医療事務の採用力を上げる医院のアピールポイントとは
近年、「医療事務」のスタッフを採用するのが難しくなっています。医療関係の仕事は大変というイメージがあり、お給料の水準が低いといった理由で応募する人が減っているのも事実です。このような状況ですので、「募集」をかけても他のクリニックと「良い人材」の取り合いになります。この戦いに勝つには、やはりアピールが大事です。どのような点をアピールすればよいかについてご紹介します。
採用強化する工夫(1)「社会保険完備」
「医療事務」の短期アルバイトというのはまずありません。クリニックでできるだけ長く働いてもらいたいという希望があるでしょう。ですから、社会的なセーフティーネット、「社会保険を完備している」という点が大事です。
一般に「社会保険完備」とは、「健康保険」「厚生年金保険」「労働者災害補償保険」「雇用保険」の4つ全てに加入できる職場ということです。
まず、フルタイムで雇用する正社員の場合には全てに強制加入です。また「勤務時間および日数が、正社員の3/4以上である」場合には、アルバイト、パートタイマーなどの雇用形態にかかわらず、健康保険、厚生年金保険に加入が必須です(ただし個人事業主で5人未満の場合は任意加入)。さらに、「週20時間以上」働いてもらい、「31日以上」雇用したいのであれば雇用保険に加入しなければなりません。
人を雇用する者として、以下の5つの条件を満たした場合は、雇用形態にかかわらず健康保険・厚生年金保険に加入義務が生じることを覚えておきましょう。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 賃金月額が8.8万円以上(年間106万円以上)である
- 1年以上の雇用期間が見込まれる
- 従業員501名以上(厚生年金の被保険者数)である
- 学生でないこと(休学中、夜間部などの例外あり)
4は従業員が501名以上でなくても「労使の合意」があれば条件を満たしていることになります。いずれにしても「社会保険完備」は非常に重要なポイントです。応募者を安心させられるようアピールしましょう。
採用強化する工夫(2)「残業時間の明記」
いわゆる「働き方改革」が導入され、雇用者の意識も変化しています。かつてのように、使用者の都合でサービス残業をさせて許される時代ではありません。小規模なクリニックの場合には雑事が多く、スタッフに残業をお願いすることがあるかもしれませんが、それは正直に記載しましょう。
働く人間からすれば、許せないのは「うそ」です。実際に働きだしてから「ブラック企業だった」などという印象を持たれたらすぐに辞められてしまいます。残業がどれくらい発生するのか、多くのクリニックでは「残業時間は月に10時間以内」などと記載されています。当然ですが、残業分の賃金をきちんと支払う旨を面接の際に話し、安心させましょう。
採用強化する工夫(3)「働き方を柔軟に」
最近では「ワークライフバランス」、つまり仕事と生活のバランスをうまく取ることが重視されています。そのため、例えば「時短勤務」や「週1日勤務」といったプライベートを重視できる働き方が提供可能なら、それをアピールするのは効果的です。
「朝番」「夜番」「週1日勤務」あるいは「週3日」など、「時間」「日数」を限った人を多数雇用する、という方法です。「週2日だけ働きたいな」という人のニーズを満たすことができますので十分なアピールポイントになり、応募数の向上が期待できます。ただし、人の管理が大変になるというデメリットがあります。
その他アピールポイントの事例
その他にも以下のような条件は大きなアピールポイントになります。
- 賞与あり
- 未経験可
- 昇給あり
- 育児支援制度あり
- 資格取得支援あり
- 週休2日以上
もし上掲の中で実現できるものがあるなら、ぜひ募集の条件の中に記載してください。人材難ですから、できるだけ他のクリニックに負けない好待遇が必要です。
医療事務をこなす人を募集するのが困難な時代になっています。ただし、小規模のクリニックでなら働きたいという人は少なくない、という話もあるのです。というのは、終業時間がきちんと決まっていますし、残業もそれほど多くないことが多いからです。ただし、それでも全般状況としては人手不足にあることは確かです。今回ご紹介した条件を考慮し、できるだけ好待遇を前面に出してライバルクリニックに負けないようアピールしてください。