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妊婦の高齢化にともない、人気が高まる産後のケア施設。今後のニーズは?

妊婦の高齢化にともない、人気が高まる産後のケア施設。今後のニーズは?

妊婦の高齢化にともない、人気が高まる産後のケア施設。今後のニーズは?

20~30年前と比べてはるかに増加している高齢出産経験者。日本産婦人科学会によって、高齢出産は「35歳以上初産婦 」と定義されていますが、ここ数年はさらに年齢があがり、40歳を過ぎてから初めての出産に挑む女性も決して少なくはありません。著名人が高齢で妊娠・出産したことがニュースになることも多いですが、中には、産後のサポートに高額を投じているケースもあります。かつては、女優の小雪さんが第二子出産後に韓国の産後院を利用したことが話題となったこともありましたが、より手ごろに利用できる施設も増えつつある今、一般人でも利用を検討する人が増えてきています。また、高齢妊婦増加の背景に女性の社会的進出があることを考えると、今後はさらに、産前・産後に多額を投資する夫婦が増えることも予想されます。そこで今回は、産後ケアのニーズや課題について考えてみます。

産後のケア施設の日本での歴史は短いが、急速に成長中 

産後のケアや産後ケア施設が日本で一般に認知されるようになったのはごく最近のこと。小雪さんが日本ではなく韓国の産後院を利用したのも、その当時日本でそうした施設が一般的でなかったためでしょう。韓国の他には、中国なども産後ケア施設の長い歴史を持っています。これらの国々に倣って産後ケアの大切さに目を向け始めた日本では、近年、民間企業のみならずさまざまな自治体も産後ケア施設やサービスの提供に力を入れています。

産褥期の女性の心身回復を助け、育児指導をおこなうことが目的

長いことその重要性に目を向けられることがなかった「産後ケア」。まずは定義について説明すると、「出産後6~8週目までの産褥(さんじょく)期における母親の心身を回復させながら、育児指導をおこなうサポート」です。産褥期の女性は、本来であれば授乳をはじめとする最低限の育児のみをおこない、自らの身体を労わることが大切です。しかし、実家から離れて暮らしていたり、2人目以降の出産で上の子にも気を配らなければならなかったりすると、自分のことは二の次になってしまうのが実際のところです。

産褥期に無理をすることは、産後うつや子どもの愛着障害にもつながりうる

それでもがんばることを美徳とする人も未だいなくはないでしょうが、母親がひとりで抱え込んだ結果、産後うつになったり、我が子に十分愛情を注げないことが子どもの心理的健康を脅かしたりしては元も子もありません。そこで、産後の心身を回復させるためにも、まずはそのサポートをおこなってくれる産後ケア施設やサービスを利用したいと考える女性やその家族が増えてきているのです。

日本で利用できる産後ケアは「日帰り型」「宿泊型」「訪問型」の3タイプ 

では、実際にどのようなサポートがおこなわれているのでしょうか? まずは、産後ケア事業の全体像をみていきましょう。

現在の日本の産後ケアは、「日帰り型」「宿泊型」「訪問型」の3つに大別できます。「日帰り型」を実施している施設は、病院や診療所、産後ケアセンター、保健センターなどで、サポート内容は、保健指導や栄養指導をはじめとする母親の身体のケア、心理的ケア、授乳指導、育児指導など。利用料金は1回あたり1,000円から2万円程度とされるので、比較的気軽に利用できるでしょう。

これに対して「宿泊型」は、一日を通して母親と赤ちゃん両方の様子を見てもらえるためよりゆっくりと心身を休められるうえ、助産師や看護師、栄養士などの専門家に気軽に生活の相談も可能。料金は1泊あたり4,000円から6万円と施設によりけりであるため幅があり、産褥期にまるまる利用となるとかなり値は張ります。しかし、夜間授乳や夜泣きで睡眠不足に悩まされがちな母親がしっかりと休ませられるなど魅力いっぱいです。

残る「訪問型」は、利用者の自宅に助産師や専門家が訪れて保健指導やケアをおこなうというもの。1回あたり500円~2,000円と、日帰り型や宿泊型と比べてリーズナブルに利用できるのがメリットです。

生活保護世帯や低所得者世帯への減免や補助金適用により、今後さらに利用希望者が増えることも予想される

また、生活保護世帯や低所得者世帯は利用料の減免が認められる場合があるほか、各市町村が関わっている産後ケアには、補助金が適用される場合もあります。あらかじめ補助分を差し引いている金額しか払わなくていい施設もあるため、今後ますます多くの母親が利用を検討することが想定されるでしょう。

産後の不安な時期に24時間体制で医療関係者に見守ってもらえることで大きな安堵感を得られる

産後ケアのニーズ増加にともない、病院やクリニック、助産院以外の「産後ケア施設」「産後ケアセンター」も増加しています。こうした施設は、病院や助産院などの分娩施設に併設されている場合もあれば、独立した施設として運営されている場合もあります。いずれの施設にも共通していえることは、看護師や助産師、保育士をはじめとする専門家が、24時間体制で母親と赤ちゃんを見守ってケアしてくれるということ。出産という大仕事を終えた母親は、大きな緊張感から解き放たれているとはいえ、初めてのことで不安だらけ。十分な知識を有した医療関係者が、すぐに駆け付けてくれる体制が整っていることには極めて安心感を覚えるに違いありません。

産後ケア施設のニーズ増加とともに、バラエティ豊かなサービスも誕生

母子ともにリラックスして過ごせるよう、基本は個室。中には、家族が宿泊できるスペースが用意されている施設もあります。また、内装にこだわる施設もあれば、サービスを充実させることで他との差別化を図る施設も増えてきています。

