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院内コミュニケーションに有効な方法やツールは?

院内コミュニケーションに有効な方法やツールは?

220520

開業医としてクリニックを経営していくにあたっては、スタッフ間のコミュニケーションにも気を配ることが不可欠です。ホウレンソウができていないと後々大きなトラブルに発展することもあれば、スタッフ同士の喧嘩やいざこざ、突然の退職にもつながりかねません。では、十分にコミュニケーションをとるためにはどんな工夫が必要なのでしょうか? 早速みていきましょう。

クリニックではなぜコミュニケーションが大事なのか

クリニックは、患者やスタッフなどさまざまな人と接する職場です。人と人が関わるうえでしっかりとコミュニケーションをとることができていないと、お互いを信用することが難しく、時には業務に支障が及ぶことも考えられます。スタッフ間のコミュニケーションが円滑でなく、働いている人がいつも不機嫌そうにしていれば患者も気分が悪いですし、必要事項の伝達ができていなければ医療事故につながる可能性もあります。

院内でとるべきコミュニケーションは大きく6パターンにわけられる

では、クリニックのスタッフと具体的にどんなふうにコミュニケーションを取っていけばいいかというと、大きく6パターンに分けられます。

まず、リアルでのコミュニケーションとオンライン会議、テキスト・チャットなどのコミュニケーションで3パターン。さらに、1-1なのかグループなのかで2パターンに分かれます。

6パターンのコミュニケーションのメリット、デメリットは?

続いてはそれぞれのコミュニケーションにおけるメリット、デメリットをみていきましょう。

組み合わせメリットデメリット
リアル×個人・他の人がいると話しにくいプライベートなことも話せる
・ニュアンス・感情が伝わりやすい
・院内に個室がないと実現しにくい
・ハラスメントが起きる可能性が無きにしも非ず
・プライベートの悩み相談など、仕事以外のことでも頼られるようになる可能性がある
リアル×グループ・全員に一斉に伝達できるため伝達ミスが起きにくい
・感情や全体の雰囲気を把握しやすい
・発言が得意な人とそうでない人がいるため、平等に意見を聞けないことがある
・個別な話題はしにくい
オンライン会議(同期)×個人・1-1であっても対面では言い出せなかったことを話してくれる場合がある
・物理的に個室がなくても話せる
・いつでもどこでも始められる
・公私混同してくる可能性があるプライベートの悩み相談など、仕事以外のことでも頼られるようになる可能性がある
・ニュアンスや感情が伝わりにくい
オンライン会議×グループ・情報格差を減らせる
・オンライン上に情報を共有した記録が残して不参加の人にもシェアできるる
・いつでもどこでも始められる
・飛び交う情報が多すぎると処理できなくなる
・発言が得意な人とそうでない人がいるため、平等に意見を聞けないことがある
・個別な話題はしにくい
テキスト×個人・顔が見えない分、意見を言いやすいと感じる人が多いことが考えられる
・移動中などでも参加可能。顔が見えないため、メイクを落とした後などでも参加してもらいやすい
・早めの対応が望ましいが、必ずしもリアルタイムで対応をしなくてもよい
・記録に残るので、後でログを遡ることができる
・タイピングが遅いor億劫に感じる人がいる場合がある
・いつでもどこでも始められるために、スタッフがオンオフ切り替えられないことにストレスを感じやすい(既読をつけたくなくなる)
・文脈やニュアンスがわからないため、お互いに前提条件も含めてしっかり伝えないと、何往復もやりとりが生まれたり、やり取りの中で誤解を招いたりすることがある
テキスト×グループ・顔が見えない分、意見を言いやすいと感じる人が多いことが考えられる
・移動中などでも参加可能。顔が見えないため、メイクを落とした後などでも参加してもらいやすい
・自分から積極的に話さない人に対して、メンション機能によって意見を求めることができる
・「賛成/反対」などスタンプで気軽に意思表示できる
・早めの対応が望ましいが、必ずしもリアルタイムで対応をしなくてもよい
・記録に残るので、後でログを遡ることができる
・タイピングが遅い or 億劫に感じる人がいる場合がある
・いつでもどこでも始められるがために、スタッフがオンオフ切り替えられないことにストレスを感じやすい(既読をつけたくなくなる)
・リアクションルールを決めていないと、自分のテリトリーではない場合、反応が無くコミュニケーションが進まない場合がある

リアルコミュニケーション、オンライン会議、テキストコミュニケーションなどそれぞれにメリットがあるので、普段、仕事以外ではほとんどアプリなどのツールは使うことがないという人も、コミュニケーションに活かせるものは導入していくといいかもしれません。具体的にはとんなツールがあるのかについても追って紹介していきますが、その前にまず、オンラインコミュニケーションの2パターンについてもう少し考えてみたいと思います。

オンラインコミュニケーションにおいて注意すべき点は?

6パターンのコミュニケーションのメリット、デメリットで紹介したように、オンラインで個人的にコミュニケーションを取ることには、「対面では言い出せなかったことを話してくれる場合がある」というメリットがあります。しかし、「面と向かっては言えないけどLINEやメールでなら言える」というタイプは、最低限寄り添ってあげることは大切ではありますが、親身になり過ぎると公私混同してくる可能性などもあるので注意が必要です。そうした観点から、オンラインでのコミュニケーションにおいては、できるだけ全員にオープンに接することができるグループコミュニケーションにとどめるのが賢明かもしれません。

オンラインコミュニケーションに活かせるツールとは?

