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院長夫人に聞いた医師の妻としての役割とは?

院長夫人に聞いた医師の妻としての役割とは?

クリニックの開院を考えている医師の皆さんは、どの程度奥さんの協力を得ようと考えていますか? 自院を持つと、診療・経営の両面で活躍しなければならず、身近にサポートしてくれる人がいないととても回りません。結論からいえば、ぜひとも奥さんに手伝ってもらった方がいいのです。

今回は、クリニックの経営における夫人のサポートについて、院長の奥さんが会員の『いっぽいっぽの会(医ッ歩一歩の会)』横山実代代表にお話を伺いました。

クリニック院長は奥さんの助力を仰ぐべき!

――クリニックの経営について奥さんも携わるべきでしょうか?

横山代表 私個人としては「ぜひ携わるべき」だと思います。

――それはなぜでしょうか。

横山代表 先生は自分なりの医療を患者さんに提供しようという高い志を持って開業されると思うのですが、クリニックを開院すると診療と経営の両方を見なければなりません。下世話な話になりますが、診療をしながらお金の勘定をするというのはなかなか難しいことです。

また、どうしても人手が足らない部分もありますし、クリニックのスタッフの多くは女性です。スタッフトラブルを防ぐ意味でも信頼できる女性の存在は必要だと思います。また奥さまが携わることで専従者給与、理事報酬など、しっかりお金ももらえます。これは相続対策にもつながります。このようにいくつかの観点からも奥さまがクリニックの経営に携わった方がいいと思います。奥さまに手伝ってもらって、先生はできるだけ医療のことだけを考えられるような体制にするのがいいのではないでしょうか。

――なるほど。

横山代表 院長以外の誰かがしっかり経営のサポートをした方が、クリニックがうまく回ると思います。結局それが患者さんのためになるわけです。また、その「誰か」というのは、やはり奥さまがいいと思います。ですので、私は「奥さまが携わること」を提案しています。身内以上に先生のために働いてくれる人はいないでしょうから。

――確かにそうですね。コンサルタントでは力不足かもしれませんね。

横山代表 先生にとって耳の痛いことも、言わないといけないことがあります(笑)。それを言えるのはスタッフやコンサルタントではなく、奥さまだけだと思います。

――開業すぐでは医師・クリニック院長も経営についてはど素人ですね。

横山代表 例えば、何か物品を購入する際に「あいみつを取る」といったこともしない先生もいらっしゃいます。物品購入の際には少しでも安くというのは経営上、ごく普通のことですが、「あの人はよくやってくれているから」などの理由で、そこから言い値で買ったり、ですとか。

――そんなことがあるのですか?

横山代表 「あいみつ」という言葉を知らない先生もたまにいらっしゃいますよ。特に開業時は高額な買い物が多いですから、少しでも出費を抑えたほうがいいと思います。仮に他よりも多少高かったとしても、付帯のサービスやランニングコストも考慮して、全体のコストパフォーマンスを重視してほしいです。結局は家計に直結しますので、先生がコストについて何も言わないのであれば、奥さまが言うことになるかと思います。

医師が経営について学ぶ機会はほぼない!

――『いっぽいっぽの会(医ッ歩一歩の会)』では、院長夫人の皆さんが経営について学べるように情報交換をされているそうですが?

横山代表 好きでクリニックの経営について携わっているわけではなくて、やらざるを得なくて行っているという人が多いのが現状です(笑)。医師は医師会、同窓会などで横のつながりはけっこうあるのですが、経営について学ぶ機会がほとんどありません。

さまざまな場面で医師同士、経営についての情報を交換するということもあまりないのです。ですので、奥さま同士で生の情報を交換して一緒に勉強する機会を持つことがとても重要になります。

――医師同士ではあまり経営関係の情報について相談しないのですね。

横山代表 先生が情報交換しないで情報不足になると、結局、会計事務所やコンサルタントの先生方の情報をうのみにしてしまう、といったことが起こります。これも問題です。何かを決断する際の「判断基準」を院長自身の中に持たないと、正しく判断できないですよね。基準がないと、「そんなものですよ」と言われると納得せざるをえないのです。院長は診察で忙しいですから、奥さまが情報収集をしていただいて、クリニックとしての判断基準を持つようにすることがとても大事だと考えています。

これからクリニックを開院する医師にアドバイス!

――これから自分のクリニックを開院するという医師にアドバイスをお願いできますか。

横山代表 個人事業主でも医療法人でも、クリニックを経営し、人を雇用するというのはとても責任のあることです。院長一人で経営を考えながら、自分の提供したい医療を行うとなると重労働です。今は可能でも、年を重ねることも考えてくださいね。

診察しながら、クリニックに置く棚のあいみつを取るなどといったことが本当に可能なのかどうか。たとえ丸っとでなくても、人生のパートナーである奥さんに手伝ってもらい、役割分担した方がクリニックのため、ひいては患者さんのためになるのではないでしょうか。

また、クリニックの所得を増やすことは経営のためですが、家計のためでもあります。この点についてよく考えていただければ、と思います。

以下の2点がアドバイスです。

  1. 人生のパートナーと役割分担を話し合うこと
  2. 開業前にレセプトチェックができるようになること

――2.「開業前にレセプトチェックができるようになること」はどういう意味でしょうか?

横山代表 開業時に「レセプト」(診療報酬明細書)をきちんとチェックできる医師は意外に少ない気がします。レセプトはクリニックの収入源です。奥さまが開業前にレセプトのスキルを習得する時間があるのなら、必ずできるようになっておくべき、と私は必ず申し上げています。

――診療報酬がきちんと算定されているかどうかチェックできないと経営が危ぶまれますね。

横山代表 はい。これができないと、診療報酬の請求ができません。「診療報酬を算定できる人を入れればいい」と思うかもしれませんが、これが大きな間違いの始まりです。クリニックの収入源であるレセプト作成があっているか間違っているか、判断できないクリニック経営者はいかがなものでしょうか。

――なるほど。そのスタッフのお手盛りになったりなど弊害が出そうです。

横山代表 はい、よくあるお話です。ですから、開業する医師はレセプトを見られないといけませんし、それこそ奥さまと役割分担するといいでしょう。もし、二人とも見られないなら、チェックのところだけ外注した方がいいと思います。クリニックの経営は思った以上に、業務が山ほどあります。せっかく開業されるのですから、うまく回るようにお二人で協力していかれることをお勧めいたします。

――ありがとうございました。

あらためて院長夫人の役割について思い至る取材でした。クリニックの経営がスムーズにいくよう、人生のパートナーである奥さんに助力をお願いするのはむしろ自然なことと言えるでしょう。経営がうまくいかなければ、二人の人生がおぼつかなくなるのですから。

これからクリニックを開院するという医師の皆さんは、横山さんからのアドバイスを参考にぜひ奥さんに相談をしてみてください。また、『いっぽいっぽの会(医ッ歩一歩の会)』の活動にも注目することをお勧めします。奥さんと一緒にクリニック経営の実際について勉強するのはいかがでしょうか。

参照・引用元:『いっぽいっぽの会(医ッ歩一歩の会)』FaceBook