患者の言葉を医師に的確に伝える「医療通訳」とは?
現在はコロナ禍のため中断されていますが、高度で安心できる医療を受けるために日本を訪問する外国人の皆さんは年々増えています。しかし、問題になるのは言葉です。患者さんの主訴がきちんと医師に伝わらなければ、診療も難しくなります。
そこで登場するのが「医療通訳」です。患者さんの言葉を医師に的確に伝えるためには、医療現場で使われる言葉について精通していなければなりません。
今回は、医療通訳の派遣サービスを提供している『株式会社JM International』の金泉代表取締役に取材しました。
医療通訳なので間違いは許されない
群馬県前橋市にある「株式会社JM International」では医療ツーリズム事業も行っており、中国・モンゴルの患者さんが日本で診療を受けられるようにしています。この流れで医療通訳の派遣サービスも提供しているのです。同社では、医療資格を持ったスタッフを中心に構成して患者さんが最適な診療を受けられるよう留意しているとのこと。
同社の医療通訳サービスは、基本的には患者さんが申し込んで利用するものです。利用金額は「1時間:6,000円[税別]」です。
利用の流れは以下のようになります。
- WeChat(微信)や問い合わせフォームから申し込み(仮申し込み)
- 前払い金の支払い
- 受診
- 前払い金との差額の支払い
※交通費は別途実費(派遣先が群馬県内の場合、交通費は無料)。 事前予約制。原則、前日までに申し込みが必要。
WeChatは簡単にいえば中国版のTwitterで、利用者は全世界で7億5,000万人以上といわれ、決済も可能で、中国では社会インフラのように使われています。そのため、WeChatからも申し込めるようになっているのです。また、仮申し込みの際にはパスポートの提出を求め、IDを確認します。その上で、前払い金の振り込みが確認できたら実際に医療通訳スタッフを指定のクリニックに派遣するという段取りです。前払いは2時間分が必要ですが、実際の診療は1時間で終わった、あるいは3時間かかったといったことがあり得ます。そのため、最後に差額の精算を行うのです。
また、「株式会社JM International」では、通訳を派遣するのではなく、電話あるいはインターネット経由のビデオチャットによる医療通訳サービスも行っています。この場合の料金は「1回2,000円(30分まで)」です。
金代表取締役に伺ったところ、最も注意している点は「命に関わる医療の分野での通訳なので、患者さんの言っていることを正確に伝えること」、また「医師の説明を医学的に正確に患者さんに伝えること」だそうです。
金代表取締役は群馬大学大学院で学んだ経験をお持ちの医師ですが、医学的に正確な知識を持っていることを最重視して通訳スタッフをそろえているとのことでした。
クリニックからの依頼もOK
「株式会社JM International」では、患者さんからではなくクリニックからの依頼も受けているとのこと。もし、医療ツーリズムで中国・モンゴルから患者さんが来るようでしたら、クリニックでの利用を考えてみるといいでしょう。
まとめ
「株式会社JM International」では、今回のコロナ禍を奇貨として日本の医療をオンラインで受けられるシステムを構築するように動いているとのこと。医療ツーリズム、医療通訳といった自社サービスを統合するプラットフォームの制作です。
日本でもコロナ禍のために「診療予約システム」「オンライン診療」の利用が急拡大しました。IT技術を利用すれば、より簡便に国境を超えた診療が可能になります。中国の患者さんが日本の医師の診療を受けるなんて当たり前。そんな時代が来るのかもしれません。