【医師の診療科ランキング】年収1位は脳神経外科。勤務時間は?
医師という職業に対してある程度の共通イメージはあれど、診療科によって年収も忙しさもマチマチ。もちろん、クリニックや個人の裁量によっても、稼げる金額や勤務時間は大きくことなりますが、今回は診療科対抗ということでランキング付けしてみます。
年収ランキングトップは脳神経外科医
まずは年収ランキングをみていきましょう。労働政策研究・研修機構が公表している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、診療科別の医師の年収は以下の通り、脳神経外科医が第1位となっています。緊急の手術なども多い分、勤務時間は不定期になりがちですが、そのぶん年収は高いといえるでしょう。
診療科別平均年収
順位 | 診療科 | 平均年収 |
---|---|---|
第1位 | 脳神経外科 | 1480.3万円 |
第2位 | 産科・婦人科 | 1466.3万円 |
第3位 | 外科 | 1374.2万円 |
第4位 | 麻酔科 | 1335.2万円 |
第5位 | 整形外科 | 1289.9万円 |
第6位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267.2万円 |
第7位 | 内科 | 1247.4万円 |
第8位 | 精神科 | 1230.2万円 |
第9位 | 精神科 | 1220.5万円 |
第10位 | 救急科 | 1215.3万円 |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.30一部抜粋
給与・賃金の額に対する満足度が高いのは小児科
続いては、給与・賃金の額に対する満足度についてみていきましょう。参照するのは同じく、労働政策研究・研修機構が公表している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」です。調査によると、給与・賃金の額に対して「満足している」または「まあ満足」と答えた医師の割合がもっとも高いのは小児科という結果が出ています。治療や診療によって、子どもの笑顔を引き出せることも理由のひとつかもしれません。
診療科別 給与・賃金の額に対する満足度
順位 | 診療科 | 満足している | まあ満足 | どちらとも言えない | 少し不満 | 不満 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1位 | 小児科 | 8.30% | 42.90% | 16.60% | 20.50% | 11.70% |
第2位 | 産科・婦人科 | 7.50% | 40.10% | 17.00% | 17.70% | 17.70% |
第3位 | 精神科 | 13.10% | 32.70% | 19.60% | 21.20% | 13.50% |
第4位 | 麻酔科 | 9.20% | 36.60% | 16.30% | 22.90% | 15.00% |
第5位 | 脳神経外科 | 8.90% | 35.80% | 26.00% | 17.10% | 12.20% |
第6位 | 内科 | 8.50% | 34.00% | 25.50% | 18.10% | 13.80% |
第7位 | 外科 | 5.50% | 33.30% | 19.00% | 25.30% | 17.00% |
第8位 | 整形外科 | 7.00% | 31.10% | 20.30% | 20.60% | 21.00% |
第9位 | 救急科 | 2.80% | 33.30% | 8.30% | 36.10% | 19.40% |
第10位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 9.00% | 25.80% | 24.00% | 20.70% | 20.50% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.87一部抜粋
もっとも患者からの訴訟リスクを意識しながら仕事しているのは産科・婦人科
続いては、「患者からの訴訟リスクに対する認識」のランキングをみていきます。参照するのは同じく、労働政策研究・研修機構が公表している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」です。調査の結果、患者からのリスクを「非常に感じる」または「まあ感じる」と回答した医師の割合がもっとも高かったのは産科・婦人科です。人の命を扱う診療科であることから、強い責任感が求められる診療科であるといえるでしょう。
診療科「別患者からの訴訟リスクに対する認識」
順位 | 診療科 | 非常に感じる | まあ感じる | どちらとも言えない | あまり感じない | ほとんど感じない |
---|---|---|---|---|---|---|
第1位 | 産科・婦人科 | 7.50% | 41.50% | 30.60% | 17.00% | 3.40% |
第2位 | 外科 | 8.50% | 37.00% | 28.50% | 21.00% | 5.00% |
第3位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 9.90% | 35.10% | 33.50% | 18.50% | 2.90% |
第4位 | 救急科 | 16.70% | 27.80% | 27.80% | 22.20% | 5.60% |
第5位 | 内科 | 7.30% | 32.70% | 35.90% | 20.50% | 3.60% |
第6位 | 整形外科 | 6.60% | 32.20% | 37.40% | 19.90% | 3.80% |
第7位 | 脳神経外科 | 4.90% | 33.30% | 39.80% | 17.10% | 4.90% |
第8位 | 麻酔科 | 7.20% | 30.10% | 34.60% | 25.50% | 2.60% |
第9位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 6.40% | 29.40% | 36.80% | 21.70% | 5.60% |
第10位 | 小児科 | 5.40% | 25.40% | 37.60% | 27.80% | 3.90% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.12一部抜粋
疲労感、睡眠不足、健康不安を感じている医師の割合が高いのは何科?
