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看護実習で悔しい思いをしたことから医師になった話

看護実習で悔しい思いをしたことから医師になった話

看護実習で悔しい思いをしたことから医師になった話

看護師になるためには、看護専門学校や大学で勉強して、国家資格に合格することが必要です。看護学校では、座学のほか、学校内での実技講習や実習などで学びます。膨大な勉強に膨大なテスト、長期に渡る実習をおこなっていきますが、その中でも一番辛いのが実習です。その実習で辛い思い、悔しい思いをしたことから、看護師から医師に転向した人がいました。今回は、そのエピソードについてお話します。

看護師の実習

看護専門学校や大学で一番辛いのが病院での実習だということは、すべての看護学生および看護師になった人が感じていることでしょう。実習では、実際に患者さんを受け持たせて頂き、看護展開をおこないます。1年生のうちは2~5日間の基礎実習になりますが、2~3年になると成人実習となるため、1回の実習で3週間程度いきます。1回の実習が終わると、翌週からまた次の実習がスタート。これを卒業間際まで続けていきます。

なぜ辛いかというと、以下の5つの理由が挙げられます。

  • 事前学習が膨大
  • 実習先看護師のあいさつがない
  • 指導者が怖い
  • レポートが多い
  • 体調不良でも休むことが難しい

それぞれ具体的にみていきましょう。

1. 事前学習が膨大

看護実習では、事前に患者さんの情報を渡されます。どんな症状、病名で入院したか、年齢、既往歴、家族構成などさまざまある情報をもとに、勉強して実習に臨みます。そのため、1人の患者さんだけで本が1冊出来上がってしまうほどの量になります。パソコンの使用やコピーを許されている学校もありますが、すべて手書きでおこなわなくてはならない学校もあるため、場合によっては実習までに間に合わず、実習が始まってからも準備に追われる人もいます。

2. 実習先看護師のあいさつがない

看護学生は、実際の臨床を学ぶため緊張します。なかには、その緊張から体調不良になってしまう学生もいるほどです。病院に足を踏み入れ、病棟に向かう最中にもさまざまな職員とすれ違います。そして、病棟につき看護師にあいさつをしますが、ほとんどの先輩方はあいさつを返そうとしません。私自身も経験がありますが、本当に信じられませんでした。すべての看護師があいさつをしないわけではありませんが、実際に少なかったことを覚えています。しかも、それが実習中ずっと続きます。学生からすれば恐怖でしかありません。

3. 指導者が怖い

指導者の存在は一番の恐怖です。実習では、実際に入院している患者さんを受け持ちます。そのため、学生は患者さんに対して、1日どのようにして看護をおこなうか行動計画を立て、それを指導者の前で発表します。これがとにかく苦痛で仕方がなりません。行動計画を発表すると、「なぜそれをおこなうの?」「その目的は?」「それをやることでどんな結果が得られるの?」など、「なぜ、なぜ」と嫌になるほど質問攻めにあいます。そして、答えられないと患者さんを診させてあげられないと言われることもあるので、毎日が緊張でしかたかありません。

4. レポートが多い

実習をおこなうと日々レポートを書かなくてはなりません。実習で患者とどう関わり、どのように考え、今後どのようにしていくべきかを書いていきます。このレポートは、実習中に書くこともできますが、到底終えることではできません。学校に戻ったり、自宅に帰ったりしてから続きを書きますが、1日に書くレポート量が多いため、書き終えるころには深夜になることもあります。また、翌日には指導者に発表する行動計画を考えなくてはならないため、ほぼ毎日が不眠状です。

5. 体調不良でも休むことが難しい

実習はカリキュラムが決まっているため、実習を欠席すると再実習や留年になることもあります。毎年カリキュラムは変わってきているようですが、私が学生時代には1日すら休むことが許されない程でした。不眠が続き、体調不良となり一度だけ欠席をしたことがあります。たった一度の欠席すら「再実習の可能性がある」と教員に言われました。その実習では成績が良かったため再実習になることはありませんでしたが、それほど厳しいぐらいでした。それからというもの、どんなに体調不良だろが熱を出していようが、薬を服用してでも実習へ出席していたことを覚えています。

