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新人看護師の離職率は下げられる?

新人看護師の離職率は下げられる?

新人看護師の離職率は下げられる?

公益社団法人日本看護協会が公表している「2020年 病院看護実態調査」結果によると、2019年度の新卒看護職員の離職率は8.6%に上ります。2017年以降の3年間の推移としては、2017年度=7.5%。2018年度=7.8%、2019年度=8.6%なので、増加傾向にあることがわかります。では、なぜこれほど多くの新人看護師が早期に離職しているのでしょうか? 理由を紐解いていきましょう。

参照:公益社団法人日本看護協会「2020年 病院看護実態調査」結果 p.5より抜粋

新人看護師が仕事を辞めたいと思う理由は?

厚生労働省の調査によると、"医療機関側が考える"新人看護師が離職する理由はいくつかありますが、主なものは以下の通りです。

新人看護職員の職場定着を困難にしている要因~病院看護部調査~

第1位基礎教育終了時点の能力と現場で求める能力とのギャップが大きい76.2%
第2位現代の若者の精神的な未熟さや弱さ72.6%
第3位看護職員に従来よりも高い能力が求められるようになってきている53.3%
第4位現場の看護職員が新卒看護職員に業務中に教える時間がない39.0%
第5位交代制など不規則な勤務形態による労働負担が大きい37.2%
第6位現在の社会・経済的な状況が経済的自立の必要性を弱めている33.4%
第7位新卒看護職員が看護の仕事の魅力を感じにくい状況がある30.4%
第8位自分が医療事故を起こすのではないかという不安で委縮している28.5%
第9位個々の看護職員を「認める」「褒める」ことが少ない職場風土20.9%
第10位新卒看護職員を計画的に育成する体制が整っていない20.8%
第11位看護業務が整理されていないため新人が混乱する17.0%

参照:厚生労働省「新人看護職員研修の現状について」6枚目より一部抜粋

上図に記した厚生労働省の調査結果にも一理あるといえばあるのかもしれませんが、「現代の若者の精神的な未熟さや弱さ」などは、10年前、20年前との比較も難しく、100%その通りとは言い切れないところがあるでしょう。一方で、「基礎教育終了時点の能力と現場で求める能力とのギャップが大きい」「現場の看護職員が新卒看護職員に業務中に教える時間がない」「新卒看護職員を計画的に育成する体制が整っていない」などは、いつの時代にも共通していえることなので、改善の余地があるかもしれません。また、「交代制など不規則な勤務形態による労働負担が大きい」などは、新卒以外の看護師にとっても辛いこと。人手が足りないなかでも、働きやすい環境づくりのために医療機関側にできることを考えていくことが大切でしょう。

新人以外も含めた看護師全体でみた離職率が高い理由は? 

続いては、「十分に指導してもらえない」など、新人看護師に限った離職理由以外に、すべての看護師に共通する離職理由としてはどのようなものがあるのかをみていきます。

1. 比較的簡単に復帰できるため

医療業界は常に看護師不足であるため、離職してもすぐに再就職先が決まりやすいです。そのため、希望条件と合わない勤め先であれば、さっさと辞めて次を探したほうがいいと考える人もいるでしょう。

2. ライフステージが変化した

女性の場合は特に、結婚や出産を機に退職する可能性は高いです。出産後に復帰するにしても、夜勤には対応できないことからパートなどでの復帰を選ぶ場合も。

3. スキルアップまたはキャリアアップを目指したい

仕事へのモチベーションが高ければ高いほど、「このクリニックで学ぶことはもうない」と見切りをつけるのが速いでしょう。

. 人間関係に悩まされている

先輩看護士との関係性がよくない、医師を好きになれない、などの理由で退職を考える人もいるでしょう。

5. 業務の負担が大きい

人手不足の現場で働くと、時には雑務を任されることもあるはず。また、自分の業務の範囲のことであっても、業務量が多く、残業しなければ終わらないこともあるかもしれません。その結果、心身ともに疲労が溜まると、仕事を続けることは難しくなってくるでしょう。

教育に力を入れると同時にフォロー体制を整えることも大切

新人看護師および看護師全体の離職率が高い理由を踏まえたうえで、自院の看護師に長く働き続けてもらうためにどんな工夫をすればいいかというと、離職理由となりうる要素を少しでも多く取り除くことです。具体的には、新人であれば、しっかり教育すると同時にフォローにも気を配ってあげることが大切。また、最初から高い志を持っているようであれば、責任ある仕事を任せられるように育てたり、資格取得を応援してあげたりすることも功を奏すはず。そうした努力を重ねていても退職者が出てしまった場合は、その代わりとなる人材をスピーディに探すことが大切。いい人材を効率よく探したいなら、人材紹介会社などを利用するのも一手ですよ。

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