病院、クリニックの悪い口コミは削除できる? MEO対策との関連性は?
病院、クリニックにとって悪い口コミを書かれることは死活問題。医療行為などに本当に問題があったならまだしも、場合によっては病院、クリニック側に問題がなくてもマイナスの評価をつけられることがありえます。ニュース記事やブログ、SNSへの誹謗中傷が後を絶たないことからもわかる通り、書き込みは相手から自分を特定されにくいことから、度が過ぎることでも平気で言葉にする人が存在します。そのため、病院、クリニック側としても対策を講じることが望ましいでしょう。そこで今回は、悪い口コミへの対応策などを紹介していきます。
病院やクリニックの口コミはどこに書かれる? ①病院系ポータルサイト
まずは、病院やクリニックの口コミがどんなサイトに書き込まれるのかを改めておさらいしましょう。病院やクリニックの口コミが書かれる場所としてまず挙げられるのが、病院系の口コミサイトです。具体的には下記のようなサイトがあります。
Caloo(カルー)
病院、クリニックおよび歯科医院の情報を公開している口コミ検索サイトです。口コミは良し悪しに関わらず掲載しています。
EPARKクリニック・病院
全国の病院やクリニックを探すことができる検索サイト兼口コミサイトです。ネガティブな意見も原則公開しています。
MyClinic
こちらも、病院およびクリニックの検索ポータルサイト。口コミに関しては、「おすすめしないポイント」のみしか掲載していません。
そのほか、「病院なび」「ホスピタ」「医療総合サイトQlife」「エストドッグ」などの口コミサイトも存在しますが、これらのポータルサイトに書き込まれた口コミに関しては、悪い口コミが入った場合に削除できるかどうかなどはサイトごとに異なります。
病院やクリニックの口コミはどこに書かれる? ②Google マイビジネス
そしてもっとも口コミが集まりやすいのが、「Googleマイビジネス」です。Googleマイビジネスとは、Googleが提供している無料のローカルビジネス登録サービスです。Googleの検索エンジンを使った利用者に「地域名、キーワード」などで検索されると、 その他店舗同様、病院やクリニックも表示されます。Googleマイビジネスに登録されている店舗や病院、クリニックに対して、Googleアカウントを持っているユーザーは自由に口コミを入れることができるので、病院系専用口コミサイトと比べて口コミが入りやすいだけでなく、利用者の目に入りやすいのもポイントです。
「悪い口コミ」とはどんな口コミ? どう対処すればいい?
続いては、ネガティブな口コミとはどんな口コミなのかをみていきます。もっともよくありがちなのが、「待ち時間が長い」「医師やスタッフの態度が悪い」「院内に清潔感がない」「散々待たされたのに診察時間はめちゃくちゃ短かった」「症状が改善されなかった」などでしょう。
これらの口コミに対してできることのひとつめが、「口コミに対してお礼と謝辞を述べること」。「このたびは不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」と「ご指摘くださりありがとうございます」のメッセージを返して、改善に励みましょう。たとえば、待ち時間に対してクレームが入ったなら予約システムを見直すのも一手ですし、スタッフの態度に対するクレームなら、スタッフの教育に力を入れるなど、できることはたくさんあります。また、もし現状でも問題ないと感じているとしても、「さらに質を上げるにはどうすればいいか?」を考えるよい機会となりえます。
「悪いことを指摘された」ではなく劣悪な内容の場合はどうすればいい?
では、病院の実態とはかけ離れていることや、根拠のないことを書き込まれた場合はどのように対処すればいいのでしょうか? Googleマイビジネスでは、残念ながら登録者側で口コミを削除することや口コミを非表示にすることはできません。そのため、誹謗中傷などの口コミを削除するためには、Googleに報告して依頼しなくてはなりません。
依頼方法は簡単。Googleマイビジネスにログインして該当する口コミを選択したら、「その他アイコン」→「不適切なクチコミとして報告」をクリックします。
ただし、削除依頼をおこなえばすべての口コミが削除されるというわけではありません。まず、不適切なクチコミとして報告できるのは、Googleのポリシーに違反している口コミのみ。「自分たちのミスを指摘されたことが気に入らない」などの理由では報告することさえできないので注意が必要です。
もうひとつの方法として、「Googleマイビジネスのアカウント自体を削除する」という手もあります。削除する場合は、Googleマイビジネス管理画面のメニュー一覧から「情報」をクリックすると、「Google上でこのビジネスを休業または閉業する」の画面が表示されるので、この画面で「リスティングを削除」をクリックします。
このあと、本当に削除していいかどうかの確認画面が表示されるので、この時点で「削除」をクリックすると削除することができますが、写真や投稿、動画など、リスティングに含まれているすべてのコンテンツが削除されるので注意が必要です。後々必要になりそうなものに関しては、削除前に必ずバックアップをとっておきましょう。
「悪い口コミ」の何倍もの「よい口コミ」を集めることに力を入れるのも一手
「意見に対しての真摯な対応」「誹謗中傷への措置」を心がけていても、悪い口コミをゼロにすることは難しいでしょう。たとえば、まったく同じ受付の対応、まったく同じ医師の診療を受けたふたりの患者がいたとして、そのふたりが病院に対して抱く感情が同じかというとそうではありません。一方が「この病院にしてよかった。また来よう」と思っても、もう一方は「他の病院にすればよかった。二度と来たくない」と思うかもしれません。しかし、一人ひとりに対して誠実に向き合い、質の高い医療を提供しようと努力を続けていれば、大多数の人はその姿勢を買ってくれるものです。たとえ自院では治療が難しい病気で他院を紹介する結果になったとしても、「いい病院を紹介してくれてありがたい」とコメントが入る可能性が高いでしょう。
その結果、「よい口コミ」が「悪い口コミ」の何倍にも増えたら、「悪い口コミ」に注目するユーザーは減る傾向にあります。また、「よい口コミ」を積極的に集めるための施策を取ることもできます。たとえば、会計時にGoogleマイビジネスのQRコードを記したチラシを渡して、「よろしければ口コミにご協力ください」の声をかけるのもいいでしょう。ひとりでも多くの人にいい口コミを書きこんでもらうための努力は、集患・増患という結果に結びつきます。また、口コミ数を増やすためにMEO対策に力を入れることも、来院率アップにつながることは言うまでもありません。本格的にMEO対策を講じようと思ったらそれなりのコストが必要ですが、結果的によい口コミが増える可能性が高いことを考えるとメリットは大きいでしょう。
悪い口コミを自ら書き込み、「うちなら削除できます」と連絡してくる悪徳会社には要注意!
最後に、悪い口コミをできる限り減らしたいというクリニック側の心理を利用した悪質詐欺について解説します。Googleマップ上で、ターゲットとするクリニックに故意に悪い評価をつけ、第三者が書いたものを見つけたと装って「有料で削除します」と連絡してくる悪徳会社の存在が、近年、問題視されています。ただし、問題視されているとはいえ、具体的な対策法が確立されていないのが現状です。今後、Google側でも対策を強化していくことが予想されますが、それまでの間に、騙されて高額な金銭を要求されることのないよう十分気を付けてください。