【眼科医の年収事情】平均年収や生涯年収はいくら?
「眼科医は儲かる」と聞いたことがある人は多いかもしれません。しかし、実際のところこれは本当のことなのでしょうか? 今回は、気になる眼科医の年収についてみていきます。
眼科医の平均年収は1,078万円
まずは眼科医の平均年収についてみていきましょう。労働政策研究・研修機構がおこなった「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科に丸め込みされていますが、そこでの結果では眼科医の平均年収は1,078万円という結果が出ています。
他診療科目の中では最下位といった状況となっていました。
順位 | 診療科目 | 平均金額(万円) |
---|---|---|
1位 | 脳神経外科 | 1480.3万円 |
2位 | 産科・婦人科 | 1466.3万円 |
3位 | 外科 | 1374.2万円 |
4位 | 麻酔科 | 1335.2万円 |
5位 | 整形外科 | 1289.9万円 |
6位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267.2万円 |
7位 | 内科 | 1247.4万円 |
8位 | 精神科 | 1230.2万円 |
9位 | 小児科 | 1220.5万円 |
10位 | 救急科 | 1215.3万円 |
11位 | その他 | 1171.5万円 |
12位 | 放射線科 | 1103.3万円 |
13位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078.7万円 |
参考:勤務医の就労実態と意識による調査 – p.30 一部抜粋
そこで、最新の令和2年度実施された診療科目毎の平均診療点数でみた場合の眼科はどのような位置付けになるか、関東圏内の診療科目毎の診療平均点数を調査してみました。
順位 | 診療所 | 平均診療点数 |
---|---|---|
1位 | 内科(人工透析有) | 9,820 |
2位 | 内科(人工透析以外(在宅)) | 1,590 |
3位 | 外科 | 1,347 |
4位 | 泌尿器科 | 1,306 |
5位 | 精神・神経科 | 1,240 |
6位 | 整形外科 | 1,218 |
7位 | 内科(人工透析以外(その他)) | 1,184 |
8位 | 産婦人科 | 977 |
9位 | 小児科 | 974 |
10位 | 眼科 | 968 |
11位 | 耳鼻咽喉科 | 807 |
12位 | 皮膚科 | 684 |
上述の結果、2012年のデータでは皮膚科・耳鼻咽喉科が平均年収に丸め込まれていましたが、診療点数ベースでいうと、最下位ではなく10位という位置づけでした。耳鼻咽喉科・皮膚科と比べた場合は眼科医の方が平均年収が高くなる可能性も見えます。
参考データ
- 令和2年度 東京都内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表
- 令和2年度 千葉県内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表
- 令和2年度 埼玉県内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表
- 令和2年度 神奈川県内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表
- 令和2年度 群馬県内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表
- 令和2年度 茨城県内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表
- 令和2年度 栃木県内の保険医療機関等の診療科別平均点数一覧表
また、平均年収毎の内訳もご紹介します。
眼科医の年収毎の割合
年収 | 割合 |
---|---|
300万円未満 | 2.60% |
300万円~500万円 | 8.30% |
500万円~700万円 | 12.50% |
700万円~1,000万円 | 17.30% |
1,000万円~1,500万円 | 33.20% |
1,500万円~2,000万円 | 22.00% |
2,000万円以上 | 4.20% |
年収1,000万円以上の眼科医が、実に59.4%にものぼります。つまり、「眼科医は儲かる」は「ホント」と言えるでしょう。
また、医者に定年はありませんが、仮に20代から60代までの約5年間働いたとすると、単純計算で生涯年収は5億円を超えることになります。
開業医になると眼科医の年収は約3倍に跳ね上がる
続いては、開業医の年収についてみていきます。厚生労働省が公表している「第22回医療経済実態調査報告」をもとに、開業医の年収を算出したところ、 眼科の開業医の年収は約3377万円と判明。勤務医の年収と比べて約3倍にまで跳ね上がるだけでなく、他の診療科と比較したところ、かなり上位にランクインしていることもわかります。
開業医になると眼科医の年収が劇的にアップする理由は?
では、なぜ眼科医は開業医になると年収が飛躍的にアップするのでしょうか? ひとつめの理由としては、使い捨てコンタクトレンズ使用者が、レンズを使い終わるたびに処方箋を出してもらうために受診していることが挙げられます。最近は、処方箋がなくてもコンタクトレンズを購入することができるショップも増えていますが、少なくとも、度数が変わった際などには受診する必要があります。
開業準備が高額なことも頭に入れておくべし!
開業アップの背景をきくと、「じゃあレーシック手術を中心に、毎日たくさんの患者を診療しよう」「高齢者の疾患のスペシャリストになりたい」と考える人も多いかもしれません。しかし、いずれの場合も、最先端の機器を導入するにはそれなりの資金が必要です。大金をはたいて開業した結果、うまく集患できなければ元も子もありません。開業医として高収入を得ることを目標とするのなら、きちんと計画立てて準備するのが望ましいでしょう。
患者の視力に関わる手術は、一人ひとりの人生を左右する可能性もあることをお忘れなく
レーシック手術から緑内障の手術までさまざまな領域があるので、そのなかで自分が究めたい分野を専門とするのもありですが、いずれにしても、失敗のリスクを最小限に減らすことはとても大切です。患者さんにとってはその後の人生が左右される可能性もある手術なので、開業前にスキル磨きにもしっかりと時間をかけてくださいね。
ワークライフバランスがとりやすいのも魅力
眼科医がおこなう手術はマイクロサージェリーが基本であるため、医師ひとりでも十分やり遂げることができることは先に述べた通り。そのため、手術時間が短時間であることも大きな特徴といえます。また、入院をともなわない治療がほとんどであるため、患者に付きっ切りにならなければならないということもありません。ワークライフバランスがとれた働き方を実現したい人にとっては、まさに理想的といえるでしょう。
もちろん、結婚や出産、子育てがキャリアに影響を及ぼす女性医師にとっても理想的。比較的仕事とプライベートを両立しやすい眼科医なら、思い通りのキャリアを描いていきやすいはず。また、自由な時間を確保しやすいため、資格取得のための勉強時間などを捻出しやすいのも魅力。計画的にキャリアアップしたい人にもぴったりの診療科です。
高齢者が対象の眼科診療は、今後ますます高まり続けるはず
収入面やワークライフバランスのみに着目すると、レーシック手術を専門でおこなうのも一手ですが、眼科医が診察や治療をおこなえる疾患は、新生児に多く見られる先天性のものから、加齢にともなって発症率が高まるものまでさまざまなので、「医師としてどんなふうに世の中の役に立てるか」も一度考えてみたいものです。
たとえば、パソコンやスマホの普及によって眼精疲労や視力低下に悩む患者も増えていますし、花粉症患者も年々増加しているといわれています。さらに、高齢化社会が進んで「超高齢化社会」になりつつある昨今、白内障や緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などを患う人も増えています。そうした症状に対応できる眼科医が、今後ますます求められることは火を見るよりも明らか。ひとりでも多くの患者の目の健康を守るためにも、自分に何ができるのかをぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか?