>
>
>
看護師が患者になったときの心境

看護師が患者になったときの心境

看護師が患者になったときの心境

私は総合病院の外科病棟で働く看護師です。今回は、実際の患者さんや一緒に働く看護スタッフの声をもとに、看護師である私たちが患者として他の医療機関を利用したときの心境について、私の体験を通して紹介していきます。同職種であれば、共感できる部分もあると思うので楽しんで読んでいただければと思います。

看護師であることを知られたくない?

普段は看護師として患者さんのサポートをしている看護師ですが、時には激務から体調を崩すこともあります。私たちも人間なので無理をすれば、普通に体調を崩します。看護師が患者として他の医療機関を受診したり、入院したりすることになった場合、性格によっては、「私、看護師です!」という雰囲気を出す人もいるのかもしれませんが、私や私の周りの看護師の多くは、「気まずいから看護師ということを悟られないようにする」という意見でした。中には、少し観点が異なり、「医療従事者だと知られると、わからないことがあっても医師に聞きにくくなるとから避けたい」という人もいました。確かに、医師は「何気なく「看護師さんならわかると思いますが」といった前置きをするときがあります。これは結構プレッシャーになります。医療従事者であれど、専門分野が異なると全然知識がないです。例えば、私は消化器や呼吸器外科病棟で働いているので、脳神経外科のことについて聞かれても詳しいことはわかりません。科が異なれば、他の科にコンサルテーションをかけますが、昔の人が「餅は餅屋」といったように、自分の専門外の分野は、専門分野の担当に任せるのが一番なのです。

同職種であることを悟られないように……

私の場合、医療機関を受診するときは、「看護師だとわかってしまうと処置の際などに気まずいかな」と思い、できるだけ看護師であることを悟られないようにします。例えば、採血のときに同じ看護師であると、こちらは手技をわかっていますので、「気まずいかな」と思ってしまうのです。採血の際にもなんとなーく針を刺されるところを見ているので、「あー、消毒したのにまた手で触っちゃってるよ、不潔だなー」とか内心思います(笑)これ、逆の立場だったらかなり気まずいですね。いつでも誰に対しても、しっかりと手順通りに処置をおこなうことが大切だということですね。

看護師だと言わなくても、医療機関を受診した際に、ポロっと医療用語の略語を口にしてしまうことがあります。そのときは、「あれ、この人医療関係者?」と言った探りの空気が流れます。一般人では言わないが、医療関係者であれば誰もがわかることばなのですが、こういった略語はどの業界にもあると思います。私が看護師として逆の立場で、患者やその家族と接することもあるので、心境はよくわかります。家族が面会に来た際にも同じことがあり、ナースステーション内で「あの人の家族、絶対医療関係者だよね」という話になります。医療関係者であることが決して悪いことではないのですが、中途半端に知識を持っていた場合、家族から苦情が来たり、トラブルになったりした際には、一般の人より大変になります。 

ここまで看護師だということがバレないようにしていることを紹介してきましたが、正直、保険証を見れば私が看護師だということは、バレバレかもしれません……(笑)

患者としての看護師の心境

私の働く病院にも時折、看護師が患者さんとして入院してくることがあります。今までに私も何人もそのような患者さんを看護した経験があります。患者さんとして看護師が入院した場合は、性格がタイプ別に分かれることが多い気がします。

タイプ1. 姑のように看護師いびりをする人

実際に入院していた患者さんで、元々看護師だった年配患者さんの話です。ナースコールに出るのが遅いと、「コールが鳴ったら5秒以内に出ないとだめ」などと、おそらく自分が看護師だった時代に後輩に指導してきたことを、私たち現役看護師に言ってくる患者さんでした。勉強になることも多くありましたが、昔と今では看護技術も変わってきているので、看護技術のことを言われると、「それはもう古いのになー」と思いながらも、トラブルを起こしてはいけないと思い、「勉強になります」と返答しながら対応していました。

