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社会保険診療のクリニックが「自由診療」を始める際の注意点とは?

社会保険診療のクリニックが「自由診療」を始める際の注意点とは?

社会保険診療のクリニックが「自由診療」を始める際の注意点とは?

クリニックの売り上げが上がらない場合、社会保険診療外の「自由診療」を始めるというのも一つの方法です。自由診療では、診療報酬点数などありませんので自分で診療の値段を決めることができます。そのため利益率は高くなりますが、その分注意しなければならないことも多くなります。今回は、自由診療を始める際の注意点についてご紹介します。

自由診療は幅広くある

自由診療と一口に言っても、その中身は多岐にわたります。よく広告を見掛ける女性向けの美容整形、男性向けのED(勃起不全)、AGA(男性型脱毛症)などは自由診療です。予防接種も自由診療の一つですね。

自由診療に特化しているクリニックもありますが、社会保険診療を行っているクリニックで自由診療メニューを追加するには独特の工夫が必要です。

科目に即した診療メニューを選ぶこと

まず、全く専門外の診療メニューを開始するのはお勧めできません。技術と経験の問題はもちろんですが、現在クリニックに来院してくれている患者さんに違和感を与え、せっかくの顧客が離れてしまう恐れがあります。

例えば、本来眼科なのに「薄毛治療を始めました」というクリニックに患者さんが信頼感を寄せるでしょうか。それよりは、皮膚科で「薄毛治療を始めました」という方がまだいいですね。つまり、現在の患者さんのニーズをくみ取った自由診療のメニューを考えるべきなのです。

これは実際にあった例ですが、皮膚科の先生に「しみを取りたいんです」と相談した患者さんがいらっしゃいました。その先生が他の患者さんに聞いたところ、「しわを目立たなくしたい」などの声があり、初めて女性の患者さんにそのような美肌についてのニーズが多くあることを知ったそうです。その先生はニーズに応えるべく、少しずつ自由診療メニューを取り入れ、これが口コミで広まって今では売り上げも大きくなっています。

これらはあくまで例ですが、現在クリニックを訪れる患者さんのニーズをくみ取ることが自由診療を始めるきっかけになったりするのです。ですから、自由診療は始めるのであれば、患者さんのニーズについて考える必要がありますし、それが先々うまくいくことの条件だともいえます。

社会保険診療ときちんと区分すること

社会保健診療を行っているクリニックで自由診療を始める場合には、診療の内容と料金などの情報をきちんと患者さんに伝える必要があります。

これについては、『厚生労働省』が「- 1 -療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」という通達を出しています。

主旨としては、「保険医療機関等において保険診療を行うに当たり、治療(看護)とは直接関連のない『サービス』または『物』について、患者側からその費用を徴収することについては、その適切な運用を期するため」です。

この中では、「療養の給付と直接関係ないサービスなど」を示しており、

(4) 医療行為ではあるが治療中の疾病または負傷に対するものではないものに係る費用ア インフルエンザなどの予防接種

イ 美容形成(しみとりなど)

ウ 禁煙補助剤の処方(ニコチン依存症管理料の算定対象となるニコチン依存症(以下「ニコチン依存症」という)以外の疾病について保険診療により治療中の患者に対し、スクリーニングテストを実施し、ニコチン依存症と診断されなかった場合であって、禁煙補助剤を処方する場合に限る)など

と美容・禁煙系は明示されています。自由診療はこれに準じるものになります。また、次の部分に注意してください。

患者からの費用徴収が必要となる場合には、患者に対し、徴収に係るサービスの内容や料金などについて明確かつ懇切に説明し、同意を確認の上徴収すること。

この同意の確認は、徴収に係るサービスの内容および料金を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。

ただし、この同意書による確認は、費用徴収の必要が生じるごとに逐次行う必要はなく、入院に係る説明などの際に具体的な内容および料金を明示した同意書により包括的に確認する方法で差し支えないこと。

なお、このような場合でも、以後別途費用徴収する事項が生じたときは、その都度、同意書により確認すること。

つまり、自由診療を受ける患者さんに内容・料金の説明をきちんと行い、内容・料金も記載されている書面に同意のサインをもらって行う必要があるのです。

ですので、まずは通常の社会保険診療とは異なるものであることが患者さんと医師の間で合意されていなければ、実際の治療には進めません。医師には行おうとする診療内容が社会保険診療外のサービスであるときちんと確認し、認識することが求められます。

面倒くさいと思われるかもしれませんが、これらを行って初めて自由診療は可能になるのです。

参照・引用元:『厚生労働省』「- 1 -療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」

というわけで、自由診療は確かに利益率の高いものですが、自院の診療科目に合ったものから始めるのがおすすめです。これには患者さんのニーズをうまくくみ取る力が求められます。また、『厚生労働省』の通達に即して行わなければなりません。ですので、思いつきで始めるのではなく、よく考えてから実施するようにしてください。

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