医療機関の倒産件数はどう推移しているのか?
これから開業しようという皆さんにとっては耳の痛い話かもしれませんが、開業医も増加して競争が激しくなっています。開業する人がいれば廃業する人もいます。経営が立ちゆかなくなって倒産ということもあります。では、医療機関の倒産件数はどのように推移しているのでしょうか。
診療所の「廃業・休止」は数多い
まず、『厚生労働省』の「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」を確認してみます。
2019年10月1日時点で、以下の医療機関が存在します。
病院 | 8,300(精神科病院:1,054/7,246) |
一般診療所 | 10万2,616(有床:6,644/無床:9万5,972) |
歯科診療所 | 6万8,500(有床:20/無床:6万8,480) |
開業する人の多い「無床一般診療所」は、1999年から2019年まで右肩上がりで増加しており、2019年には9万5,972施設になっています。2018年10月1日から2019年10月1日までに無床一般診療所は「801」増えています。しかし、これは以下のような増減の結果がございます。
増加
開設 | 7,726 |
再開 | 204 |
小計 | 7,930 |
減少
廃止 | 6,910 |
休止 | 457 |
小計 | 7,367 |
「増加:7,930」と「減少:7,367」を差し引きし、「種類の変更:238」を足したものが、増加数「801」になります。7,726施設が開設する一方、廃止する施設が「6,910」もあるわけです。いかに廃止・休止が多いかが分かります。
参照・引用元:『厚生労働省』「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」p.6
では、倒産件数はどのくらいあるのでしょうか?
『帝国データバンク』が医療機関の倒産件数の定点観測を行っています。以下の、病院・診療所・歯科医の倒産件数推移をご覧ください(2000~2019年)。
データ引用元:『帝国データバンク』「医療機関の倒産、過去10年間で最多」
ここでは、負債1,000万円以上で法的整理を行った医療機関の件数が数えられています。直近の2019年は、2009年の52件、2007年の48件に次ぐ多さでした。また、診療所の倒産「22件」は、ここ20年で2009年の27件に次ぐ2番目の多さとなっています。
しっかりした経営を行わないと、せっかく開業したクリニックを廃止したり、倒産させたりといった事態になりかねません。医療機関だって倒産するのです。これから開業を目指す医師の皆さんは、経営者の視点を持って臨むようにしてください。