【内科医の年収事情】多彩な働き方ができる!
現在、日本で活躍している医師は約30万人いますが、そのうちの1/3に該当する10万人強は内科医です。これだけ多ければ、飽和状態となるのは当然のこと。医師不足が深刻化しているとはいっても、内科医だけは人数が多めです。その理由は、手術や分娩をおこなうことがなく、仕事の負担が少なめだから。診察と投薬治療がほとんどであるため、精神的にも体力的にもハードルが低いと考える人も多いのかもしれません。では、実際のところ内科医はどんな診療をおこない、どのくらい稼ぐことができるのでしょうか? 詳しくみていきましょう。
平均年収1247.4万円、他診療科目と比較した場合は真ん中の水準
順位 | 診療科目 | 平均金額(万円) |
---|---|---|
1位 | 脳神経外科 | 1480.3万円 |
2位 | 産科・婦人科 | 1466.3万円 |
3位 | 外科 | 1374.2万円 |
4位 | 麻酔科 | 1335.2万円 |
5位 | 整形外科 | 1289.9万円 |
6位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267.2万円 |
7位 | 内科 | 1247.4万円 |
8位 | 精神科 | 1230.2万円 |
9位 | 小児科 | 1220.5万円 |
10位 | 救急科 | 1215.3万円 |
11位 | その他 | 1171.5万円 |
12位 | 放射線科 | 1103.3万円 |
13位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078.7万円 |
参考:勤務医の就労実態と意識による調査 – p.30 一部抜粋
少し古いデータですが、2012年に比較した勤務医の就労実態と意識による調査結果では1247.4万円でした。上記では13で分けた診療科目の中では7番目というランク付となり、医療業界ではほぼ真ん中の水準だと言えます。
内科医は大きく3種類に分類される
内科医の専門分野は、大きく3種類に分かれます。うちひとつは「消化器内科」で、主に胃腸の疾患や不調を扱います。また、筋肉や神経、脊髄の疾患に特化した内科は「神経内科」、精神的なことが原因で内臓に不調をきたす病気を専門とする内科は、「精神内科」に分類されます。
内科を訪れる患者は、急性疾患である場合もあれば、生活習慣病をはじめ、長期的な視野を持ってケアしていくことが必要な慢性疾患に悩まされている場合もあります。そのため、診療にあたっては食生活の改善サポートなどの生活指導をおこなうこともあれば、精神科などのその他の診療科と連携して患者をサポートすることが必要なこともあります。
年収1000万円超えが約7割
300万円未満 | 300万円~500万円未満 | 500万円~700万円未満 | 700万円~1000万円未満 | 1,000万円~1500万円未満 | 1,500万円~2,000万円未満 | 2,000万円以上 | 500万円未満・計 | 1000万円以上・計 | 平均金額(万円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3.50% | 7.10% | 7.40% | 13.50% | 29.20% | 28.40% | 10.90% | 10.60% | 68.50% | 1247.4 |
続いて、年収帯の割合をご紹介します。上述でいうと、約7割の医師1000万円を超えています。医師人口で最も多い内科医の7割が1000万円を超えているため、平均年収をお仕上げている科目である1つに変わりはないでしょう。
開業医の年収は勤務医の約2.2倍
一般病院勤務 | 1,247万円 |
---|---|
診療所(入院なし)院長 | 2,702万円 |
どのくらいの差が出るかと言うと、2019年実施した「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」によると、勤務医に対して開業医の年収は平均約1.8倍にも上ります。ただし、開業するためには数千万円の資金が必要です。また、開業してからも、家賃や人件費、福利厚生費、リース料、広告費などさまざまな支出があるため、本当に開業が最善の選択であるかをじっくりと考えてみてもいいかもしれません。
内科医の生涯推定年収はいくら?
勤務医であるか開業医であるかをはじめ、働き方の選択によって年収には大きな差が出るため、自ずと生涯推定年収も変わってきますが、平均値をとると、およそ5億程度です。昨今は「老後に必要な資金は2,000万円」と言われていますが、その額を貯蓄できずに困っている人がたくさんいることを考えると、内科医の生涯推定年収は高く感じられるでしょう。
内科医はいろんな働き方ができる
続いては、内科医の働き方について考察します。内科医は、病院やクリニック以外に介護保険施設などでも活躍できます。また、入院可能な病院であるかそうでないかによっても、業務内容に差が出ます。
入院可能な医療機関
大学病院や市中病院のような入院可能な医療機関の場合、「入院患者の診療」「外来の患者の診療」「当直業務」など幅広い仕事をこなさねばらないため、体力も精神力も必要です。ただしそのぶん、時間外手当や日当直手当が支給されるので、忙しければ給与が高めになります。
入院設備のない医療機関
一方、ベッドなどの入院設備を備えておらず、外来をメインとしているクリニックなどは、当直業務や患者待機の当番などもないため、ワークライフバランスを保ちやすいのが特徴です。給与面に関しては、入院可能な病院と比べて低くなる傾向にありますが、開業医になって地域住民の健康に貢献するなど、自分らしい働き方を追求することもできそうです。
介護保険施設
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの公的施設も、内科医の勤務先のひとつです。これらの介護保険サービスとして利用できる施設は、医師を配置することが義務付けられています。高齢者の割合が増えている現状を考えても、内科領域を幅広く扱える内科医は、今後ニーズが高まるに違いありません。
検診業務で稼げるのも内科医ならでは
現在の勤務先や働き方を大きく変えずに収入アップを目指すなら、検診業務に対応するのも一手です。多くの学校などで健康診断がおこなわれるシーズンには、求人を出す医療機関も多いため、単発アルバイトで稼いだ経験がある内科医も多いかもしれません。各市町村などのがん検診の際なども同様に、医師の求人がありますし、それ以外に健康センターなどの常勤医が募集されることもあります。いずれの場合も、内視鏡を扱うことができると重宝され、給与の水準が上がる傾向にあるので、内視鏡を扱う資格などを有しているなら、応募の際にアピールしてみるといいですね。