【皮膚科医の年収事情】自由診療も増加中!
他の診療科と比べて、患者ひとりあたりの単価が低い皮膚科。たとえば、皮膚科で100人診たら得られる報酬を、内科の場合は40人診療すれば得られると言われますが、実際のところ、皮膚科で稼ぐことは難しいのでしょうか?今回は、皮膚科医の年収事情に迫ります。
皮膚科の勤務医の平均年収は1,078万円
まず気になるのは皮膚科医の年収です。労働政策研究・研修機構が実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」 によると、皮膚科の勤務医の平均年収は、眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科と丸め込みされていますが、1,078万円という結果でした。他診療科目と比較すると最下位という結果でした。
順位 | 診療科目 | 平均金額(万円) |
---|---|---|
1位 | 脳神経外科 | 1480.3万円 |
2位 | 産科・婦人科 | 1466.3万円 |
3位 | 外科 | 1374.2万円 |
4位 | 麻酔科 | 1335.2万円 |
5位 | 整形外科 | 1289.9万円 |
6位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267.2万円 |
7位 | 内科 | 1247.4万円 |
8位 | 精神科 | 1230.2万円 |
9位 | 小児科 | 1220.5万円 |
10位 | 救急科 | 1215.3万円 |
11位 | その他 | 1171.5万円 |
12位 | 放射線科 | 1103.3万円 |
13位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078.7万円 |
参考:勤務医の就労実態と意識による調査 – p.30 一部抜粋
また、皮膚科診療科目の年収毎の割合について、もっとも多いのが、年収1,000万円から1,500万円で全体の33.2%で、年収1,500万円から1,200万円の22%がそれに続きます。次に多い層が、全体の17.3%を占める年収700万円から1,000万円の層。年収2,000万円を超える皮膚科医は、全体のわずか4.2%です。
300万円未満 | 300万円~500万円未満 | 500万円~700万円未満 | 700万円~1000万円未満 | 1,000万円~1500万円未満 | 1,500万円~2,000万円未満 | 2,000万円以上 | 500万円未満・計 | 1000万円以上・計 | 平均金額(万円) |
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2.60% | 8.30% | 12.50% | 17.30% | 33.20% | 22% | 4.20% | 10.90% | 59.40% | 1078.7 |
参考:勤務医の就労実態と意識による調査 – p.30 一部抜粋
皮膚科医の開業医の平均年収は2,792万円。開業医になれば収入が大幅UP
ただし、皮膚科の場合、開業医になれば収入が大幅に上がる傾向にあります。厚生労働省が公表している「第22回医療経済実態調査報告 」を元に開業医の年間収入を算出した結果、開業した皮膚科医の平均年収は2,792万円であることがわかります。皮膚科医の勤務医の平均年収は1,078万円なので、差額としては1,714万円。かなりの違いがあります。
皮膚科の開業医は収益率が高い。その理由とは?
ただしもちろん、開業医の場合は、年間収入すべてが懐に入るわけではなく、そのなかから建物や手素日の修繕費などを捻出せねばならないため、手元に残る金額としては2,792万円よりも低いと考えられます。
それでも、皮膚科医にとって開業するメリットは大きいです。その理由は、他の診療科と比べて収益率が高いから。皮膚科は基本的に入院診療などをおこなわないだけでなく、救急外来などもほとんどありません。そのため、開業して軌道に乗ってくれば、自由な時間も手に入りやすく、比較的楽に稼ぐことができると言えるでしょう。
また、保険診療のみの皮膚科として開業するのではなく、美容皮膚科として自由診療もおこなえば、さらなる年収UPを目指すことができます。「ベースは保険診療に置きつつも、自由診療もおこなう」などもひとつの策といえます。
美容皮膚科として名声を得るためにはある程度の初期費用も必要
ただし、美容皮膚科としての診療もおこなうなら、その分、開業資金も膨らみます。
まず、保険診療の診察のみをおこなう場合を考えても、救急の患者などがほとんどいない皮膚科は、人通りのよい場所やアクセスのよい場所などを選ぶことが重要なため、土地や建物代も高めです。さらに、保険診療でより多くの収益を上げようと思ったら、多くの患者を受け入れることが必要なので、スタッフの雇用資金もおのずと膨らみます。
そこに、美容皮膚科としての自由診療も加えるとすると、レーザー治療機器をはじめとする高額な設備の導入が必要です。美容系の機器は一般的に1,000万円程度のものが多いうえ、多くの人は「最新・最先端の美容機器」「高額な美容機器」のほうが高い効果を得られると思いがちなので、よりよい器機をそろえているに越したことはありません。美容皮膚科を利用するということは、美容に大金をかけることができるという証拠。大金をはたいてでも美を追求したい顧客を納得させられるだけの機器をそろえると同時に、サービス向上やラグジュアリーな空間づくりにも投資が必要となってきます。
男性の美容意識も向上している令和は、自由診療をおこなうことで顧客増が見込める可能性が高い
ここ数年、美容意識が高い男性が増えています。韓流アイドルの影響もあってか、透明感ある美肌になりたくて美容皮膚科に通う男性が増えているのはもちろん、男性の全身脱毛もニーズが高まっています。そのため、美容皮膚科として開業すれば、これまでより多くの潜在顧客を呼び込める可能性も高くなります。
ただし、美容医療は他の診療科と比べてアップデートのスピードがダントツ。最新の美容医療を提供できるかどうかで、顧客数も年収も大きく変わってくるでしょう。
そのため、美容皮膚科として不動の地位を確立するためには、常に新しい知識や技術を吸収していくことがとても大切。その負担が自分には大きいと感じるなら、最初から保険診療のみの皮膚科として開業する選択肢もアリかもしれません。