チーム医療の大切さ

チーム医療の大切さ

チーム医療は、実践しようとしてもなかなか難しいのが実際のところです。患者さんに対して良いケア、支援をしていくために、チームが一丸となることが大切ですが医療スタッフ同士の意見の違いや、知識不足で何度も悩み、悔しい思いをしたことがある方も多いと思います。そこで今回、実際に臨床の場に出て看護師として働いていた私が感じた、患者さん一人ひとりの治療目標を目指す上でのチーム医療の難しさなどをお話ししたいと思います。

チームとは?

医療現場では、様々な職種のスタッフが集まり、ひとつのチームとなって患者さんに関わっていきます。

職種は下に表示している通りです。

  • 医師
  • 看護師
  • 介護士
  • リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士・言語療法士)
  • ソーシャルワーカー
  • 栄養士
  • 放射線技師
  • 薬剤師
  • 事務など

患者さんに関わる全ての人がチームの一員です。直接患者さんと話さない人でもチームの一員です。それぞれの職種の人がどんな役割を果たしているのかを把握することも、チームの一員として大事にすべきことです。

次に、実際現場で働いて大変だったことを話していきます。

実際に大変だと思ったこと

1.コミュニケーション力の低さを痛感した

職場を変わったばかりで、同じ看護師の指導者や上司に話すことがやっとだったころ、多職種と話すことはあっても同期の子だけでした。多職種の先輩や上司に声をかけることはほとんどありません。そんななか、初めて担当患者さんを持ち、指導者から「多職種の人にも声をかけるといいよ」とアドバイスをもらいますが、初めましての人にどんなふうに声をかけていいのかわかりませんでした。

見た目だけで判断してしまい、「あの人話しにくそうだな」「なんか機嫌がよくなさそうだから今はやめておこう」など、自分の憶測で声掛けを怠ってしまったこともありました。

2.経験値の低さがネックとなった

色んな職種の人が集まると、最終的には良い方向に進んでいくと思います。しかし、それまでの過程の中では辛いこともあります。私の場合、経験値が少なくついていけないでいました。ただうなずくだけで発言もできず、聞きたい内容のレベルが低すぎて聞いていいのかわからず仕舞い。多職種の人が話す専門用語についていけないことに悩むこともありました。

3.アセスメント能力の低さにも気づかされた

合同カンファレンスの際に、患者さんの治療達成目標についてそれぞれの職種で発表していきますが、患者さんの情報不足などからきちんとアセスメントできていないことに気づかされました。ただ表面的なアセスメントをしているだけでは、先につなげられるわけがなく、多職種からたくさん突っ込まれることがありました。

チーム医療に必要なことは?

1.多職種間でのコミュニケーション

実際に大変だったことであげたように、コミュニケーション能力の低さが原因で、必要な情報を得ることができない、固定観念で先に進むことができないなど、ぶち当たる壁が多くありました。人間なので、個人に対して好き嫌いはあるかと思います。しかし、患者さんにはそれは全く関係のないことです。好き嫌いがあったとしても、コミュニケーションはしっかりと取っていくことが大事です。

多職種間でしっかりとコミュニケーションを取ることで、情報共有ができ、同じ方向を向いて目標までに辿り着くことができます。

あの人苦手だな…を減らす

誰でも、苦手だと思う人、嫌いだなと思う人はいます。「苦手」という意識を強く持って相手に関わっていることは多いでしょう。しかし、なんてことない話から始めて、話す時間を増やしていくようにすると、相手のことが少しずつですがわかってきます。わかってくることで、苦手な気持ちが少しずつですが変化していきます。

そこで「本当にこの人は無理だ」とわかってくることもあると思います。しかし、社会人なのでそれでも対応は必要です。

多職種のスタッフとの関わり

同じ職種の人と話すことは、相手の仕事のことをわかっている分、簡単ですが、他職種の相手となると話が合うか心配になり、うまく言葉に出すことが難しく思えることもあるかもしれません。日常会話から始めることで徐々に距離も近くなっていき、自然と担当患者さんについて話ができてくると思います。同僚として仲が良いことはもちろんいいことです。しかも、知識が高いスタッフと関わりを持つことで、自分の知識や許容範囲が向上してきます。

2.知識をつける

知識を増やすためには勉強するのが一番。学べば学ぶほど、知識は増えていきます。ただし、夜勤をこなしながら時間を確保することは大変です。

私は、

  • 自分の職種についてしっかりと勉強する
  • わからないことをそのままにしない
  • 時間を決めておこなう
  • 事柄を細く絞って勉強する

この4点を念頭に置き、実践していました。

3.情報の幅を広げる

自分の職種に関する基本的な知識はもちろんですが、それに加えて、多職種の仕事内容なども把握して情報共有をすることで、コミュニケーションのコツなどもみえてきます。

私は、実際に必要なことをコツコツとやっていくことで、知識だけでなく、それぞれの役割がしっかりと見えていき、多職種との関わりがより深くなっていったことが実感できました。

勤務中、チーム間で話をするには?

一日の勤務が終了したから、担当患者さんについて話し合うことが多いと思います。しかし、最近は働き方改革などの影響で残業が制限されているところなども多く、そうなると勤務中は業務に集中しなければならないため、多職種と話をする時間を捻出することは難しいと思っている方も多いと思います。そこで、カンファレンス以外の時間にも、業務しながら他職種と話を作る機会を持つにはどうすればいいかをお話ししたいと思います。

相談相手に事前に話したいことについて、メールまたは朝の声掛けなどで伝えておく

急に、「〇〇さんの、▢▢について相談しても良いですか?」と、勤務中に言われても相手はなにも準備をしておらず、きちんとした答えを返すことができません。事前に相談内容を送り、いつの時間に話しかけてよいのか確認しましょう。

全部を確認するのではなく、大事なものを優先的に確認していく

「今日はこの話をしよう」「このひとつだけ聞いてみよう」など、一気に物事を確認するのではなく、大事なものから優先的に話をしていきましょう。いっぺんに考えようとすると整理ができなくなり、何が患者さんにとって大事なのかわからなくなる場合もあります。その結果、方向性を見失うこともあります。

他職種の上司に確認する

チームのスタッフに確認できればいいですが、勤務時間が合わなかったり、話すタイミングを逃してしまったりといったことがあると思います。その場合は、他職種の上司に確認をするといいでしょう。上司は部下の相談を受け、全患者さんを把握しているので、確認しやすいと思います。

まとめ

以上、私がこれまで実践したことなどをお話しましたが、なかには、すぐにはうまくいかなかったこともありました。しかし、いろんな人に相談することで自分の悩みを解決できるだけでなくチームの悩みの解決にもつながっていくと実感しました。このことから、患者さんにより良いものを提供するためにも、一緒に働く相手のことも考えながら、チーム医療を実践していくことが大切だと学びました。

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