続いては、労働政策研究・研修機構が公表している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」より、疲労感、睡眠不足感、健康不安を感じている医師の割合ランキングをみていきましょう。
まずは、疲労感を感じている医師の割合ランキング。ダントツ1位は救急科という結果です。
疲労感を感じている医師の割合ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 72.30% |
第2位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 64.40% |
第3位 | 外科 | 66.30% |
第3位 | 小児科 | 66.3% |
第4位 | 整形外科 | 62.30% |
第5位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 58.50% |
第6位 | 麻酔科 | 58.20% |
第7位 | その他 | 58.00% |
第8位 | 脳神経外科 | 57.70% |
第9位 | 内科 | 56.80% |
続いては、睡眠不足感を覚えている医師の割合が高い診療科ランキング。こちらも、1位は救急科という結果となりました。
睡眠不足感を覚えている医師の割合ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 63.90% |
第2位 | 小児科 | 52.20% |
第3位 | 産科・婦人科 | 50.40% |
第4位 | 外科 | 49.80% |
第5位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 49.00% |
第6位 | 整形外科 | 47.60% |
第7位 | 麻酔科 | 46.60% |
第8位 | 放射線科 | 44.70% |
第9位 | その他 | 44.40% |
第10位 | 内科 | 42.90% |
次に健康不安を感じている医師の割合が高い診療科ランキング。このランキングも同じく、救急科が1位という結果です。
健康不安を感じている医師の割合ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 63.90% |
第2位 | 小児科 | 54.10% |
第3位 | 外科 | 53.50% |
第4位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 51.20% |
第5位 | 産科・婦人科 | 51.00% |
第6位 | 麻酔科 | 49.70% |
第7位 | 脳神経外科 | 49.60% |
第8位 | 整形外科 | 48.30% |
第9位 | 内科 | 48.10% |
第10位 | その他 | 47.60% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.67一部抜粋
週あたりの労働時間が多いのは救急科
続いては、労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」より、週あたりの労働時間の平均時間が長い診療科をみていきましょう。ランキング1位は救急科。急患が多いことから、当初の勤務予定時間より長くなることも多そうです。
週あたり労働時間ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 54.00% |
第2位 | 脳神経外科 | 53.30% |
第3位 | 外科 | 52.50% |
第4位 | 小児科 | 52.00% |
第5位 | 産科・婦人科 | 49.40% |
第5位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 49.40% |
第6位 | 整形外科 | 46.80% |
第7位 | 放射線科 | 46.10% |
第8位 | その他 | 46.00% |
第9位 | 麻酔科 | 45.80% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.48一部抜粋
日直・宿直の回数が多いのは救急科
続いては、日直回数が多い診療科ランキングおよび宿直回数が多い診療科ランキングをみていきましょう。それぞれ、「日直1回」から「5回以上」の回答数の合計で順位付けしたところ、日直、宿直ともに回数が多いのは救急科だとわかりました。
日直回数が多い診療科ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 91.80% |
第2位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 70.70% |
第3位 | 産科・婦人科 | 69.40% |
第4位 | 精神科 | 68.80% |
第5位 | 外科 | 63.10% |
第6位 | 脳神経外科 | 61.70% |
第6位 | 整形外科 | 61.70% |
第7位 | 内科 | 61.00% |
第8位 | 麻酔科 | 53.60% |
第9位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 52.20% |
宿直回数が多い診療科ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 94.40% |
第2位 | 脳神経外科 | 78.00% |
第3位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 75.00% |
第4位 | 精神科 | 74.10% |
第5位 | 小児科 | 71.70% |
第5位 | 産科・婦人科 | 70.00% |
第6位 | 整形外科 | 68.90% |
第7位 | 内科 | 66.60% |
第8位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 58.90% |
第9位 | 麻酔科 | 56.90% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.37一部抜粋
宿直1回あたりの睡眠時間が短いのも救急科
また、宿直1回あたりの平均睡眠時間はどのくらいなのでしょうか? 睡眠時間4時間未満という回答数の割合でランキング付けしていきましょう。その結果、やはり1位は救急科。宿直、日直の回数が多いだけでなく、睡眠時間まで短いとなると、心身を休めるのが大変です。
宿直1回あたりの平均睡眠時間ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 94.20% |
第2位 | 精神科 | 63.40% |
第3位 | 産科・婦人科 | 61.20% |
第4位 | 外科 | 51.90% |
第5位 | 内科 | 47.20% |
第6位 | その他 | 45.20% |
第7位 | 脳神経外科 | 44.90% |
第8位 | 麻酔科 | 44.70% |
第9位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 42.20% |
