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スタッフを定着させることの大切さ

スタッフを定着させることの大切さ

スタッフを定着させることの大切さ

社会人としてはじめて勤務したクリニックで出会った非常勤の先生から、クリニックを退社後に「実家のクリニックをリニューアルするため、働いてくれるスタッフを探している」と連絡をいただき、働き始めることに。先生は、知り合いだけを集めて自院を再スタートさせました。

元々あったクリニックをリニューアルしたため、開業時の呼び込みなどはおこなわずとも、一年程度でうまく軌道に乗りました。そこで、患者さんの増加に合わせて、スタッフも増員させようとするも、なかなか定着せず……。

そこで今回は、スタッフが定着するまでの苦労と、離職の大きな原因となっていた福利厚生についてお話します。

スタッフが定着するまで

新人で溢れているので常に教えている

スタッフが定着していないクリニックは、働いているスタッフの大半が、新人もしくは研修期間を終えたばかりのスタッフです。クリニックの流れや患者さんの情報をまだ完全に把握していない人が大勢いるため、バタバタと忙しく、常に誰かに何かを教えている状態でした。

まだ融通の効かないスタッフがトラブルを起こした場合、業務の最中でも一旦手を止めて教えないといけません。これが本当に大変で、ちょうど区切りのいいところならいいのですが、なんとも微妙なタイミングや時間のかかる内容で呼び出されたり、そんなことでと思うような些細なことで手を止めさせられたりすることが続くと、作業をスムーズに進めることができませんでした。

慣れたころに辞めてしまう

一通り指導が終わり、やっと少し任せることができるようになったころに辞めてしまうスタッフが一番多かったです。「身内の介護」「実家に戻るため」などが主な理由でした。本当かどうか怪しい理由ですが、疑っても仕方ないのでそのまま受理して退職してもらっていました。

中には突然来なくなり、連絡すらつかなくなってしまうスタッフも。他のスタッフとも問題なく円満に過ごし、率先して仕事を引き受けていたスタッフが、突然何の連絡もなく来なくなってしまったのです。一番近いポジションで働いていたスタッフが、「一人暮らしだったため何か事故に巻き込まれたのではないか」と心配し、履歴書の住所まで確認にいくと、なんと嘘の住所を記載していたのか、別の人が住んでいました。

最初から辞めることを見越していたのか、それとも勤務中に引っ越したのかは分かりませんが、周りのスタッフからの評価が高かっただけにとても残念でした。

即戦力を狙い経験者を雇うも

未経験の新人の「これはどういう意味ですか?」「これはどうしたらいいですか?」の質問責めには、正直疲れるところがありました。医療現場なので専門用語も多く難しい漢字もたくさんでてくるため仕方ないですが、受付として採用したまだ年齢の若い新人に多かったのが「これはなんと読みますか?」だったことはびっくりでした。

しかし、経験のある人を採用したところ、そんな質問は一切ないのはもちろんのこと、一歩先を見て行動してくれるため特に指導することもなく、クリニックの流れを一通り伝えるだけでテキパキと動いてくれました。「教えても、また辞めてしまうのでは……」と指導に疲れていたスタッフからするととてもありがたい存在でした。

ところが、いいことばかりではありませんでした。別の医院で長く勤めていた経験のある人を雇うと、「前のクリニックはこうしていた」「前のクリニックでその方法はアウトだった」などの「前のクリニック」の流れを前面に押し出し、自分のやり易い流れに変えようとする人もいました。

もちろん、その方法がクリニックにとっていい方向に進む方法であれば積極的に取り入れていくのですが、ただの文句になっている人も多かったです。

お手伝い程度に学生のバイトも採用

とにかく人手が足りなかったため、看護学校に通う学生をお手伝い程度のバイトとして雇い、学校終わりの数時間だけ働いてもらったこともありました。学校で勉強しているためある程度の知識があり飲み込みもはやく「このまま卒業後に就職してくれれば」と、みんなが期待したのですが、そううまくはいきませんでした。就職先はしっかりと大手のクリニックに決め、丁寧な挨拶と共に退職していきました。

患者さんとしてずっと通院していた近所の学生の子をバイトで雇ったことも。先生とも仲良くしていたので最初は良かったのですが、慣れている場所だから気がゆるむのか、サボることが目立ち始めました。先代の先生と家族ぐるみの付き合いもあったため、こちらも悪くはできず、「いるだけでこちらのストレスが溜まるバイトがいる」という残念な結果になってしまいました。

定着してくれない原因は?