タイプ2. 看護師である同職者の私たちに配慮してくれる人

中堅の看護師で患者として入院してきた人に多いのがこちらのタイプです。私たち看護師が1~10まで言わなくても理解してくれて、こちらの期待する行動を取ってくれます。そのため、スムーズに処置などが進みます。例えば、採血1つとっても、採血しやすいポジションに手を置いてくれたり、言わなくてもタイミング良く手を握ったり、止血の場面でも自らアルコール綿で押さえてくれたりします。自分が看護師として働いていて、逆の立場がわかるからこその配慮ですね。医療行為などを説明した際にも、詳しく言わなくてもある程度のことは察してくれるので何かとスムーズです。

タイプ3. 看護師であることを出さない人

こちらのタイプは意外に多いと思います。気まずくなるので看護師だということを出さずに処置などを受ける私のようなタイプです。こちらのケースでは、外来受診などでは医療関係者だと気づかれないようにすることは可能だと思いますが、入院してしまうと、問診があり、カルテ上にも記載されていると思うので、医療関係者であることを悟られないようにすることは難しいです。このタイプの心境については、前章で詳しく、紹介していますので省略します。

看護師の特徴

今回は、患者として他院を受診した際の事例についてでしたが、町中やプライベートの場面でも、同じ看護師であることはなぜか気づいてしまうという意見が多く聞かれました。私自身、看護師だと言う前から「看護師っぽい」と言われることが多くあります。毎日看護師として働いていると、日常の場面でも雰囲気などに出てしまうんだな、と実感しています。医師なら医師らしく、栄養士なら栄養士らしく働いているうちに、それぞれの職種らしくなっていくことは意外に多いと思います。

実際、看護師になってから学生時代の友達と久々に再会したりすると、「雰囲気がかわったね」などと言われることもあります。社会の荒波にもまれて私自身、良い意味でも悪い意味でも「強くなったな」と思います。正直、強くないと看護師はやっていけない仕事です。一見ほんわかした雰囲気の人でも芯が強い人が多いです。性格まで変えてしまう看護師の仕事。ちょっと恐ろしいですね。 

看護師あるある

 以下に「あの人、看護師かな!?」と気づいてしまうポイントについてまとめます。

  • 歩く速度が異様に速い(病院内で忙しく、常に時間に追われているため)
  • サバサバしているか、ほんわかしている(内科系か外科系かではっきり分かれる)
  • 夜勤明けっぽい疲労感が伝わる(午前中に眠たそうな顔で歩いている人など)
  • 食べるのが早い(夜勤休憩中などいつナースコールで呼ばれるかわからないため、早食いになる)

もしかしたら他の職種でも、このように共通の特徴があることはあるのかもしれませんね。同職種同士だと、その分野における知識があるからこそ、お互いに気まずかったりするものです。

医者が入院してきたときは……

今回は、看護師が入院してきたときのことを中心に紹介しましたが、病院には、医者が入院してくることもあります。いつも周りで見ている看護師でも医者が患者として入院したときは、「主治医の先生、やりにくそうだなー」と感じます。同職者同士だと、良い面も悪い面もあるので難しいですね。良い面は大いに活用し、きまずい部分は上手に対応していく必要があると感じます。

お役立ちコラムピックアップ

【医師の診療科ランキング】年収1位は脳神経外科。勤務時間は?

【医師の診療科ランキング】年収1位は脳神経外科。勤務時間は?

医師のエリートといえばどの診療科?さまざまな角度から考察してみた

医師のエリートといえばどの診療科?さまざまな角度から考察してみた

医療事務の平均年収とは

【医療事務の年収事情】契約形態毎にご紹介

オンライン資格確認 顔認証付カードリーダー 徹底比較

顔認証付きカードリーダーの特徴・機能比較

コロナで人と会えない孤独を救うインターネットは、入院患者にとって絶対必要なもの

9月末までの申請で、国の予算で自院に患者用Wi-Fiを導入できる!