妊婦看護師あるある

妊婦看護師あるある

私は、総合病院の外科病棟で働く看護師です。総合病院では、働くスタッフの数も多いため、通年、必ずといっていいほど妊娠している医療スタッフがいます。今回は、実際の一緒に働く看護スタッフの声をもとに、医療関係者であれば共感できる「妊婦看護師あるある」について紹介していきます。ぜひ、楽しんで読んでいただき、妊婦さんに優しい病院運営の参考にしていただければ幸いです。

妊婦でも看護師

女性には、結婚・妊娠・出産などのライフイベントがありますが、看護師は、妊娠していてもギリギリまで働き続ける人が多いです。妊婦さんになるとさまざまな症状があり、本当に辛いのですが、ナース服に着替えればそこはプロ。例え妊婦であっても、しっかりと仕事をこなしている看護師が多いです。

そのような看護師は本当に心から尊敬しますが、「もう少し自分の体を大切にしてほしい」といった思いもあります。妊婦さんは、自分の体だけでなく、お腹にいる赤ちゃんの命も預かっているので、できれば無理はしてほしくないところです。

出産する病院

妊娠が発覚したらまずは、出産する病院を決めなければいけません。これに関して、看護師の場合、2つのタイプに分かれます。

1.自分の病院で出産するタイプ

自分の病院で出産するメリットとしては、勤務中に外来受診ができるので休みの日にわざわざ検診のために病院を受診する必要がないところです。また、何か異常があった際にも、主治医が院内にいるのですぐに受診できますし、対応も迅速になります。福利厚生が整っている病院では医療費の補助制度もあるため、金銭面でも魅力があります。

逆にデメリットとしては、医師や看護師などの医療スタッフの中に顔見知りのスタッフが多いため、羞恥心があるところです。こういったことを全く気にしない看護師であれば、自分の病院で出産するケースが多いです。

2.他院で出産するタイプ

他院で出産するメリットとしては、上記でも説明したように、やはり顔見知りの医療スタッフに気を遣わなくて済むところです。「知っているスタッフに出産を見られるのはちょっと…」というタイプの看護師は、他院で出産するケースが多いです。

逆にデメリットとしては、休日の貴重な時間を使って検診のために病院に通わなければいけないことです。看護師は忙しい仕事で休みも不定期であるため、時間を有効活用したい看護師にとって、この面はデメリットになってしまいます。

無理しがち…

看護師は体を使って昼夜問わず働くため、無理をしがちになります。赤ちゃんのことを思うと無理をできないことは頭ではわかっていても、いざ病院に来ると、人手不足でバタバタとしている中で自分だけ楽をするわけにはいかないと思い、頑張ってしまうことが多いようです。普段から無理をしがちのため、このくらいなら大丈夫だと思ってしまう傾向にあるのでしょう。

妊娠初期に無理をしてしまうため、看護師の中には、出血や最悪の場合は切迫流産などを経験するスタッフも多いです。これに関しては、本人だけでなく周りのスタッフの配慮も大切になります。流産してしまった際には、母親である自分を責めてしまう人が多いため、そうならないためにも、妊婦さんには無理をさせないような職場づくりが重要になります。命がかかっているため、妊婦さんのことは、周りのスタッフも大切に扱ってほしいところです。

つわり

つわりは人それぞれ重さが異なりますが、においにも敏感になるなど本当に辛いものです。私の知っている看護師の中には、つわりが重く、食べ物を受け付けないだけではなく、水のにおいにも敏感になってしまい、シャワーを浴びる際にも嘔気が強く、実際に吐いてしまって辛かった、という人もいます。食べないとお腹の赤ちゃんに栄養がいかないことはわかっていても、食べ物を受け付けず本当に辛かったと話していました。嘔気があるため夜も眠れず、寝不足のまま出勤しているスタッフもいました。

