令和4年度診療報酬改定にも対応済み。多くの医療関係者が利用している『しろぼんねっと』
4月1日から新しい診療報酬制度(令和4年度診療報酬)がスタートしました。診療報酬の請求を正確に行うためにも、診療報酬制度の内容をしっかりと理解しておきたいところですね。こうした「診療報酬制度」や「診療報酬点数」を確認する際に、多くの医師が活用しているサイトが『株式会社MHA』が運営する『しろぼんねっと』です。
診療報酬点数を見やすい形で公開
『しろぼんねっと』は「診療報酬点数」の閲覧・検索ができるサイトです。『株式会社MHA』では、国から発表された診療報酬点数表をデータベース化し、HTMLで見やすく公開しています。
『しろぼんねっと』は主に以下のサービスを提供しています。
医科・歯科・調剤診療報酬点数表、施設基準の確認
医科・歯科・調剤での診療報酬点数表が確認・検索できます。また、医療機関が体制加算を取るために必要な施設基準の確認・検索も可能です。
疑義解釈の確認
診療報酬点数表が発表されたあとも、関連する通知や事務連絡は随時国から発出されます。そのような、いわば公的なQ&Aである「疑義解釈」についても『しろぼんねっと』で確認できます。
介護報酬
介護報酬改定内容、介護・介護予防のサービスコード表、地域区分と適用地域を確認することができます。
薬価・添付文書の掲載
「製品名」「メーカー名」「識別コード」から検索し、薬価や添付文書を確認できます。「同一成分の薬価」を表示させる機能もあり、ジェネリック医薬品の検索も可能です。
集患からスタッフの増員まで幅広くカバー
『しろぼんねっと』では、ユーザー同士で質問し合うなどコミュニティー機能を有しています。「診療報酬」「施設基準」「介護報酬」「薬価・添付文書」など、分からないことを質問できます。質問すれば、サイトに登録している医師や看護師、医療事務のユーザーからの回答が得られます。
Q&Aコミュニティーを利用することで、他のクリニックがどうしているのか、どのような解釈を行っているのかが分かります。他の先生からの客観的な意見も参考になります。診療報酬請求は地域によって対応や解釈が微妙に異なるため、自分のクリニックの立ち位置を相対化・客観視するという意味でも重宝するサービスだといえます。
他にも、『リードプラス株式会社』と提携した「集患サービス」の提供や、『楽採』という常勤、非常勤、スポットの医師募集に有用なシステムも提供しています。また、『しろぼんねっと』を利用している会員を対象に医事課をはじめとした事務職員の求人サービスも行っています。「診療報酬点数の掲載」だけでなく、集患からスタッフの増員まで幅広くカバーしているのが『しろぼんねっと』の特徴です。
院長先生の利用も多い
最新の診療報酬点数は、会員登録なしで閲覧可能です。会員登録することで、「過去の診療報酬点数」が確認できるようになり、Q&Aコミュニティーも利用可能になります。また、質問・回答をするなど『しろぼんねっと』のサービスを利用するとポイントがたまり、たまったポイントは「Amazonポイント」に交換できる仕組みです。
2022年4月時点で月間170万PV、ユニークユーザー数は月間45万に上ります。登録者数は2022年4月時点で1万8,000人(2021年4月登録スタート)となっています。『株式会社MHA』によると、45万ユニークユーザーうち約10%が医師だと推定しているとのこと。開業直後など、院長自身が診療報酬の請求をするときなどに多く活用されているようです。
『しろぼんねっと』が生まれた経緯・背景
『株式会社MHA』の椎葉美帆さんに、『しろぼんねっと』が生まれた背景や現状、今後の課題などを伺いました。
――どのような経緯で誕生したサービスなのでしょうか?
『しろぼんねっと』は、もともとは個人が作られたサイトだと聞いています。現在は弊社が受け継ぎ運営しています。
――やはり「診療報酬点数が見やすい」という点は高く評価されているのでしょうか?
