内覧会を行うメリットと費用を解説!開業直後から患者さんが集まるクリニックの法則
内覧会は開業日の直前に行うのが効果的とされます。
「本当に内覧会は集患に有効なのだろうか」「うちは普通の内科だがそれでも意味はあるのか」「費用対効果はどのように検証するの」もちろん内覧会を実施しなくても開業は可能です。
ただし、開業直後だけでなく、しばらく時間が経過してからも開催の効果を実感するケースも多いという興味深い指摘もあります。
この記事では内覧会を行うメリットと費用のほか、院長の心構えと役割について紹介します。数百件の現場で陣頭指揮を執ってきた内覧会のプロに聴く、成功の秘訣を通して集患力アップに役立ててください。
※本記事に記載の情報は取材を行った2022年4月18日現在です。
回答者:金子 理沙氏(株式会社メディカルアドバンス 執行役員)
株式会社メディカルアドバンスは歯科3,500件以上の内覧会をプロデュースしてきたリーディングカンパニー。エリアを問わずに内覧会に合わせた集客を行い、開業に向けたサポートを行う。現在は、医科でも多数の実績があり、内覧会を実施した院長からの紹介による受注が多い。内覧会の現場責任者を数多く務めた金子氏にはファンも多い。
厚生労働省の調査によれば「ふだん医療機関にかかる時の情報の入手先」として「家族・友人・知人からの口コミ」と7割以上が回答しています。これは医療機関のインターネット情報と回答した人の3倍にあたります。
口コミがいかにクリニックの集患に重要な要素かを裏付ける数字と言えるでしょう。内覧会は口コミを広める上での有効な手段です。
内覧会で診療の予約も獲得できる
――内覧会の開催日は開業直前がいいのでしょうか。
金子:内覧会の日程は、開業前週をご提案することが多いです。平日と週末で客層が異なるので、金・土・日などが基本です。オフィス周辺では平日のみの開催とし、周辺に勤務する方の退社時間が早い曜日が分かればその日を狙います。悪天候の場合に備えて、3日間開催が安心ですね。開業後の集患のテコ入れとしてご相談いただくこともあります。
――だいたいの流れと費用感を教えてください。
金子:開業の半年前のご相談が最も多いです。打ち合わせをして、正式にご依頼いただいたら、私どものような専門会社に準備を任せていただいて問題ありません。
などを行います。販促チラシの印刷、投函にかかる実費を含めて150~200万円程度が相場です。
――内覧会に来場いただいた方に対してのサービスは?
金子:記念品の配布に気を取られがちですが、大切なのは院長先生やスタッフの皆さんが来場者を歓迎すること。自由に医療機器や設備を見ていただいたり、クリニックでどのような医療を提供していくのかを地域の方々に知っていただいたりするのがいいですね。日常に取り入れられる花粉症対策、風邪予防などミニセミナーを行うと、来場者とのコミュニケーションにもつながります。
説明を聞いていただき、その場で診察予約までご案内すると、来場者の1割くらいが予約をしてくださいます。その場で予約をいただくまでの流れをスタッフの皆さんにレクチャーしますが、積極的に声をかけるスタッフが多いと予約も多く獲得できます。
ただし一部、内科では「開業前から予約を取りたくない、実際に症状のある患者さんを順番に診察したい」と先生がお考えの場合は予約ゼロの場合もあります。弊社のホームページにも実績をすべて掲載しているので、ご覧いただくだけでも内覧会の費用対効果が実感いただけるのではないでしょうか。
意外?内覧会の効果は長期間続く
内覧会は、わずか3日間の開催のため効果が「瞬間的」と思われる先生も多いかもしれません。しかし内覧会から2年後に「内覧会がきっかけで来院した」と患者さんに言われるケースもあるそうです。
――なぜそんなに効果が長く続くのでしょう?
金子:2つポイントがあると思います。1つめは口コミのパワーが大きいことです。とくに中高年女性の口コミ力がすごいです。内覧会で『いいクリニックができた、いざというときはお世話になろう』と思っていただいたら、本当に広めてくれます。いいものを他人に知らせたいという心理が働くのですね。『前に誰かに聞いたな…』という情報は人の心に長く残るようです。
さらにチラシを捨てずに、保管してくれる方も多いのです。弊社では少し予算をかけて厚紙でのチラシ作成を推奨していますが、その効果もあるかもしれません。WEBで調べる前に、チラシが目に入れば先に訴求できますからね。」
――内覧会の効果を思い出して、連絡してくれる院長もいるとか?