たとえば、身体ケアの一環として提供される骨盤ケアやヘアケア、指圧マッサージ、アロママッサージ、フェイシャルトリートメントなどもそう。産褥期以降の育児によりよい状態で臨むためにも、心身の疲れや慣れない育児への不安や緊張をしっかりほぐしておくのにはうってつけです。こうしたサービスを幅広く提供するためにも、今後は医療関係者と各種専門家が積極的に手を組んでいくパターンも多くなることは想像に難くありません。

また、母親同様、赤ちゃんもリラックスして過ごせるよう、ベビーマッサージやベビーヨガをおこなう施設もあれば、赤ちゃんの写真撮影や各種親子教室、イベントに力を入れる施設も登場。産後ケアの周知およびニーズにともない、サービスを提供する側にも新しい施策を考えることが求められるでしょう。

【ユニーク型】京町屋を堪能しながら心身を癒せる、京都ならではの産後ケア施設

ユニークな産後ケアを提供している施設のひとつが、京都町屋の産後ケア施設『& Sango Care(アンド 産後ケア) 』です。同施設は、「地域課題解決型」をコンセプトに、京町屋やホテルに宿泊しながら利用できる産後ケアサービスを展開。京都らしさ満載の施設で心身を癒せるだけでなく、懐石料理や松花堂弁当を楽しんだり、伝統工芸のアーティストや各国からの旅行者との交流を満喫したりすることもできるのです。もちろん、緊急時の対応も万全で、近隣の産婦人科としっかり連携。安心して利用できるのがうれしいですよね。

【ラグジュアリー型】和洋中楽しめる献立やクッキー教室も楽しみな産後ケア施設

各種女性誌で紹介されることも多い『Mammy Camp TOKYO BAY(マミーキャンプ トウキョウベイ) 』は、キャビテーションやラジオ波マシンを使ったボディーおよびフェイシャルトリートメント、ヘッドスパなどがすべて施設内で受けられることでも人気。和洋中の幅広い献立を楽しめる食事のほか、手づくりおやつも供されたり、クッキー教室やポーセリンアート体験会に参加できたりといった楽しみもあります。また、父親や子どもの兄弟が一緒に宿泊できるオプションも用意されているなど至れり尽くせりです。

【病院・クリニックによる産後ケア】産後ケア入院できる病院やクリニックも人気

ユニークな施策、唯一無二のサービスを提供している産後ケア施設も人気ですが、一方で、やはり医療体制が整っている施設が一番安心できるという利用者もたくさんいます。とりわけ、出産後そのままその病院・クリニック内に産後ケア入院できる場合などは、移動による負担も少なく、すすんで利用したいと考える人も多いでしょう。

東京・中目黒の『医療法人社団 晴晃会 育良クリニック 』は、同院で分娩や妊婦健診を受けていた人などを対象に産後ケア目的の入院を受け入れ。シャワー無し/シャワー付きから選択できる個室で母子ともに過ごすことができ、産後の疲労が辛い場合はナースステーションで赤ちゃんを預かってもらうこともできます。授乳・育乳指導や沐浴練習は無料。希望者は、各乳業会社の栄養士によるミルクの作り方なども受講することができます。

無痛分娩にも積極的な東京・王子の『スワンレディースクリニック 』も、産後ケアに力を入れているクリニックのひとつ。「赤ちゃんがNICUなどに入院された場合、お母さまのみでもご利用いただけます。その場合は乳房ケア(搾乳)をいたします」などの心配りにも好感を抱く利用者は多いでしょう。

診療所と助産院のコラボという新しいスタイルの取り組みをおこなっているのは、東京・木場の『産前産後ケアセンター 東峯サライ 』。ボディマッサージやカウンセリング、アロママッサージなどもサービスで付いてくるなど、利用者にはうれしい特典がいっぱいです。

産後ケア施設のニーズは今後さらに増加

今後、さらなるニーズ増加に伴い産後ケア施設が増えると、「よりよいサービスが受けられる施設」を求める妊婦およびその家族は増えるはず。そうなったとき、ターゲットに選んでもらえる施設でいられるよう、今のうちから理想的なサービスについて考えを巡らせておくのが得策です。唯一無二のサービスを提供するために、他分野の業者やアーティストなどと組むのも一手。妊婦健診から分娩、産後ケアまですべてを充実させるのも一手。利用者目線で施策を考えながらも、自分たちに合ったスタイルを模索してみてはいかがでしょうか?


参考

  1. 高齢出産は何が問題なのですか? 高齢出産のリスクにはどのようなものがありますか。 | オムロン式美人
  2. 産後ケア施設が日本でも増加中。かかる費用は? [出産・育児費用] All About
  3. 産後ケアについて | 一般社団法人 日本産後ケア協会
  4. 産後のママを幅広くサポート!産後ケア施設などの産後ケアサービスで受けられるケア内容は?|Like U ~あなたらしさを応援するメディア~【三井住友カード】
  5. 利用が広がる「産後ケア施設」とは?受けられるケアと料金は? | くらしのお金ニアエル
  6. &SangoCareKyoto | 一般社団法人 日本産後ケア協会
  7. ママのための産後ケアセンター | Mammy Camp TOKYO BAY
  8. 産後ケア入院|入院案内|医療法人社団 晴晃会 育良クリニック -産科・婦人科-
  9. 東京都北区王子の産婦人科|スワンレディースクリニック(SWAN LADIES CLINIC)-産後ケア
  10. 宿泊型産後ケア | 産前産後ケアセンター 東峯サライ | 江東区 木場駅 産後検診 子育て支援 一時保育

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