また、これも私の周りにいる看護師の話ですが、患者さんが嘔吐してしまったとき、妊婦であったため、そのにおいで嘔気が増強してしまい、一緒に吐いてしまいました。患者さんは良い人で、「ごめんね、私のせいで……辛いよね」と妊婦であった先輩看護師を労われ、M先輩看護師は「すみません、私は大丈夫ですから」と返答。2人で吐き気と闘いながら吐物の片づけをしていた光景は衝撃的でした。すぐに私も駆けつけて先輩と交代したのですが、自分も辛いのに頑張っている姿を見て、尊敬したものです。

患者さんはそのあとにすぐ制吐剤を投与して対応しました。妊婦の場合は、副作用や胎児に対する影響から薬も服用できないため、非常に辛いところです。

眠気・倦怠感

妊婦にとって辛い症状の代表的なものに、眠気と倦怠感があります。たとえ睡眠時間が十分であっても、とにかく眠いとのことです。疲れるようなことを何もしていなくても倦怠感があり、すぐに疲れてしまいます。

そのような状態であっても看護師として働いていたある看護師は、眠気が非常に強く、我慢できず、トイレで座りながら寝ていたそうです。「そこまでするならもう休めばいいのに!」と思う人もいるかもしれませんが、常に人手不足の医療現場では、1人休むだけでも他のスタッフへの負担は相当なものであるため、他の医療スタッフのことを思うと休むことができなかったのだと思います。

夜勤

妊婦である看護師の中には、妊娠してからもフルタイムで働き、夜勤をしている看護師も多いです。夜勤は、健康なスタッフであっても体力が必要でつらいものであるのに、妊婦さんが夜勤をするとは、本当に「母は強し!」といった感じです。

普段夜型で、夜勤を苦に感じていない看護師でも、妊娠中の夜勤は、非常につらかったという声が多く聞かれました。夜勤は日勤よりもさらに人手が少ない中で働かないといけないため、動く量も多く、お腹が張って辛かったという先輩もいました。ただでさえ、妊婦は眠気がある上に、夜勤による眠気との闘いは本当に辛いようです。

また、夜勤中は夜間せん妄のために暴れたりする患者さんもいるため、「お腹を蹴られたらどうしよう」という不安もあったようです。日勤のときは、妊婦さんは認知症やせん妄になった患者さんに近寄らせないのですが、夜間の人手が少ない中、周りのスタッフが他の対応でいないときは、自分が対応しないといけない状況になるのではないかと、ドキドキしたと話していました。

感染対策

患者さんの中には、感染症をもった患者さんもいます。そのため、医療スタッフは、普段から感染対策を徹底しているのですが、それが妊婦ともなれば、感染対策はより入念になります。感染症に対しては、本当に敏感になります。胎児への影響や母子感染のリスクもあるので、注意が必要です。

周りのスタッフも、妊娠している看護師の受け持つ患者を工夫するなどの配慮が必要になります。

理想の医療現場

私の考える理想の医療現場とは、妊婦に無理をさせないような医療体制が整っている病院です。普段から無理をしがちな看護師は、妊婦になってもついつい無理をしがちになります。そのため、病院に妊婦に対する休暇制度などがあり、病院側が妊婦さんを守る体制が整っていればいいな、と思います。基本的には、妊婦さんは働かなくてもいいような社会になれば安心なのですが、「妊娠は病気ではない」といった意見もあるため、そこは難しいものです。職場のスタッフの配慮はもちろん、家族間でもよく話し合い、働き続けるのか考えていくことが大切であると思います。

働くことで給料が得られます。確かにお金は大切なものですが、命と引き換えになるものなどないと思うので、妊婦さんには、どうか無理をしないでほしいと願っています。

妊婦さんが働きやすい職場のポイントを以下にまとめます。

  • 妊婦に対する周りのスタッフの配慮が厚い
  • 福利厚生が整っており、妊婦に対する制度が充実している
  • 人手が十分にあり、妊婦が無理をしなくても良い体制が整っている

ぜひ、今後の病院運営の参考にしていただければと思います。今回の記事が、今後のより働きやすい職場づくりに繋がればと思います。

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