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厳しい指導で研修医から恐れられる有名医師が、医療の道を志した理由とは?

厳しい指導で研修医から恐れられる有名医師が、医療の道を志した理由とは?

厳しい指導で研修医から恐れられる有名医師が、医療の道を志した理由とは?

わたしの職場には、近隣の県の医療関係者にもよく知られている有名な医師がいます。適切な治療の選択をおこない、実績も上げているため、県をまたいで受診にくる患者も多く、新患も後を絶ちません。しかし、有名な理由はその点ではありません。研修医やローテーションのレジデントへの指導が厳しいことでよく知られているのです。そのため、若手の医療関係者には恐れられている一面もあるのですが、その医師が自身の専門分野を究めた背景には、感動的な背景がありました。

治療の腕は確か。でも指導が厳しすぎて憂鬱に感じる研修医も多数

わたしは、その医師と数年間一緒に働いてきました。働き始めてすぐ、近隣の県の医療関係者にまで噂が広がっていることに納得。治療は適切で、患者もその家族の満足度もとても高かったのですが、診療においては必要最低限しか会話せず、笑顔を見せることは少ない印象でした。研修医や医局に所属しているレジデントらは、「あの病院は症例も豊富だから勉強のためには回るべきだけど、できればローテーションに組み込みたくない」と言っていたほど。「あの病院で働く1年間は憂鬱だ」とみんなが口をそろえて言っていたのです。

酒の席での会話をきっかけに、印象が激変

しかし、数年経ったある日、わたしの中でその医師の印象が大きく覆される出来事がありました。

その日、4~5人の仲間たちと食事を楽しんでいたところ、ほどよくお酒が入ったこともあり、医療関係者の間ではよく会話にのぼる「なぜこの仕事を志したのか」という話題になりました。

その場にいたみんなが、自分が医療の道を志した理由を順番に話し、最後にその医師の番となりました。

生死をさまよう患者のためにできることを追求したかった

医師が勤めているのは呼吸器内科医。気胸や肺炎の治療はもちろん、肺癌の積極的治療や、終末期の疼痛コントロールや症状コントロールまでおこなっています。では、なぜ呼吸器内科を選んだかというと、「人が死ぬときは呼吸が止まるか心臓が止まるかのどちらかだから」。

呼吸器内科の領域を究めることで、生死をさまよう人を救うことができるかもしれないと考えたのだといいます。

「この診療科を選んで以降30年以上経つが、その想いは一度も揺るいでいない」。そう話す彼に、そうした考えに至るきっかけがあったのかと尋ねましたが、特別な経験があったわけではなく、医療を学ぶうちに、命が絶えるかもしれない瞬間に自分にできることを考えるようになったとのことでした。

その想いを胸にひたむきに努力を重ねた結果、患者から頼られる存在となり、後輩の医師たちには恐れられつつも、自らのスキルや知識をフルに活かして後進の育成に励んでいるのです。

理由を聴いて感動した翌日、職場で変化はあったのか……?

研修医やレジデントから恐れられている医師が、その医師たちと同じ年齢のころに熱い想いを持って呼吸器内科を選んだ理由を聞き、その場では何も言えませんでしたが、心の中でとても感動していました。

翌日になり、一緒に働くスタッフのうち数名は、この医師が呼吸器内科医となった理由を知っているのだな、と少しわくわくした気持ちで勤務先に向かいました。

同時に、話をした本人は、口に出したことで研修医時代の気持ちに戻り、少し指導がやわらかくなっているのではないかと期待しました。

しかしその期待は現実のものとはならず、その日もいつも通り、研修医とレジデントに厳しく指導をおこなっていました。わたしは、研修医やレジデントらに、医師が呼吸器内科を選んだ理由を伝えてみたいと思いながらも、今はそっと指導する様子を見守っています。

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