入れ替わりの多いクリニックの印象

離職が続くことから募集を繰り返していたので、定期的にどこかの求人サイトに広告を出している状態でした。新聞の折り込みチラシの求人広告にも掲載していたので、患者さんから「また求人広告出していたね」「このあいだの人は辞めちゃったの?」「また新しい人増えるの?」と聞かれることもしばしば。確かに、定期的にスタッフが入れ替わっていると、クリニックになにか問題があるのかと思われて当然かもしれません。

患者さんの治療内容によっては長期的に通われる方も多く、年配の方は特に「いつもの慣れた先生と看護師さんがいい」と希望されます。そんな患者さんの希望にも応えることができず、「また新しい看護師さんが担当?」と不満を漏らされることも。「きちんと引継ぎはできているのか」「また同じ説明をしないといけないのか」「慣れたと思ったら新しい人になるな」など言われる患者さんもいました。

スタッフと仲良くしようとしない先生

そもそも募集をかけている理由は、患者さんの増加に伴い、従来の人数での業務が難しくなったことでした。二人採用して一人残ればいいという考えで募集を始めたのですが、採用しては退職の繰り返しに疲れてしまったスタッフたちが「すぐに辞めてしまう原因を考えて対策をとろう」と一致団結しミーティングをおこないました。

院内で、退職者に近いポジションで働いたスタッフや親しくしていたスタッフが「本当の退職理由」を聞き出せるのであれば聞き出し、次の採用の際の参考にしたり、院内での指導方法や環境作りに役立てることができるのではと、それぞれ案を出し合いながら真剣に話し合いました。

しかし、そんななか突然、院長先生が投げやりな言葉を発したのです。「僕はスタッフと仲良くなくても、スタッフ同士が仲良くやっていてくれればそれでいい」という内容でした。院長先生のクリニックなのに、なんと先生はスタッフに無関心だったのです。言われてみれば、既存のスタッフとは仲がいいものの、新しく採用したスタッフたちに先生から話しかけたり、指導したりしている姿を見かけたことがありませんでした。新しいスタッフに関心のない先生が採用して、その後の指導も丸投げでは仲良くなれるはずがありません。

福利厚生に問題?

家族で経営する小さめのクリニックだったので、福利厚生はそれなりでした。休みは週二・五日、有給休暇、大型連休、年一回の昇給・年二回の賞与、社員旅行は毎年海外に連れて行ってくれます。有給も取りにくい雰囲気はなく取りたいタイミングで取れ、他のスタッフと希望が被ってしまった場合のみ変更のお願いをされる程度でした。ただ、女性の多い職場なのに、育休・産休がありませんでした。結婚を考えている女性にとっては必ずチェックしたいポイントなので、退職の原因のひとつだったかもしれません。

給与の面でも、昇給額・賞与額がインセンティブに近いシステムでした。クリニックに貢献した度合いにより給与に反映され、クリニックのためになるような提案を先生に提出し、採用されれば昇給・賞与に反映されるというものでした。

しかし、ただ頑張り次第で給与に反映されるのでいいのではと思うのですが、この「クリニックに貢献した度合い」というものに「先生のお気に入りかどうか」も含まれるため、実質先生のお気に入りにさえなれば、簡単に「貢献した」ことになるということでした。ここが少しやっかいでどれだけ真面目に働いていて、ミスも少なく、患者さんからの支持が厚くても、「先生のお気に入り」から外れることがありました。クリニックのためというよりは、先生のためになることをしなければいけない雰囲気がありました。

まとめ

最終的な原因はお給料のシステムにありそうなのですが、うまくやればお給料に反映されるため誰も文句は言わず受け入れていました。既存のスタッフにはやり易いシステムですが、新しく採用された人からするとかなりやりづらかったかも知れません。今後は、純粋に「クリニックへの貢献度」で判断されることを願います。

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