以上が看護実習で辛い5点になります。なかには、共感できる内容もあるのではないかと思います。

実習で悔しさを感じた看護学生

その看護学生は、勉強やテスト、実習のすべてにおいていつも高得点で、学校の中でも成績は常に1位でした。しかし、いくら成績がトップであったとしても完璧ではありません。わからないこともあれば、指導者に怒られることもあります。きつく叱った後はフォローするのが学校教員の役目でもありますが、そのときの担当教員はフォローせず、勉強不足である本人のせいにしました。レポートの内容を見ていても、非の打ち所がないほどのように感じてはいましたが、指導者からみたら癇に障ったのでしょう。指導者はその看護学生に質問攻めまでしていました。

実習の最中に退学届け

その看護学生は、指導者、教員の理不尽な対応に腹を立て、実習の最中に退学届けを出しました。同じグループだった私たちはもちろん驚きました。最初は、実習の大変さについていけず学校を辞めるのではないかと噂されていましたが、その学生は「看護師じゃなくて医者になる」と決めたそうです。理由は、「実習先の指導者や教員を見返すため」でした。そんな理由で医師になってもよいものだろうかと感じましたが、本人の決意は固かったようです。

医学部に合格

その看護師は看護学校を辞めたと、受験勉強に励みました。もともと頭は良く、医学部に入学しようと思えばできるぐらいの成績はあったようですが、金銭面的なことも考えて看護学校に決めたということもあり、翌年、1発で医学部へ合格。医師の道へ進みました。

医師免許の取得

その学生とは連絡をずっと取っていませんでしたが、あるとき「医師免許を取得した」と連絡がありました。医師免許を取得した後はどうするのか聞いてみましたが、大学病院で消化器外科を専攻し、経験を積んだら〇〇病院に行くと話したのです。その〇〇病院とは、その人が看護学生時代中退した実習先の病院でした。正直驚きましたが、あの日にあったことをずっと忘れていなかったようです。そして、その病院には教員も来るため、見返させると話していました。

実習先の病院へ入職

それから数年たって、その人は〇〇病院へ医師として入職。あれから10年近く経っていたため、あのときの指導者はいないのではないかと思っていたようでしたが、まだ働いていたようです。そして、入職して数日が経ったとき、に「私のことを覚えていますか」と聞いたようですが、もちろん指導者だったその看護師は覚えていません。不思議そうな顔をしていたようですが、「10年ほど前に実習の最中に学校を辞めた学生がいませんでしたか」と聞いたところ、珍しいことであったためそれは覚えていたようです。「あれ、私です」と話すと相手も「医者になったの」と大変驚いていたようです。

実習の思いを胸に

その病院に就職したときには、その看護者はすでに学生担当から外れていたようです。そして、そのときにされた同じようなことを、今度は医師という立場から仕返ししたそうです。数ヶ月間にわたりおこなっていったようですが、その看護師も耐えられなくなってきたのでしょう。数十年いた病棟から異動届けを提出したそうです。

また、その病院では、まだ当時いた看護学校の学生を実習先として受け入れていたそうです。そのため、まだその教員が働いていれば会うのも時間の問題であろうと思っていたそうです。結果、案外早い再会でした。その教員はもちろんそのときの学生を覚えています。ですが、まさか看護学校を辞めて医学部へ進学しているとは思わなかったそうです。その教員にも「あのときの悔しさがあったから医師になれた」と直接話したそうです。

看護師から医師は異例

医療の中でも、看護師から臨床工学技士になった、理学療法士になったというケースはいくつか聞いたことがありますが、看護師から医師になったケースは特殊中の特殊でしょう。まず、どんなに実習が辛くて中退はすることはあっても、簡単に医師を目指そうと思う人はいません。しかし、どんな理由があったにしろ、その人の原動力となったことには間違いはありませんし、医師免許をとったからといって、間違った使い方はしていないと自負しているようです。また、当時の辛かった経験から、今は医師であったとしても、看護学生には人として関わり、優しく接し、ときには病気に関することも教えていると話していました。

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