金子:ありがたいことですね。「あのときの内覧会から来てくれた患者さんがいたので、思わず御社のことを思い出した」などと言っていていただけるのは励みになります。10年以上前に内覧会を担当した、ある内科の院長さんが仰っていた言葉が今も印象に残っています。
「勤務医時代は外来患者さんが少ないほうが楽で、嬉しかったのが本音。開業して価値観が真逆になった。一人ひとりの患者さんが来てくれるのがこんなに嬉しいのか」
こうした想いは患者さんに伝わるものなので、今はとても繁盛されています。
内覧会を行うべきケース、おすすめしない医院
開業時点の内覧会開催がおすすめとしながらも、開業後に内覧会を行うのが効果的なケースもあります。
具体的には
などが該当します。
金子:専門が明確な先生は、内覧会での訴求は効果的です。例えば、糖尿病が専門の詳しい先生で、腹痛や風邪、花粉症など一般的な症状の患者さん「だけしか来ない」などのお悩みもよくお聞きします。そんなときに糖尿病セミナーなどを医院で行って「あの先生はとくに糖尿病に詳しい」というブランディングを行うのはおすすめですね。
セミナーで使用した資料をホームページで紹介するのも有効活用として良いかもしれません。ただし、内覧会で撮影した動画は来場者の顔が映らないようにするなどプライバシー配慮が必要です。
承継など、先生が交代したタイミングも「以前からの患者さんを引き継げばいい」ではもったいないです。新院長先生の特長、人柄をアピールする狙いで開催すると地域の皆さんも安心してくれますし、新たな集患にもつながるでしょう。
内視鏡クリニックと標ぼうしているのに、うまく地域に浸透していなかった場合も、内覧会開催を境に必要な患者さんが急増しました。
――逆に内覧会をおすすめしないケースもありますか?
金子:ごくわずかですが「お金だけ払うから集めてきて、あとはよろしく」というお考えの先生だと内覧会も成功できません。やはり内覧会の主役は院長先生です。
またスタッフとの信頼構築ができておらず、内覧会開催により休日出勤を依頼できないなどのケースも成功は難しいでしょう。「開業準備で忙しいのに、なんでこんなことしなきゃいけないの?」というスタッフさんがいると、態度に出てしまうので逆効果になりかねません。
採用したスタッフさんについては早々に
を共有し、「一緒にクリニックのプロモーションをしましょう」と巻き込む姿勢は重要なんです。
もちろん院長先生の姿勢、態度も同じく大切です。患者さんには丁寧な話し方でも、スタッフや業者さんへの対応に温度差があると危険ですね。こうした姿を患者さんは見ています。悪い口コミに繋がったら本末転倒ですよね。
「症状のないお客さん」と話すコツ
スタッフとの関係や、患者さんとのコミュニケーションに自信がない場合の対策についてもお聞きしました。
金子:コミュニケーションが得意でない先生は多くいます。でも内覧会の3日間だけは「売れっ子スターを演じてください!」とお伝えします。
来場される方は皆、院長先生に会いに来られるわけですから、ホスト役に徹していただかなければなりません。それが、クリニックのためになり、患者さんの安心のためにもなります。
――でもお会いするのは初対面の方ばかり。緊張しますよね?
金子:内覧会は皆さんが、元気な状態で来院されますよね。それに戸惑う先生も多いです。「患者さんではなく、症状のないお客さんと何を話したらいいか分からない」という悩み、確かに分かります。
まずは、笑顔で挨拶して「こんにちは、今日はお披露目会なのでどうぞお気軽に見ていってくださいね」だけでも十分効果はあります。ただ「その後が続かない…」とお嘆きの先生に特効薬を2つ紹介します。
「こんなことがあったら頼ってくださいね」など、先生の得意な領域について、分かりやすく話す。これだけでも患者さんは話を来た甲斐があったと感じてくれます。得意な話なら、緊張せずに話せるはずなのでお人柄も伝わりやすいでしょう。
私が個人的にも感動したのは、来場された方々に必ず手を当てる先生がいらっしゃったことです。「今日は来ていただいてありがとうございました」と言いながら、ご高齢の方の補助をしたり、「普段困っていることはありませんか?」と質問したり。これはファンになってくださる方が多いはずです。
逆に表面的な対応はだめですね。例えばその人の生活習慣を否定してしまう、詳しく話を聞く前から「改善した方がいいよ」という態度で話すなどですね。来場者さんを放置して、顔見知りの業者さんと話し込むなども、いけません。
時間を割いてわざわざ来てくれたこと自体に感謝の気持ちで、一人ずつの目を見て接してみてください。そんな接客のサポート、ロープレも、私どもは伴走しますのでぜひお問合せいただけると幸いです。
内覧会で「ファンからの口コミ」を作りましょう
内覧会でよい口コミを作ると、息の長い集患対策になるでしょう。専門業者を頼れば、内覧会への集客のほか、成功する内覧会のサポートも得られます。
コミュニケーションが得意でないと考える先生こそ、非日常な内覧会を使ってファン作りに取り組んではいかがでしょうか。