クリニック開業・経営で「本当に使える補助金」5選
これからクリニックを開業しようという医師・クリニック院長には多くの資金が必要です。しかし、予算には限りがあります。国からの補助が受けられるところはそれを利用してみてはいかがでしょうか。
具体的には「補助金」「助成金」です。
どちらも公的な機関、政府機関や地方自治体などから民間を支援する目的で支給されるお金です。公的な性格を持つため、申請を行って審査に合格する必要がありますが、銀行からの融資と異なり、返済の必要がありません。これは大きなメリットです。
医師・クリニック院長におすすめの「補助金」をご紹介します。
IT導入補助金
経済産業省が支援している助成金制度で、中小企業主に対してITツールの導入を進めてもらうためにあります。「電子カルテ」「レセコン」「オンライン診療システム」なども助成の対象となりますので、2020年現在、クリニックにとって最も使える補助金制度かもしれません。
現在、コロナ禍によって従来の「A類型」「B類型」に加え、「C類型」という特別枠が追加されています。この「C類型」では、最大で「補助率75%」「450万円」の補助を受けることが可能です。つまり「最大600万円」のITツールの導入が可能というわけです。また、「C類型」ではPCやタブレットなどのハードウエアのレンタル代金まで助成の対象となっています。
「IT導入補助金」の詳細については以下の『クリニック開業ナビ』の記事を参照ください。
感染拡大防止支援金
正式には「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」という長い名称ですが、「コロナ補助金」と呼ばれることもあります。医療機関や薬局などの感染防止対策に要する費用について助成することを目的としています。
清拭・消毒などの環境整備にかかる経費はもちろんですが、感染対策としての「診療予約システム」「オンライン診療システム」「自動精算機」など、また患者さんとの非接触を企図した「電子カルテ」の導入なども対象となります。
補助金の上限額は以下になります。
病院種別 | 上限額 |
病院(医科・歯科) | 200万円+5万円×病床数 |
有床診療所(医科・歯科) | 200万円 |
無床診療所(医科・歯科) | 100万円 |
薬局・訪問看護ステーション・助産所 | 70万円 |
「感染拡大防止支援金」の詳細については以下の『クリニック開業ナビ』の記事を参照ください。
トライアル雇用助成金
スタッフの雇用はいつも医師・クリニック院長を悩ませるものです。できれば、試用期間を設けてその人が適切な人材がどうかを見極めたいでしょう。「トライアル雇用助成金」は、そのような要望に応える助成制度です。
職業経験や技能、知識などが理由で就職が困難な求職者を雇用した場合に、ひと月あたり4万円の奨励金が支給されるという制度です。助成期間は最長3カ月間となっており、3カ月試用すれば最大12万円が支給されるため、クリニックからすれば人を雇うハードルが下がって助かります。
「トライアル雇用助成金」の詳細については以下の『クリニック開業ナビ』の記事を参照ください。
キャリアアップ助成金
「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用者に対する待遇を改善することで事業主に助成金が支給されるという制度です。非正規雇用者の「企業内でのキャリアアップ」を促進することにつながるため、働く側はモチベーションの向上、企業側は働き方改革につなげることが可能です。
「キャリアアップ助成金」は全部で以下の7つのコースがあります。
- 正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 健康診断制度コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
例えば「正社員コース」の場合、以下のような助成金が支給されます。
条件 | 支給額 |
有期雇用⇒正規雇用 | 1人当たり57万円(72万円) |
有期雇用⇒無期雇用 | 1人当たり28万5,000円(36万円) |
無期雇用⇒正規雇用 | 1人当たり28万5,000円(36万円) |
※支給額はいずれも中小企業の場合。( )内は生産性の向上が認められる場合の金額
「キャリアアップ助成金」の詳細については以下の『クリニック開業ナビ』の記事を参照ください。
事業承継補助金
「事業承継補助金」は、「事業を継承した経営者」を対象にした補助・助成制度です。医療法人は対象となりませんが、個人開業医で、中小企業基本法の中小企業に該当するのであれば、申請することが可能です。
「事業承継補助金」には以下の2コースがあり、それぞれで支援内容は異なります。
後継者承継支援型
補助率 | 上限額 |
補助率2分の1の場合 | 上限225万円 |
補助率3分の2の場合 | 上限300万円 |
事業再編・事業統合支援型
補助率 | 上限額 |
補助率2分の1の場合 | 上限450万円 |
補助率3分の2の場合 | 上限600万円 |
最近では開業医の廃業も多くなり、例えばクリニックの居抜き不動産なんてものまであります。若い医師がクリニックを継承することはこれから増えてくるでしょう。そんな時にはこの「事業承継補助金」を申請するといいのではないでしょうか。
「事業承継補助金」の詳細については以下の『クリニック開業ナビ』の記事を参照ください。
ここで紹介した「補助金」「助成金」はどれも「使える」ものばかりです。特にコロナ禍の中、存在感を増している「IT導入補助金」「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」はぜひクリニックで利用したい制度です。まだ申請していない医師・クリニック院長はぜひお急ぎください。