続いては、オンラインのグループコミュニケーションに活かせるツールを紹介していきます。

まずは、テキストツールを紹介します。

Slack(無料~)

ビジネルチャットツールとして多くの人に選ばれているツールです。料金プランは「フリー(無料)」「プロ(850円/月)」「ビジネスプラン(1,600円/月)」「Enterprise Grid(ask)」の4タイプ。無料での利用でも、直近10,000件のメッセージが閲覧可能で、メンバー同士で1:1の音声通話やビデオ通話をおこなうこともできます。

参照:Slack

Chatwork(無料~)

Slack同様、ビジネスチャットツールとしてはもはやおなじみ。料金プランは「フリー(無料)」「ビジネス(500円または600円/月)」「エンタープライズ(800円または960円/月)」の3タイプ。無料での利用でも100ユーザーとまでつながることができるので、院内コミュニケーションに活かすには十分です。1ユーザーごとに累計7グループチャット利用可能。

参照:Chatwork

Typetalk

チームの働きに対して「いいね」を送れることから、SNSのように気軽に使いながらモチベーションを向上させる効果も期待できます。料金プランは「無料」「スタンダード(638円/月)」の2タイプの用意がありますが、無料版でも10ユーザーまで利用可能なので、小規模クリニックならこちらで十分でしょう。

参照:TypeTalk

LINE WORKS(無料~)

通常版のLINE機能に加えて、院内周知に活かせる掲示板機能、スタッフの予定を把握できるカレンダー機能、資料やファイルを保存および閲覧できるDrive機能などを備えています。料金は「フリー」「ライト(300円/月)」「ベーシック(500円/月)」「プレミアム(1,000円/月)」の4タイプ。無料でもユーザー数100人まで利用可能です。

参照:LINE WORKS

Talknote(有料)

「1つの投稿に対してコメントできるグループ機能」「Talknoteに集約されたコミュニケーションを解析して定量化する機能」などを備え、組織文化の醸成や浸透をサポートしてくれます。利用には、初期費用+月額サービス利用料がかかります(料金は契約内容によって異なります)

参照:Talknote

TUNAG(有料)

日々の業務でのノウハウや事例、振り返りを共有できる「日報」、院長の考えをわかりやすく伝えるのに有効な「トップメッセージ」、日々の業務のなかでの感謝の気持ちを伝える「サンクスカード」などのユニークな機能が豊富。スタッフと一致団結してよりよい医療を提供できるクリニックを目指せます。スタッフの誕生日をみんなで祝うための制度「誕生祭」、新規スタッフ採用時に活用できる制度「ウェルカムランチ」などが搭載されているため、若手スタッフなどには特に楽しんでもらえそうです。利用には、初期費用+月額サービス利用料がかかります(料金は契約内容によって異なります)

参照:TUNAG

続いては、会議(webミーティング)ツールです。

Microsoft Teams(無料~)

Microsoft提供のチャットツールです。音声とビデオでの通話やオンライン会議に活用できます。料金プランは「無料」「Microsoft Teams Essentials(430円/月)」「Microsoft 365 Business Basic(650円/月)」「Microsoft 365 Business Standard(1,360円/月)」の4タイプ。無料版でも、個人用=2GB、チーム用=10GBのファイルストレージが使えます。

参照:Microsoft Teams

Google Meet(無料~)

Google社が提供しているビデオ会議ツールです。無料でアカウント作成が可能で、誰でもすぐに使えます。料金プランは「常時無料」のほか24時間365日対応のサポート付き「月額7.99ドルプラン」などがありますが、日常的なミーティングに使うぶんには無料プランで十分です。

参照:Google Meet

ZOOM

webミーティングツールの代名詞ともいうべきZOOMは、オンライン飲み会などでも活用されることが多いため、スタッフも使い慣れていることが予想されます。無料プランは1回のグループミーティングにつき最長40分の時間制限があります。年間20,100円~の有料プランは、代表者ひとりがライセンスをとればみんなが時間無制限で利用できるので、40分以上のミーティングになることも多そうなら有料プランをおすすめします。

参照:ZOOM

まずは無料版を試してみるのが◎!

上記に紹介したもの以外にもコミュニケーションツールはさまざまに存在しますが、小規模なクリニックでの利用なら無料版でも機能的には十分です。トップ画面のデザインなどを見比べて、好みのものや使いやすそうなものを選ぶと、コミュニケーションがより楽しく感じられるかもしれませんね。また、コミュニケーションツールは全員で使うものなので、みんなが使いやすいと思えるものであることも大切。候補を絞るところまでは院長の独断だとしても、そのなかから実際にどれを使うかはスタッフにも相談しながら決められるといいですね。

業務中のコミュニケーションに役立てられるものとは?

業務時間外のコミュニケーションに関しては、コミュニケーションツールを活用することが役立ちますが、業務中には各自がスマホを操作してコミュニケーションをとるわけにはいきません。かといって患者がいる前で診察と関係ないことで言葉を交わし合うことも好ましくありません。業務時間内に仲間に伝えたいことがある場合は、電子カルテのメモなどを介してやり取りし合うなど、最低限必要なことを伝え合うためのルールは決めておけるといいですね。

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