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急変時の対応で本当の性格がわかる

急変時の対応で本当の性格がわかる

急変時の対応で本当の性格がわかる

私は総合病院の外科病棟で働く看護師です。今回は、一緒に働く看護スタッフの声や私の体験をもとに、 急変時の対応 について紹介していきます。今後の患者への対応の参考になれば幸いです。

急変とは

医療現場で働いていれば、誰もが患者さんの急変時に直面したことがあると思います。急変とは、字のごとく、急に患者さんの病態が悪化することです。急なことで予測できないことのため、医療スタッフも慌てたり、対応に戸惑ったりすることもあるものです。

急変と一言で言っても、ショックや意識消失、心停止、呼吸状態低下など、さまざまなタイプの急変があります。全く同じ急変というものはないため、そのときそのときで対応が異なり、自分には今、何ができるのか考えて、臨機応変に対応しなければいけません。できる限り迅速に対応しなければ患者さんの命にも直接関わるため、医療スタッフも必死になります。

具体的に言うと、心肺停止をした患者さんの救命率は、1分ごとに約10%下がると言われています。例え命が助かったとしても、適切な対応をしていなければ、救命されたあとに後遺症が残ったりもします。そのため、医療スタッフの救命処置の技術は、本当に重要になるのです。

人手がある日中の急変であればまだ、スタッフ間で協力できるので対応しやすいのですが、スタッフが限られている夜間の急変対応はかなり大変。1人ひとりの対応力が求められます。急変時の対応については、経験年数や技術力などによっても大きく差がでます。急変は、何度か経験しないと動き方もわかりません。また、いつ急変するかもわからないため、急変時の対応を思い通りに身に着けることは難しく、経験が物を言うことも多いです。

急変時の対応

急変時は医療スタッフも慌てるため、普段と異なる一面が見られたりします。急変すると、普段は穏やかな人でも本当の性格が出てきたりするものです。どんなパターンがあるのか、タイプ別に分けて紹介します。

タイプ① 慌ててパニックになる人

急変時には、医療スタッフも混乱したり慌てたりするもの。パニックになって混乱してしまうスタッフもいます。普段は冷静な人が、落ち着いていればできることに対しても慌てているため、失敗することもあります。

私が実際に経験したことでいうと、患者さんが急変した際に後輩に、「急いでAEDと救急カートを持ってきて!」と言ったところ、焦っていたのか、その後輩は処置室にあったエコーを全速力で持ってきて、「持ってきました!」と堂々と報告をしたことがありました。(後輩ちゃん、それはエコーです。何だと思ってそんなに張り切って持ってきたのかな)と思いながらも、それを指摘している時間もなく、そのうちに冷静な看護師がきちんと必要な物品を持ってきて、エコーは静かに片づけられたのでした。

このように、急変になると、特に経験年数の浅いスタッフは焦ってしまうことがあり、何をしたらいいのかわからずウロウロとしたり、逆に固まってしまったりしがちです。実際に見て学ぶことも大切なため、そのようなときには邪魔にならないところで見学することで学んでいってほしいなと思います。

タイプ② イライラしてしまう人

急変時は一刻一秒を争うため、思うように動けないスタッフがいたり、チーム間の連携がうまくいかなかったりすると、怒ったりイライラしたりするスタッフもいます。モタモタしていれば患者さんの命に関わるので、そうなるのも仕方ないとも思います。

しかし、場の空気が悪くなったりしてしまうため、怒ったりはしないように意識してほしい、という意見も多く聞かれました。本人は怒っているつもりはなかったとしても、急変時には、口調が荒くなったり言い方がきつくなったり、ついつい大きな声で指示を出してしまうため、周りのスタッフから見ると怒っているように感じてしまう場合もあります。

怒っているスタッフがいると、周りのスタッフも混乱したり、さらに焦ってしまったりするため、急変で慌てているときこそ、冷静に落ち着いて対応する能力が求められます。指示を出す側の医療スタッフは、まずは自分自身を落ち着かせて、冷静に的確な指示を出して周りのスタッフが動きやすいように配慮していくことも大切になります。

タイプ③ 張り切ってその場を仕切る人

中には、急変時に張り切る看護師もいます。率先して動き、医師の指示の前に必要物品を準備し、スムーズに医師の介助をします。こういったタイプの看護師がいると心強いです。的確な指示を出してその場を仕切り、スムーズにスタッフが動けるように配慮してくれます。

失敗してはいけない場面で、ルートキープをスムーズにできたりした際には、心の中でガッツポーズをしている、という看護スタッフも私の周りにはいます(笑)。急変した際には血圧も下がっており、末梢の血管が見えにくくなっている場合が多いです。普段から血管が細くて、ルートキープが厳しい患者さんの場合には、さらにルートキープの難易度が高くなるため、高い技術が求められます。医師が到着していれば動脈からのアプローチをすることも可能ですが、医師が来る前にスムーズにルートキープができるかどうかがその後の延命率に影響します。

普段の看護技術がこういったときに試されるというわけです。そのため、急変時には経験値や技術の高さが普段よりもさらに求められます

理想の医療現場

急変した患者さんを医療スタッフで協力して助けることができた際には、何とも言えない達成感があります。医療スタッフ同士も不思議と団結力を感じ、チームワークが高まります。時には、心臓マッサージなどをして患者さんの命を全力で助けるため、疲労感もあるのですが、アドレナリンが出ているのか、その場では疲れは感じません。その代わりと言っては何ですが、落ち着いたあとにやってくる疲労感は半端ないものです。次の日には筋肉痛になり、身体がバキバキになると言った声も多く聞かれました。

医療スタッフ同士の団結力を高めるためにも、普段から急変時の対応ができるように研修や職場内での教育や個人の学習、イメージトレーニングなどをして、いざとなったときにスムーズに動けるように訓練しておくべきです。

急変時こそ、チームワークが大切になるので、職場内ではコミュニケーションをよく取り、普段から良い人間関係を築いていくことが重要であると考えます。急変時こそ、医療スタッフ同士の連携とチームワークを発揮して、患者さんの命を助けていくことが必要だと思います。

まとめ

急変時に求められることについて、今一度以下にまとめます。

  • 冷静な対応や判断能力
  • 的確な指示を出す能力
  • 高い技術とスムーズな対応力
  • 医療スタッフ同士の連携能力

急変時には、医療スタッフもパニックに陥ったりするため、普段から上記のことを意識して働いていけば、急変時にも迅速に対応できると思います。今回の記事が急変時の対応について考えるきっかけとなり、今後のより良い医療に繋がればと思います。

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