クリニックの医療機器は新品でも中古でもいい?
クリニック開業時には、診療に必要な医療機器を用意しなくてはなりません。必要な医療機器は診療科や診療方針によって異なりますが、複数の医療機器を用意しなければならないとなると金銭的にも大変です。そこで検討したいのが、新品ではなく中古を導入すること。しかし、実際のところ中古医療機器で開業することに問題はないのでしょうか? 早速みていきましょう。
医療機器とは?
「医療機器」と聞くとレントゲンやMRI、CTなど大型のものをイメージする人がほとんどかと思われますが、医療機器には大小さまざまなものがあります。小物類であれば、メスやピンセット、体温計などが該当しますし、ペースメーカーや人工透析器、補聴器、心電計なども法律上は医療機器に分類されます。また、「医療機器規制国際整合化会合」によって、人体へのリスクが小さい順にクラスIからクラスIVまでの4つに分けられており、薬事法上は、クラスI=一般医療機器、クラスII=管理医療機器、クラスIIIおよびクラスIV=高度管理医療機器となります。
リスクが高い医療機器の販売には許可が必要
医療機器の「製造・販売業」に携わる業者は、クラスI~IVの区分ごとに届け出、認証、承認を得ることが必要とされており、「販売・貸与業」に携わる業者は、クラスII以上に関しては届け出や販売許可が必要です。届け出先などはクラスによって異なりますが、実際のところ、無許可で販売しているサイトなどは多数存在します。無許可で販売している業者は、時間やお金をかけて医療機器を管理していないため、不具合が起きる可能性が高くなります。そうなったとき、購入した側にも道義的な生人を負うことになるだけでなく、社会的信頼を失うことにもなりかねないので、まずは、新品であろうと中古であろうと、販売許可を得ている業者から購入することが大事だということを肝に銘じてください。
「中古医療機器」は具体的にはどれくらい古いの?
では、販売許可を得ている業者からの購入ならどんな医療機器でも安心なのでしょうか? その点を考えるにあたってまず気になるのが、「どのくらい古いのか」ということでしょう。中古医療機器市場に出回っている医療機器の多くは、5年から6年落ちの商品だと言われています。なぜかというと、新品購入時に5年のリース契約を結ぶ医療施設が多いためです。ただし、最近はリース契約という選択肢を選ぶ医療施設が少なくなっているので、中古医療機器市場は慢性的品不足にあるとも言われています。
5年落ち、6年落ちの中古を選ぶとどれくらい節約できる?
医療機器は、一般的に、発売から5年経過すると新品の半額程度にまで値が落ちると言われています。「5年しか使っていないのに1,000万円のものが500万円になっているなら安い」と感じるか、「5年も使っているから当たり前」と感じるかはドクターによって異なりますし、「当たり前」と感じても、資金面の事情から中古を選ぶドクターもいるでしょう。
中古でも問題が起きにくい機器、中古だと問題が起きやすい機器とは?
節約のために、いくつかそろえなければ医療機器のうち一部を中古でまかなうというのもよい選択です。では、どの医療機器を中古にしてどの医療機器を新品にするのが賢い選択なのかというと、まずは「中古でも問題が起きにくいかどうか」という視点から考えてみるといいでしょう。具体的には、おおまかに以下のように分類することができます。
中古でも問題が起きにくい機器
超音波診断装置、内視鏡システム、眼科機器などの画像診断系機器
これらの機器は長年使用しても劣化が少ないため、新品と比べて品質的にそん色ないと言えるでしょう。
婦人科診察台、手術台など
耐久性が高い医療機器のため、5年程度で使用に問題が出る可能性は低いでしょう。
そのほか、新品価格が高額な回診用X線撮影装置なども、中古を選ぶメリットが大きいでしょう。
中古だと問題が起きやすい機器
血液に触れる医療機器
機器内を清潔に保つことが難しく、故障しやすいため新品を選ぶほうが賢明です。
手術で使用する医療機器
人命に直結することがあるため、万が一のときを考えてリスクは最小限に抑えるべきです。
整形外科のローラーベッド
使用頻度が高ければ、見た目的にも劣化が目立つ場合があります。
中古を選ぶことで損したり納期が遅くなったりすることも
先に伝えた通り、中古医療機器市場は慢性的な品不足状態です。そのため、希望する医療機器が出回っていない場合は出るまで待たなければならない場合もあります。また、必要に応じて、売買契約後にメーカーの点検・修理を受ける必要があるため、納期まで時間がかかることもあれば、修理費用がかかることでかえってコストが高くなることもあります。そうした可能性があることをしっかり理解したうえで、後々後悔することのないよう販売先を決めてくださいね。