【現場の声】オンライン資格確認、薬局での導入で注意する点とは?
オンライン資格確認の導入が急ピッチで進んでいます。クリニック・薬局に設置する顔認証付きカードリーダーも2021年07月18日時点で、以下のとおりアカウント申し込みは「病院:81.0%」「医科診療所:49.7%」「歯科診療所:50.3%」「薬局:68.6%」まできています。
2021年8月1日時点
医療機関等向けポータルサイトアカウント登録数(一括申請・紙申請を除く)
セグメント 登録施設数 割合 病院 6,686 / 8,255 施設 81.00% 医科診療所 4,4381 / 89,308 施設 49.70% 歯科診療所 35,681 / 70,910 施設 50.30% 薬局 41,338 / 60,463 施設 68.40% 合計 128,086 / 228,936 施設 55.90%
セグメント 登録施設数 割合 病院 6,412 / 8,255 施設 77.70% 医科診療所 39,843 / 89,308 施設 44.60% 歯科診療所 35,004 / 70,910 施設 49.40% 薬局 49,051 / 60,463 施設 81.10% 合計 130,310 / 228,936 施設 56.90%
参照・引用元:「厚生労働省」「顔認証付きカードリーダー等の申込状況」
※上記ページの最後に申し込み状況があり、随時更新されています。
「クリニック開業ナビ」では、これまで幾つかの記事でオンライン資格確認についてご紹介してきました。今回は「薬局」での導入が現在どのように進んでいるのか、薬局に取材を行った結果をご紹介します。
置き場所の確保に苦心する声も
薬局へのオンライン資格確認導入は、3月上旬に「プレ運用」が始まり、その後順次導入が拡大。先述のように、現在のアカウント申し込み率は68.6%となっており、大手調剤薬局グループの中には、6月時点ですでにグループ100店舗以上に導入済みというところもあります。
今回、すでにオンライン資格確認を導入している薬局に、「オンライン資格確認の導入で注意した点」を聞いたところ、「設置場所」について苦労したという声が上がりました。オンライン資格確認導入には、顔認証付きカードリーダーと資格確認端末を設置しないといけません。受付スペースは場所が限られており、受付が狭い薬局も少なくありませんから、両方の置き場所をどうするか苦心したというところも少なくないようです。
顔認証付きカードリーダーに関しては、設置場所を考慮して、小型のものを選んだという薬局もありました。場所によって、サイズだけでなく横型か縦型かも慎重に選んだ方がいいでしょう。
また、資格確認端末はパソコンとつなぐ必要があり、そのパソコンを置くスペースも必要です。これまでパソコンを置いていなかったという薬局の場合、いざ設置する段階でトラブルにならないよう、あらかじめどこに置くのか決めておく方がいいようです。
顔認証付きカードリーダー設置を機に患者さんの導線を見直す
「導線の見直しを行った」という声もありました。顔認証付きカードリーダーは、受付に置くため、基本的な導線はこれまでと変わりません。しかし、顔認証付きカードリーダーで受付をする人が出てくるぶん、受付前に人が並んだり、立ち止まる時間が増えたりします。その場合に、受付を終えた人はどうするのか、薬を受け取った人が帰るときの邪魔にならないかなど、このタイミングでスタッフ側も含めて導線を再考したという声が上がっています。
オンライン資格確認を導入した感想としては、「まだこれから」という声がありました。というのも、マイナンバーカードの普及率が低いこともあり、顔認証付きカードリーダーで受付をする人は少ないとのこと。オンライン資格確認は、薬剤情報の確認や調剤過誤の防止につながるだけでなく、スタッフの作業効率や正確性の上昇にもつながるため、今後を期待する声は多いようでした。
顔認証付きカードリーダーがまだ到着していない薬局も
今回の取材では、2021年03月31日までに申し込みは済んだものの、まだ顔認証付きカードリーダーが到着していないという薬局もありました。取材した薬局は中小規模のチェーンの調剤薬局なのですが、本部から3月23日に各店舗に向けて「すでに申し込んではいますが、まだ機材が到着していないため導入が遅れています。動きがあればすぐに連絡します」というメールが発信され、そこから進んでいないとのこと。
やはり締め切り間際になって大量の申し込みがあったようで、順次対応のため顔認証付きカードリーダーの発送、設置に遅延が発生しているようです。顔認証付きカードリーダーが到着したら、各店舗でシステムのつなぎ込みを行わなければなりません。システムベンダー側も対応に追われているとのこと。
まとめ
オンライン資格確認のシステムはこれからの保険診療を支える基盤としても構想されています。10月までに本格運用開始という予定ですが、今回薬局を取材した限りにおいては、現場でも「まだこれから」という認識のようです。オンライン資格確認のシステムがその真価を発揮するのには時間がかかりそうです。