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整形外科開業で失敗しないクリニック開業ポイントは?

整形外科開業で失敗しないクリニック開業ポイントは?

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整形外科医として独立するなら、まずは整形外科クリニックの特徴をしっかり理解したうえで準備を進めることが大切です。勤務医時代と異なり、経営者としての視点も大切になってくるので、必要な知識を十分に習得しておきたいものです。そこで今回は、整形外科クリニックの開業で踏まえておきたいポイントを説明していきます。

最初に考えるべきことは「リハビリテーションの施設基準を算定するか物理療法だけにするか」

整形外科開業にあたってまず考えるべきことは、リハビリテーションの施設基準を算定するか、それとも物理療法だけにするかということです。

病院では、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を雇ってリハビリテーションの施設基準を算定していることが多いですが、クリニックの場合、スペース的にも人件費的にも難しい場合があるでしょう。しかし、施設基準を算定して理学療法士や作業療法士に人件費をかけたぶん、リハビリから得られる診療報酬も高くなります。整形外科では、リハビリテーションスタッフが医師の指示でリハビリテーションを実施しても診療報酬を算定できるのです。具体的には以下の点数が加算されます。

【点数】

運動器リハビリテーション料金(I):185点/単位

運動器リハビリテーション料金(II):170点/単位

運動器リハビリテーション料金(III):85点/単位

運動器リハビリテーション料は20分1単位で点数が定められており、患者ひとりにつき1日6単位まで算定可能です。たとえば、運動器リハビリテーション料金(II)の届出をおこなっているクリニックが60分のリハビリテーションをおこなったとすると、170点×3=510点が算定されることになります。

また、令和4年度の診療報酬改定によって、糖尿病足病変の患者も運動器リハビリテーションの対象患者となっています。

【点数】

糖尿病合併症管理料として170点/月

一方、物理療法のみしかおこなわない場合、理学療法士および作業療法士を雇用する必要がないため人件費を抑えられることと、一人当たりの診療にかける時間が少なくて済む分、多くの患者を診療できることがメリットです。

立地や物件の選定ポイント

整形外科の患者は基本的に高齢者が多いため、テナントなら1階が理想的。2階以上の場合、エレベーターやバリアフリー設計が必要です。徒歩での通院が難しい患者が多いため、郊外での開業の場合は駐車場の確保も必須です。また、必要面積は約50~70坪で、施設基準を算定する場合に必要なリハビリ室は、最低でも45平米は必要とされています。

参照:厚生労働省「個別事項(その1)疾患別リハビリテーション」p.4より一部抜粋

内装のポイント

整形外科の内装を考えるにあたって考慮すべきは患者の導線です。受付後、直接リハビリ室やX線撮影検査に行く人もいれば、先に診察が必要な人もいるので、患者が動きにくくないようそれぞれのアクセスを分離させることが理想です。

また、足腰や膝に痛みを抱えている患者が多いので、バリアフリーは当たり前。歩行補助器具や車椅子が必要な患者がスムーズに移動できるよう、通路や待合スペースを広めに設計することも大切です。

さらに、脚の曲げ伸ばしが困難な患者が座りやすいよう、通常より高さが高めの腰掛 なども用意できるとなおよいでしょう。

採用のポイント

リハビリテーションの施設基準を算定するためには、厚生局に施設基準の届出をおこなうことが必要です。届出をするために満たすべき人員用件は、区分によって異なるので注意が必要です。

【運動器リハビリテーション料取得に必要な人員用件】

運動器リハビリテーション料(I)の人員基準

運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること

専従の常勤理学療法士または専従の常勤作業療法士が合わせて4名以上勤務していること

運動器リハビリテーション料(II)の人員基準

運動器リハビリテーションの経験を有する専任の常勤医師が1名以上勤務していること

専従の常勤理学療法士または専従の常勤作業療法士が合わせて2名以上勤務していること

運動器リハビリテーション料(III)の人員基準

専任の常勤医師が1名以上勤務していること

専従の常勤理学療法士または専従の常勤作業療法士がいずれか1名以上勤務していること

広告宣伝のポイント

主なターゲットが高齢者となるため、地域密着型の広告媒体などを活用するのがおすすめです。スポーツ外来などを標榜している場合は、部活に力を入れている学生などの利用も見込めるため、ホームページやSNSも十分に活用したいところです。

診察について考えるべきポイント

介護保険を使った通所リハビリテーション(デイケア)を実施すれば、収益拡大につながるので、検討してみてもいいでしょう。医療保険を使う場合、必要であれば150日以上でも運動器リハビリテーションをおこなうことが認められますが、患者ひとりあたりに算定可能な単位は月13単位までと制限されています。一方、介護保険による通所リハビリテーションなら、リハビリテーションを受けられる期間に制限がありません 。

国としても医療保険から介護保険への移行を促進している

維持期(生活期)リハビリテーションに関しては、厚生労働省も、医療保険から介護保険へ移行する方針を公表しています。そのため、物理療法のみしかおこなわない方針の場合、今後は点数をあまり取れなくなる可能性があることは念頭に置いたうえで、自院の方針を決めるといいでしょう。

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