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モンスターペイシェントへの対応

モンスターペイシェントへの対応

モンスターペイシェントへの対応

私は現在、総合病院の外科病棟で働く看護師です。病院には、たくさんの患者さんが通院したり、入院したりしています。患者さんの中には、医療従事者が頭を悩ませてしまうようなモンスターペイシェントも存在します。今回は、そんなモンスターペイシェントへの対応について、実際の周りの医療スタッフの声や私の体験をもとに紹介していきます。今回の記事が、より良い病院運営に繋がればと思います。

モンスターペイシェントとは

モンスターペイシェントとは、医療従事者や病院側に理不尽で自己中心的な要求を繰り返し、一方的に不満をぶつけてくるような患者さんのことです。多くの患者さんは、病気や治療に対するストレスを抱えています。そのようなストレスを医療従事者へぶつけ、発散する患者さんも存在します。モンスターペイシェントへの対応については、多くの医療スタッフが悩んでいますし、精神的にも負担が大きいです。

モンスターペイシェントの存在は医療現場でも問題になっており、モンスターペイシェントへの対策や対応は、病院全体で考え、取り組まなければいけないことの1つとされています。医療スタッフとして働いていれば、時にはモンスターペイシェントの対応をするケースもあると思います。私も入院中のモンスターペイシェントの対応を強いられたことがありますので、その実際の事例について次の章で紹介していきます。

モンスターペイシェントの事例

一言にモンスターペイシェントと言っても、さまざまなタイプの患者がいます。私や私の周りの医療スタッフが実際に対応したことのあるモンスターペイシェントについて、パターン別に紹介していきます。

何かにつけ文句を言う

この患者さんは、入院した当初から何かにつけ文句を言う患者さんでした。例えば、配膳の際に声かけをしても反応がなく、オーバーテーブルの上にお食事を置く際に、テーブルの上にあった私物を少しずらしました。すると、「人の物をかってに触るとはどういうことだ!」と急に声を荒げたのです。対応したスタッフは謝ることしかできず、泣き寝入りをしてナースステーションに戻ってきました。

また別の日には、以前このようなことがあったと知っていたため、配膳の際に声かけをしてそのままオーバーテーブルの上に配膳しました。もちろん、こちらの声かけに対しては、聞こえているのに全く反応はなく、無視です。配膳した際にトレイが、オーバーテーブルの上にあった新聞の上に少し重なりました。すると、「人の新聞の上に物を置くとはどういうことだ!」と文句を言ってきました。

この患者さんは、このように細かいことを挙げるとキリがない程、たくさんのクレームを付けてくる方でした。言っていることも二転三転するため、医療スタッフは、対応に悪戦苦闘したものです。

すぐに感情的になる

モンスターペイシェントで多いのが、すぐに感情的になり、怒ったり怒鳴ったりする患者さんです。例えば、私の働く病院では、翌日にCTや胃カメラなどの検査がある際には、前日に用紙を患者さんのもとに持っていき、検査の詳しい説明をします。その説明用紙の中には検査時間も記載されてあり、説明の際には、「急遽、他の患者さんの検査が入ることもあるので時間が前後することもあります」と説明します。

検査当日、臨時で検査する外来の患者が多かったため、検査時間がおしていました。すると、その患者さんは、「いつになったら検査に呼ばれるんだ! 時間をしっかり守れよ!」と怒鳴ってきたのです。前日に説明した通り、時間が前後することもあることを再度伝えた際にも、「それは病院側の都合だろうが!」と一向に理解を得られず、怒りがおさまらない様子です。

最終的には、看護師では収拾がつかず、医師に説明をしてもらうことになりました。この患者さんはこの他にも、時間が少しでもずれたりするたびに苦情を言ってくる患者さんで、ものすごい剣幕で怒ったり怒鳴ったりするため、新人の中には、対応中に泣いてしまうスタッフもおり、医療者側の精神的な負担が大きい患者さんでした。

前の病棟と比較する

入院慣れしている患者さんでよくあるのがこのパターン。既往歴がたくさんあり、入退院を繰り返し、さまざまな病棟に入院することがあった患者さんの事例を紹介します。その患者さんは、循環器内科や整形外科、消化器内科など、さまざまな疾患を抱え、これまでに入退院や転科・転棟を繰り返していました。消化器内科での入院後に、手術をする方針となり、私の働く外科病棟に転棟してきました。

入院慣れしているためか、受け持つ看護師に対しては、まず一言目に「君は何年目なの?」と確認してくるような患者さんでした。経験年数が浅い看護師に対しては、横柄な態度を取ったり、わざと難しい質問をしたりして、答えられなかった際には、「こんなこともわからないでよく処置できるな。知識もないやつにみられたくない」などと受け持ち担当から外すことを要求してくる患者さんでした。