見やすさ、分かりやすさに加え、改定対応への早さも評価されています。診療報酬点数の改定が行われ、その内容をまとめた書籍が出るまで数ヶ月時間を要します。しかし、『しろぼんねっと』は改定内容が発表されたあとただちに作業し実際の改定前に公開しているのです。また、Q&A機能を活用することで、全国各地の経験豊富かつ高い知見を持つ方々の意見が聞けるのも弊社サービスの魅力です。
また、昨年末から『一般社団法人 日本レセプト学会』と協力して「レセプト管理士」という資格を立ち上げました。クリニックに勤務する事務スタッフは、何を目標に成長すればいいか分からないというケースが多く見られます。「レセプト管理士」という目標を掲げることで、スタッフは目的意識を持ち、主体的に働くことが可能になります。
加えて、クリニックの立ち上げ段階では、人材育成のスキームが確保できておらず、指導が難しいという課題があります。事務スタッフに「レセプト管理士」の資格を目指してもらえば、スタッフ育成も効果的に行えます。スタッフ育成に慣れていない先生の「指導目安」になるのではと考えています。
知見を若い世代に引き継いでもらうサイクルを生み出す
――『しろぼんねっと』の課題や今後の展望を教えてください。
「Q&Aコミュニティー」は、一般的な掲示板と異なり、医師や看護師、医事課職員といった専門家のみが利用する「専門性の高さ」が特徴です。しかし、現在は質問に対して回答してくれるユーザーが必ずしも多いと言えないのが課題です。
『しろぼんねっと』は2005年にスタートしたサービスなので、「若いころ『しろぼんねっと』で勉強した」という理事長先生や事務長は多くいます。しかし、多忙ということもあり、これまでに得た知見を若い世代に返す機会がなく、仕組みもできていません。
今後は回答者の数を増やすべく、「これまでに得た知見を若い世代に引き継いでもらう」というサイクルを作りたいと考えています。先ほどの「レセプト管理士」の資格も、先人の知見を若い世代に還元しようという取り組みの一つです。
――他にはどのような取り組みがありますか?
『しろぼんねっと』会員を対象に、クリニックと事務職員をマッチングさせるサービスもスタートしました。事務スタッフは、出産などで離職し、数年後に再び働きたいと思っても、職場がなかなか見つからないケースが少なくありません。一方で、開業直後など、人手に困っている、即戦力のスタッフが欲しいというクリニックは多くあります。両者をうまくマッチングさせることで、立ち上げのフェーズも大きく変わります。スムーズな開業を実現させるためにも、開業医の先生にはぜひ当社のサービスを活用してもらいたいですね。
『しろぼんねっと』は「クリニックの統合体」
――『しろぼんねっと』を利用しているクリニック、医師からはどのような反響が寄せられていますか?
スタートから17年と長いあいだ、多くの先生に長く使われ続けてきた「信頼」がサービスの強みです。そのため、人材を紹介した際も「『しろぼんねっと』がお墨付きを与えるような人材なら安心できる」といった声をいただきました。厳しい意見も少なくありませんが、皆さまに高く評価いただいていると感じています。
――「診療報酬点数」の確認だけでなく、「診療報酬点数」について意見が交わせるサイトも珍しいですよね。
「診療報酬点数」が見られるサイトや、医師のみ、看護師のみのコミュニティーがあるサイトは多くあります。しかし、医師や看護師、医療事務、レントゲン技師など、さまざまな立場、職種の人が意見を交わす医療コミュニティーサービスはほとんどありません。
『しろぼんねっと』は、実際のクリニックと同じで、さまざまな立場の人間が意見を交わすことができる、多様性のあるサイトです。クリニックを運営する上でも、役立つ意見や情報が得られるのも、高く評価されている要因なのではないでしょうか。
――これから開業する医師にメッセージをお願いします。
『しろぼんねっと』は「クリニックの統合体」のような側面を持つサイトです。多くの経験豊富な医師や看護師、医療関係者がいるので、開業前から何か困りごとがある場合は立ち寄り、質問していただきたいと思います。もしかすると、良い解決策が見つかるかもしれません。開業医の先生にはぜひ活用してもらいたいですね。
『しろぼんねっと』は、最新の診療報酬点数や疑義解釈の確認ができるだけでなく、分からない点を質問したり、議論を交わしたりも可能なサービスです。医師や看護師だけでなく、事務スタッフなどクリニックの総合的な成長にもつながりますから、これから開業する医師は早い段階から利用してみてはいかがでしょうか。