患者の受診満足度を調べる「受療行動調査」とは? 結果から見えてくる「これからのクリニック」!
『厚生労働省』では3年ごとに「受療行動調査」を行っています。これは、患者さんの医療満足度について調べるものです。クリニックに来院する患者さんを増やすためには、個々の患者さんの満足度を上げる必要がありますから、この調査結果は大いに参考になるはずです。そこで、最新の「平成29年受療行動調査(確定数)の概況」から医師・クリニック院長が注目すべきポイントをピックアップしてご紹介します。
インターネットでの情報発信は非常に重要!
まず、以下の「外来-入院、年齢階級別にみたふだん医療機関にかかる時の情報の入手先」(複数回答)です。
外来・入院の際になんらかの情報を入手している人は全体の「77.7%」になります。約8割が情報を入手してから、外来先、入院先を決めているのです。
この患者さんが何から情報を得ているかですが、全年齢を合算すると以下のようになります。
医療機関にかかるときの情報の入手先(外来)
第1位 | 家族・知人・友人の口コミ | 70.5% |
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第2位 | 医療機関が発信するインターネットの情報 | 21.2% |
第3位 | 医療機関の相談窓口 | 16.4% |
第4位 | 医療機関・行政機関以外が発信するインターネットの情報 | 12.1% |
第5位 | 新聞・雑誌・本の記事やテレビ・ラジオの番組 | 5.3% |
※複数回答可、「その他」回答は除きました
「口コミ」が「70.5%」と圧倒的ですが、インターネットで情報を集める患者さんが第2位、第4位となり、合わせれば「33.3%」と1/3に達します。
この「医療機関が発信するインターネットの情報」と回答した患者さんを年齢階級別に分けると以下のようになるのです。
「医療機関が発信するインターネットの情報」と回答した人の割合
0~14歳 | 35.9% |
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15~39歳 | 37.4% |
40~64歳 | 32.2% |
65~74歳 | 14.0% |
75歳以上 | 8.3% |
64歳までと65歳以上で全く数字が異なります。64歳までの患者さんを集めたいのであれば、ネット上での情報発信が非常に重要であることが分かります。
では、65歳以上の患者さんはどこから情報を得て来院先を決めているのでしょうか? 以下をご覧ください。
「医療機関の窓口相談」と回答した人の割合
0~14歳 | 8.8% |
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15~39歳 | 6.7% |
40~64歳 | 11.3% |
65~74歳 | 18.6% |
75歳以上 | 23.8% |
高齢の患者さんは医療機関の窓口相談から情報を得ていることが多いのです。
「予約」をして来院する患者さんが増加!
次にご注目いただきたいのは「予約」についての結果です。近年、医療機関にかかるのにも予約してから出向く人が増加している、といわれます。それを立証するデータが出ています。
外来患者の予約の状況(総数)
2014年(平成26年)予約をした | 68.2% |
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2017年(平成29年)予約をした | 71.4% |
ついに来院を予約する患者さんが7割を超えました。2020年の新型コロナウイルス騒動で、この「予約をしてから来院する」という傾向はさらに強まったものと考えられます。これからのクリニックには「予約への対応」がより求められるのです。
患者さんはよそのクリニックに行く!
外来の患者さんに「最初の受診場所」を聞いた結果にも注目してください。「最初から今日来院した病院を受診」「最初は他の病院を受診」「最初は診療所・クリニック・医院を受診」の3つに分かれるのですが、2014年との比較を見てください。
最初から今日来院した病院を受診(総数)
2014年(平成26年) | 57.6% |
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2017年(平成29年) | 53.9% |
最初に受診した病院との回答は減少しました。つまり、患者さんがよその病院に行ってしまう傾向が強まっているわけです(この調査では原因までは踏み込んでいない)。患者さんのロイヤルティーを高めるための施策を打たないといけない時代だというわけです。
まとめ
このように、最新の「受療行動調査」の結果は非常に示唆に富んでいます。インターネットでの情報発信に注力すること、予約対応力を上げること、患者さんのロイヤルティーを高める努力を怠らないこと、少なくともこの3つは重要だと教えてくれているのです。これからのクリニックのありようが読み取れるのではないでしょうか。
参照・引用元:『厚生労働省』「平成29年受療行動調査(確定数)の概況」