関係にあれば「引き継がねばならない」「診療方針も変えてはならない」などの「ねばならない」が多い場合もあるでしょうが、第三者からの承継であればある程度自分の好きにできますし、万が一交渉時点で揉めた場合は契約しないという選択肢もあるので安心です。

承継する法人の2つの開設形態とは?

開設形態に関しても大きく2つに分かれます。

個人クリニック

形態が個人クリニックであるなら、スタッフを引き継ぎたい場合、一度、旧院長のクリニックから退職してから新たに雇用契約を結ぶ必要があるので注意が必要です。

医療法人のクリニック

医療法人の場合は、法人の最高決定機関の社員総会と理事会のメンバーの入れ替えをおこなうというパターンが多くなります。

クリニックの「分院」とは?

承継と似て非なるものとして「分院」があります。分院とは、本院とは別の機能を有した医院のこと。本院も機能させながら分院も展開していくためには、クリニックを医療法人化する必要があります。

承継に際して起こりがちなトラブルと回避方法は?

続いては、承継にありがちなトラブルとその回避方法を紹介します。

承継するにあたってスタッフも引き継ぐパターンはよくあることですが、旧院長のやりかたと新規院長のやりかたがあまりにも違うと、スタッフがついていけず、次々と辞職することはよくあることです。これを防ぐためには、事前にきちんと説明したうえでついてきてもらうことが大切。特に、旧院長が高齢でアナログ思考である場合、電子カルテへの移行に対応できないスタッフが辞めてしまうパターンは多いです。

また、クリニック承継の流れで説明した「保健所への届出手続き」でつまずくのもよくあるパターンです。旧クリニックの不手際で承継がうまくいかなかった場合はどうするかについても、事前に仲介業者としっかり話し合っておきましょう。

知識が不十分なままの承継は危険!

将来、クリニックを承継したいと考えている人は、早い段階から承継への知識を仕入れておくに越したことはありません。最近は、いろいろなところで事業承継セミナーなども開催されているので、気になる人はぜひチェックしてみては?

また、クリニック開業naviでは過去に開催されたセミナーの動画を公開しているので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね。

【承継開業を目指す前に知っておきたい基礎知識】第三者承継のポイントと承継案件の探し方

【承継開業を目指す前に知っておきたい基礎知識】第三者承継のパターンとは?

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