IT導入補助金で電子カルテを導入できる?
電子カルテの導入を検討しているけど、予算的に余裕がなくて……とお困りなら、補助金を活用するのも一手です。そこで今回は、電子カルテの導入にあたって利用できる補助金について説明します。
補助金とは?
事業や創作活動をおこなうにあたって、国や地方公共団体などが用意している「補助金」を利用できる場合があると聞いたことがある人は多いでしょう。「補助金」とは、国または地方公共団体が事業者に対しておこなう金銭の給付のこと。国の政策目的にマッチする事業者の取り組み支援を通して、政策目標を達成することを目的としているため、返済は不要とされています。
ただし、国の政策目的にマッチする取り組みをおこなっていさえすれば、必ずしも給付されるとは限りません。申請したら、公益性などに基づいて審査がおこなわれますが、審査の結果、採択された事業者は「交付決定事業者」と呼ばれています。
電子カルテ導入にあたって申請できる補助金は?
電子カルテを導入する目的で申請できる補助金としては、経済産業省の「IT導入補助金、」中小企業庁の「小規模事業者持続化補助金」などが挙げられます。ここからは、このうち「IT導入補助金」について詳しく解説していきます。
IT補助金制度とは?
IT補助金制度とは、中小企業や小規模事業者がITツール導入に活用できる補助金です。「ITツール」とは、ソフトウェアやクラウドサービス、導入設定などのこと。ハードウェア、恒常的に使用されないシステム、VR・AR用コンテンツ制作、デジタルサイネージ用コンテンツ制作、コンテンツ配信管理システム、組み込み系ソフト、従来課金方式の料金体系を持つシステムなどにかかる費用や、リース料金、ライセンス追加、既存ソフトウェアのリビジョンアップ費用、スクラッチ開発費は、"通常は"補助金の対象外となります。
IT補助金は5つのタイプに分かれている
IT導入補助金には、通常枠である「A類型」「B類型」のほか、2020年に新設された特別枠「低感染リスクビジネス枠」に該当する「C類型-1」「C類型-2」「D類型」に分けられます。
「通常枠」の目的は、各中小企業及び小規模事業者に、ITツールを導入することで業務効率化および売上アップといった経営力の向上・強化を図ってもらうこと。一方、「低感染リスク型ビジネス枠」の目的は、労働生産性向上とともに感染リスクにつながる業務上における対人接触の機会を低減する業務形態の形成に取り組む事業者をサポートすること。通常枠と比べて補助率が大きいのも特徴です。また、「低感染リスク型ビジネス枠」においては、ハードウェアレンタル費用なども補助の対象となっています。
通常枠 | 低感染リスクビジネス枠 | ||||
種類 | A類型 | B類型 | C類型-1 | C類型-2 | D類型 |
補助金申請額 | 30万円~150万円未満 | 150万円~450万円以下 | 30万円~300万円未満 | 300万円~450万円以下 | 30万円~150万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | 2/3以内 | |||
ツール要件 | 労働生産性の向上に資するITルーツであること | 複数のプロセス間で情報連携して、複数プロセスの非対面化や業務の更なる効率化を可能とするものであること | テレワーク環境の整備に資するクラウド環境に対応しており、複数プロセスの非対面化を可能とするものであること | ||
補助対象:ソフトウェア費、導入関連費など | 〇 | 〇 | |||
補助対象:ハードウェアレンタル費用 | × | 〇 |
電子カルテ導入はどのタイプに申請できる?
では、電子カルテ導入に活用できるのは5つのタイプのうちどれかというと、導入したいITツールが持っている機能などによって異なります 。「D類型」の"テレワーク環境"に関しても、医療スタッフがテレビ電話などで患者の管理をおこなうことができる電子カルテであれば、"該当する"と考えられま す。
今からでもIT導入補助金に申請できる?
続いて、2021年のIT導入補助金の交付申請締切日は、第1次締切分から第4次締切分に関しては期日が過ぎています。しかし、第5次〆切分の締切日は12月中と予定されています 。また、第5次〆切分で申請した場合、交付決定日は来年1月中、事業実施期間は交付決定日以降来年6月30日までと予定されています。
申請・手続きのフロー
申請・手続きのフローとしては以下の通りです。
- 1. ITツールの選択など事前準備
- 2. ≪交付申請≫
- 3. 補助事業の実施
- 4. ≪事業実績報告≫
- 5. 補助金交付手続き
- 6. 事業実施効果報告
必要な添付書類
また、交付申請時に提出が必要な書類は以下の通りです。
≪医療法人の場合≫
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
- 運転免許証または運転経歴証明書または住民票
- 所得税の納税証明書(その2またはその2)
- 所得税確定申告書B
≪個人事業主でクリニックを運営している場合≫
各種助成は利用しない手はなし!
IT導入補助金のほかにも、クリニック経営を応援してくれる制度は存在しています。もちろん、これから新しい制度ができることもあるので、有益な情報を見逃さないためにも、同業者同士での情報交換や各種勉強会、セミナーへの出席にも積極的でいたいもの。患者の満足度向上のためにも、有益な施策を取り続けられるクリニックで居続けたいですね。