私が出会った1人の最高の医師

私が出会った1人の最高の医師

私は看護師を10年以上していますが、この医師以上の人に出会ったことがないという医師が1人います。この医師とは新人のときから5年間ほど一緒に仕事をしていましたが、私が普段関わる医師とは全く違っていました。この医師は消化器外科医ですが、内科も担当することがあります。その当時の年齢は40歳ぐらいで、いつも髪の毛はボサボサ。冬場も靴下は履かず素足にスリッパ。いつも何となく顔は浮腫んで酒臭く、女性に関する噂も時々耳にするような医師でした。しかい、病院のスタッフや患者さんからもいつも人気があったのです。

なぜ、そんな医師が人気なのか。

  • 朝来るのが早い
  • 聞けば何でも教えてくれる
  • 怒らない
  • 看護師を手伝ってくれる
  • 看護師を守ってくれる
  • 患者の状態を確認してから帰宅する

などが理由だったかもしれません。

一見当たり前のように思えますが、これを当たり前かのようにできる医師を私は見たことがありません。

朝来るのが早い

私が今まで見てきた医師で、朝早くから来る医師は他にはいません。ゼロでしゃないですが、早く出勤したとしてもすぐに病棟に顔を出すことはないのです。しかし、この医師は朝7時には病院に来て、着替えが終わったらすぐに病棟に顔を出します。「また、飲み会だったな」と思うぐらい顔は浮腫み、お酒の匂いもしていますが、すぐにカルテをチェックして患者さんの状態を見ます。そして、患者さんの部屋に行って患者さんと話したり、観察した後に夜勤の看護師から情報を収集して、ある程度指示を出したりしていきます。

しかも、指示は急ぎでないため、いつも「日勤帯でお願いします」と言い、一旦は病棟を後にします。このように、朝早くから病院に来て1人ひとりの患者さんのところを周り、話をする医師は知りません。そのため、何かあっても患者さんや看護師は常に安心していられます。また、医師の中には、朝早く出社した結果、「これすぐにやって」と指示を出す医師もいます。看護師の朝はとにかく忙しく、急ぎでないものは後にまわしたいと思うことも少なくありません。そう考えると、「日勤の時間帯でやっておいてください」がいかにありがたいことかおわかりいただけでるでしょう。

聞けば何でも教えてくれる

この医師は、消化器外科でもあるため、もちろん解剖や疾患は詳しいですが消化器以外の内科も見ることがあるので、薬剤、検査などにもとにかく詳しいです。薬剤であれば、効果、副作用は看護師も知っておかなくてはならないことですが、種類が豊富であるため、薬剤師ですらわからないこともあります。薬剤や副作用はある程度調べればわかりますが、詳しく調べる時間がないときもあります。しかし、心配する必要はありません。なぜならこの医師は、「〇〇出しといたから、この症状に注意してね」「この薬剤使用したら、〇〇の症状が出やすいから出たらすぐに中止して連絡して」など看護師へ伝えてくれるのです。おそらく大抵の医師は、看護師なら知っていると思っているか、わからないのであれば自分で調べろというようなスタンスでいます。ですが、この医師は看護師にもわかりやすく伝えてくれるため、安心して薬剤を使用することができます。

怒らない

この医者が怒ったのを見たことがありません。手術のときは変貌して怒るのではないかと思っていましたが、手術室の看護師に聞いても、この医師は絶対に怒ることもなければ、物を投げることもないようです。そのため、手術中も看護師が気を張りつめることなく、リラックスした状態で手術介助を務めることができるため、疲れも少ないようです。また、患者さんにも怒ることはないため、この医師の予約外来がとにかく多いとのことでした。予約が多ければそれだけ、待たされる時間も長くなりますが、患者さんもそれを承知で来ているため、クレームが出るようなことはないそうです。

看護師を手伝ってくれる

看護師の手伝いをする医師は、この医師以外見たことがありません。患者さんもこの医師が優しいことは知っているため、普通であれば看護師に頼むようなことも医師に頼んでしまうのでしょう。患者さんがもし「トイレに行きたい」と言えば、医師はトイレに連れて行ってくれます。また、病棟が忙しく人手が足りないときにも、自ら点滴をつなげにいったり、検査へ連れていったりすることもあります。一番驚いたのが、寝たきり患者さんの食事介助です。医師が患者さんのベッドサイドに座って、食事を食べさせていたのです。

思わず「先生何やっているのですか」と聞くと、医師は普通に「え? 食事介助」と答えたのです。申し訳ない気がしてすぐに変わりましたが、患者さんの食事介助をしている医師はこの医師以外知りません。しかも、1回だけではありません。日々、率先して食事介助をおこなっているのです。そもそも医師は、食事介助は看護師の仕事、看護師も食事介助は看護師がするものと思っているので、食事介助を自分がしようだなどとは初めから思っていません。ですがこの医師は、「食事の食べ方や飲み込み具合、摂取できるかできないかで状態を把握することができる」と話していました。聞けば当たり前なことと思われるかもしれませんが、自分の目で見て確認する医師を、私は他には知りません。

看護師を守ってくれる

医療機関などで働いていると、入院や治療のストレスから、患者さんが怒りトラブルになることもあります。ときには看護師だけでは収集することが難しく、医師を呼ぶことがあります。看護師もなぜ患者さんが怒っているのか原因を探りますがわからないこともあります。しかし、医師が対応すると治まることがあるのです。それまでの間、例え殴られようが看護師は何もすることができず、我慢するしかありません。しかし、この医師はトラブルがあった場合、患者さんに話を聞き、あまりにも理不尽な理由である場合は、ご家族にも説明して退院させることがあります。いつも患者さんにも優しい医師が退院させるのですから、医師も辛いと思いますが、それ以上にスタッフのことも考えてくれている医師であると感じます。

患者の状態を確認してから帰宅する

医療機関で働いている職種の中でも、看護師は帰宅が遅い傾向にありますが、それは医師も同様です。ですが、急を要する患者などがいなければ、医師も定時であがります。しかし、この医師はそうではありません。緊急入院や急変などの特別なことがなく帰れる状態であっても、必ず19時半から20時頃まで病院にいるのです。その理由は、患者さんが夕食を摂取できたかどうかを確認したいから。また、食事を摂取したことで、症状が出ていないかまで観察してから帰宅しているのです。消化器外科では、患者さんが食事摂取したことで症状が出ることもあります。特に手術後、初めて食事が開始された患者さんは症状が出やすいのです。そうなっていないか、1人ひとり周って確認しているのです。それときに何か症状があれば追加の指示を出し、なければ帰宅します。もし夜間に何かしらの症状があった場合は、当直医対応ではなく、「何時でもいいから連絡ちょうだいね」と常に指示を出しています。また、夜間連絡した場合、急を要する状態であれば、必ず医師が病院へ来てくれるので夜勤の看護師はいつも安心しているのです。

その他大勢の医師も、口では「患者さんのため」「スタッフのため」と言いますが、実際に行動として示している医師は少ないように思えます。すべての医師に会ったことがあるわけではないので、絶対のこの医師以上の人はいないと確信が持てるわけではありませんが、少なくとも、わたし自身が関わってきた医師の中では、未だに、この医師以上の人には会ったことがありませんし、とてもレアなケースだと思っています。

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