第10位 | 整形外科 | 42.10% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.42一部抜粋
月あたりのオンコール出勤回数が多いのは脳神経外科
続いては、1月あたりのオンコールによる出勤回数のランキングをみていきます。オンコールの回数に対して、「4回以上」と回答した医師の割合が高かったのは、ダントツで脳神経外科。夜間や休日も気が休まらないという医師が多いことが考えられます。
オンコール出勤回数ランキング
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 脳神経外科 | 36.70% |
第2位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 31.30% |
第3位 | 外科 | 29.00% |
第4位 | 麻酔科 | 23.00% |
第5位 | その他 | 20.80% |
第6位 | 小児科 | 20.60% |
第7位 | 内科 | 17.90% |
第8位 | 脳神経外科 | 15.90% |
第9位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 15.30% |
第10位 | 精神科 | 8.50% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.45一部抜粋
3日以下の年次有給休暇日数が多いのは脳神経外科
続いては、年次有給休暇取得日数のランキングをみていきます。年次有給休暇は、多いと1週間以上取得することもありますが、ここでは、3日以下の年次有給日数取得率のランキングをピックアップ。3日以下の年次有給休暇の取得率がもっとも高いのは脳神経外科という結果ですが、日ごろは執刀が多くゆっくり休みづらい診療科だけに納得の結果といえるでしょう。
順位 | 診療科 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 脳神経外科 | 55.20% |
第2位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 52.80% |
第3位 | 救急科 | 50.00% |
第4位 | 眼科・耳鼻咽喉・泌尿器科・皮膚科 | 49.10% |
第5位 | 内科 | 48.80% |
第6位 | 外科 | 47.60% |
第7位 | 小児科 | 46.90% |
第8位 | 整形外科 | 46.50% |
第9位 | 放射線科 | 43.00% |
第10位 | 産科・婦人科 | 40.80% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.48一部抜粋
仕事の満足度が高いのは麻酔科
続いては、勤務先の仕事の質や内容に対する満足度をみていきましょう。勤務先の仕事の質、内容に関して「満足である」または「まあ満足」の回答数の割合が最も高かったのは、麻酔科という結果が出ています。
勤務先の仕事の質、内容に対する満足度ランキング
順位 | 診療科 | 満足している・まあ満足している | どちらとも言えない | 少し不満・不満 |
---|---|---|---|---|
第1位 | 麻酔科 | 69.30% | 18.30% | 12.50% |
第2位 | 産科・婦人科 | 68.70% | 13.60% | 17.70% |
第3位 | 外放射線科 | 62.30% | 21.10% | 16.70% |
第4位 | 小児科 | 61.00% | 19.00% | 20.00% |
第5位 | 眼科・耳鼻咽喉・泌尿器科・皮膚科 | 60.80% | 24.60% | 14.60% |
第6位 | 整形外科 | 59.40% | 22.70% | 17.80% |
第7位 | 精神科 | 58.80% | 23.50% | 17.70% |
第8位 | 救急科 | 58.30% | 13.90% | 27.70% |
第9位 | 内科 | 56.70% | 26.40% | 16.80% |
第10位 | 外科 | 56.30% | 22.00% | 21.80% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.80一部抜粋
出産後、常勤の勤務医として就業継続できると考えている医師が多いのは放射線科
続いては、女医にとってもっとも気になるランキングのひとつ、「出産後の常勤の勤務医としての就業継続の可能性に対する認識」ランキングです。「続けられると思う」「続けられると思わない」と回答した医師の割合をみたところ、「出産後も常勤の勤務医として働き続けられそう」と思っている医師の割合が最も多いのは、放射線科であることがわかりました。
順位 | 診療科 | 続けられると思う | 続けられると思わない |
---|---|---|---|
第1位 | 内科 | 68.10% | 31.90% |
第2位 | 外科・整形外科・脳神経外科 | 81.70% | 18.30% |
第3位 | 小児科 | 67.30% | 32.70% |
第4位 | 産科・婦人科 | 70.00% | 30.00% |
第5位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 76.60% | 23.40% |
第6位 | 精神科 | 81.80% | 18.20% |
第7位 | 眼科・耳鼻咽喉・泌尿器科・皮膚科 | 65.00% | 35.00% |
第8位 | 救急科 | 77.80% | 22.20% |
第9位 | 麻酔科 | 79.40% | 20.60% |
第10位 | 放射線科 | 92.00% | 8.00% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」―p.97一部抜粋
必要医師数がもっとも多いのは内科医
これから医者を目指す人は、さまざまなランキングを見比べることによって、希望の診療科が変わってくることもあるかもしれません。しかし、診療科によって必要医師数も異なるので、その点も考えながら、進むべき診療科を決めるのもよさそうです。そこで最後に、厚生労働省が公表している「診療科別現員、必要医師数」のなかから、「必要医師数」を人数が多い順にみていきましょう。
順位 | 診療科 | 人数 |
---|---|---|
第1位 | 内科 | 3.976.0人 |
第2位 | 整形外科 | 1.963.2人 |
第3位 | 産婦人科 | 1,339.6人 |
第4位 | 小児科 | 1.331.1人 |
第5位 | 外科 | 1.314.7人 |
第6位 | 麻酔科 | 1.204.6人 |
第7位 | 精神科 | 1.200.9人 |
第8位 | 循環器内科 | 1.077.2人 |
第9位 | 消化器内科 | 1.065.7人 |
第10位 | 脳神経外科 | 999.4人 |
ランキングは社会情勢などでも変化する可能性あり!
年収、休日、訴訟リスクなどの条件を多角的にチェックすることは、将来の道を決める際に大いに役立つはず。しかし、ニーズが変われば条件も変わる場合があるので、アフターコロナの状況を含め、今後の動向にも注目していく必要がありそうですね。