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ナルコレプシーの医者がやらかしたこと

ナルコレプシーの医者がやらかしたこと

ナルコレプシーの医者がやらかしたこと

ナルコレプシーとは過眠症のひとつで、日中に突然強い眠気が出現して眠り込んでしまう病気です。日中に眠気を感じることはみなあると思いますが、「眠たいな」と感じる前にすでに眠ってしまうとのことで、なかなか対応しづらい疾患ですよね。わたしはナルコレプシーを持つ医師と一緒に働いたことがあります。その医師は仕事に支障が出ないように対策をして過ごしています。しかし、最大の注意を払っていても起きてしまった事件についてお伝えします。

事件1:手術前のI.C中に居眠り

そのA医師の診療科は外科です。16人程外科の医師がおり、担当の臓器ごとにグループにわかれていました。その事件が起きた7~8年前、A医師は自分のグループの中では一番若手でした。そのため、自分が主に執刀する手術はなく、先輩医師の執刀する手術に助手として入り、技術を磨いていました。そのため、執刀する医師が説明する手術前のI.C(インフォームドコンセント)にも同席していました。数年前から看護師も同席するようになっていたので、A医師と先輩医師に加え看護師のわたしもいました。説明を受けるのは、患者さんと患者さんの奥さん、患者さんの息子さんの3名でした。

船を漕ぐ医師

執刀する先輩医師が、書類や検査データが映る電子カルテのモニターを使って説明をしていました。患者さん家族と医療従事者は向き合う形になっています。説明が始まってしばらく経ったころ、なんとわたしの視界に船を漕いでいるA医師が映りました。いくらモニターを見ているとはいえ、患者さんと家族に船を漕いでいる医師の姿は映っていたと思います。わたしはなんとかA医師を起こして早くこの状況を脱さなければと思いました。そこで人生で初めて、そしてこれからも一生ないであろう、医師を足で蹴って起こすという行動に出ました。わたしに足で蹴られた医師ははっと目覚め、何事もなかったように説明に頷いていました。

患者さんの家族の反応

寝ていた医師も、同席していたわたしも、実際に患者さんやご家族が医師の居眠りに気づいていたのかどうかはわかりません。しかし、I.Cのあとに息子さんが「先生たちもお忙しいようで……」と言われていたので、うとうとと眠っている医師に気づいていたのかもしれません。本来なら激怒されるほどのことだったと思います。

その後の対策

先輩医師は、その医師が居眠りしていたことに気づいていませんでした。パソコンのディスプレイを見ながら説明しているときだったので気づかなかったかもしれません。居眠りした医師はというと、すごく反省し、落ち込んでいました。再発予防のために、自分が執刀するようになる数年後までは、I.C同席の際は、患者さんやご家族の後ろに立つスタイルでした。

事件2:当直大遅刻

わたしの病院は、当直は内科系と外科系で各1名ずつ当直医が在中する決まりです。土日は9時に交代して、また24時間後に交代という過酷な勤務でした。当直医は朝になり太陽が昇ってくると「あと〇時間」と思って患者さんの対応をなんとか頑張っているそうです。9時になるのを今か今かと待っています。上級医になると、当直を若い医師に変わってもらう医師が多いのですが、病院の現状をしっかり知るためにという理由で、数名は当直を続けていました。

来ない医師

その日は、副院長である元外科の主任部長が外科当直をしていました。A医師にとっては直属の上司です。金曜日に手術を終えた夕方から、土曜日の9時までが副院長の担当の時間帯でした。そして土曜日の9時に、副院長からA医師に交代する予定でした。しかし、時間になってもA医師は来ませんでした。9時過ぎに副院長が病棟にあがってきて、「Aくんが当直に来ないから帰れない」と笑いながら言っていました。そして1時間ほどすると、A医師は顔色を変えてやってきたそうです。いつも10個ほどかけている目覚ましをすべて消して、二度寝ならぬ十度寝ほどしていたようです。今まで、仕事に行かなければならないとなると目覚めに問題はなかったようですが、その日はなぜか起きることができなかったようです。

上級医の反応は?

上級医の反応が気になっていましたが「Aくんは、ナルコレプシーがあるからね。他の先生のときに遅れないように気を付けて」と笑いながら言っていました。

その後の対策

優しい上級医の反応でしたが、A医師はかなり反省していたようです。その後は、目覚ましを10個かけることに加え、さらにすべてにスヌーズ機能をつけるようにしたことで、遅刻せずに済んでいるようです。

おわりに

医師という過酷な勤務を、ナルコレプシーという過酷な疾患を持ちながらこなす医師のやらかした事件を紹介しました。10年ほど一緒に働いていますが、看護師や患者さんに関わる事件はこの2つのみです。きっといろいろんな対策をしながら仕事をこなしているのでしょう。手術中は眠気を感じなくなるそうで、すごいですよね。

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