この他にも、例えば、治療上制限されている食べ物や外出を希望しても、現在の状態では許可できない状況の際に、その旨を説明をしても、「前の病棟では良かったのにどうしてだめなんだ」と怒ってきますし、看護師の対応に対しても、「前の病棟の看護師は、優しかったのに、ここの看護師は全然だめだな」と、ことあるごとに比較するような患者さんでした。後々聞いた話ですが、この患者さんは、その後、他の病棟に転棟したのですが、そこでも前の病棟と比較して文句を言っていたそうです。

問題を大きくしようとする

次に紹介するのは、何か自分の思い通りにならなかった際や看護師がちょっとしたミスをした際に、すぐに「お前じゃ話にならん。上のやつを呼べ」などと怒鳴り、問題を大きくしようとする患者さんです。

私の経験した事例では、退院する患者さんで、退院時に処方される薬があった患者さんだったのですが、退院当日に「この薬も欲しい」との希望があり、退院当日に急遽処方が増えました。受け持ちの後輩看護師は、退院を急ぐ患者さんに対して「すぐには薬は用意できないので少し待ってほしいです」との説明をしたのですが、後輩の対応に不満を持った患者さんの対応を任され、私が代わって対応しました。だれがいっても、薬の処方が早くなるわけでもありませんし、待っていただくことしかありません。その旨を丁重に伝えましたが、納得されず、「どうして退院する患者を優先しないんだ。俺はあとは帰るだけなのに何なんだ」と怒りがおさまらない様子です。

結局、「お前じゃ話にならん」とのことばを繰り返し、看護師長が説明に行き、最終的には、「病院の1番偉いやつを呼べ。システムを変えないとだめだ」などとよくわかない主張をした患者さんでした。この患者さんは、入院時からクレーマー体質で要注意人物だったのですが、最後の最後まで対応に悩まされました。

モンスターペイシェントの注意点

モンスターペイシェンに対応することになった場合、まずはその患者さんの訴えによく耳を傾け、何に不満を持っているのか、どうしてほしいのか理解するようにしていくことが必要です。例え、その訴えが理不尽なものであったとしても否定はせずに、丁寧な言葉遣いや対応を心がける必要があります。

患者さんの中には、医療従事者側の対応によっては、弱みを見せると逆に横柄な態度になったり、怒り出したりする人もいます。そのため、毅然とした態度で対応することも大切です。要求がエスカレートした場合には、金銭の問題や暴力行為をする人も中にはいます。そのため、興奮したり、怒りを助長させたりしないように注意する必要があります。

毎回、自己中心的な要求をしたりする患者さんに対しては、医師と相談して、「うちの病院ではもう診ることはできない」としっかりと主張して出入り禁止にする方法もあります。逆恨みして病院に火をつけたり、病院駐車場で車上荒らしをしたといった事件もあるため、医療従事者では手に負えないような状況となった場合には、警察や弁護士などに相談したりすることも必要になります。

モンスターペイシェントへの対応

モンスターペイシェントへの対応のポイントを以下にまとめます。

  • まずは、患者さんの訴えをよく聞き、話の途中で反論したり、さえぎったりしない
  • 毅然とした態度で接する
  • 患者さんが感情的になっている場合には、一呼吸置いてから話すようにする
  • 患者さんの意見の中で共感できる部分があった場合には共感する姿勢をみせる
  • 組織間で情報を共有し、連携して対応する

モンスターペイシェントの対応には時間やストレスがかかり、医療従事者側も大変な思いをすることが多いです。上記のような対応を心がけることでトラブルを静めることもできるため、参考にしてください。

モンスターペイシェントの多くの患者さんは、自己主張が強いです。そのため、話の途中でことばをさえぎったり、反論したりすると、感情的になってしまい、逆効果になってしまいますので注意してください。

相手が感情的になっている場合に、こちらも感情的になってしまえば、話をすることは難しくなってしまいます。そのため、一呼吸置き、冷静な口調で毅然とした態度で接することが大切になります。

患者さんの主張の中には、正しい部分や共感できる部分も必ずある場合があります。その場合には、共感している姿勢を見せることで患者さんが理解してくれたと感じ、怒りがおさまるケースもあるため、実践してみてください。

最終的には、スタッフ間で患者さんの対応や患者さんの苦情内容などを共有し、今後どのように対処していけばよいのか、話し合う必要があります。情報を共有することで次回に同じようなことがあった場合に、経験年数やスタッフに関係なく、一貫とした対応を取ることに繋がると思います。

今回の記事がモンスターペイシェントの対応について考えるきっかけとなり、今後のより良い病院運営に繋がればと思います。

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