看護師が本当に怖いもの

看護師が本当に怖いもの

私は、総合病院の病棟でフルタイムで働く看護師です。今回は、実際に一緒に働く看護スタッフの声をもとに、看護師が最もこわいと思っているものについて、私の体験を通して紹介していきます。

病院で怖いものといえば……

皆さんが「病院・怖いもの・夜勤」という言葉から連想するものは何ですか? 多くの人が考えるのは幽霊でしょうか。正直、看護師になる前は、私も「夜の病院って怖いな」「よく看護師さん、こんな夜中に巡回できるな」などと思っていました。

病院では亡くなる人が多いため、怖い話を扱う夏の特番などを観ると、必ずと言っていいほど病院での怖い話が紹介されています。その影響で「病院=こわい」という発想になってしまったのだと思います。

一般的にもこのような考え方の人は多いと思います。しかし、私の中でこのイメージが崩されることとなったのです。それは、私が看護師として就職してからのことでした。

看護師にとって本当に怖いもの

私が看護師になったばかりの頃は、病院=職場となってしまったため、怖いなんて思わなくなりました。正直に言うと、仕事を覚えることでいっぱいいっぱいだった新人の頃は、病院での怖い話なんて考える余裕もなかったです。毎日仕事を覚えることに必死でした。

そして新人の頃に本当に恐れていたものは、怖い先輩看護師です。各病棟に必ず1人はいる、いわゆる"お局様"。何か失敗すると、お説教が始まります。今だとパワハラになりそうな言葉もたくさん浴び、涙を流したこともありました。新人時代は過酷で、同期同士でたまにごはんに行って愚痴ったりしながら、支え合って乗り越えたような感じです。

明らかに理不尽なこともたくさんありましたが、何とか乗り越えて仕事を覚えました。命がかかる仕事のため、先輩看護師も、「絶対に失敗できない」ということを教えないといけず、強い態度になってしまったのだと思います。

今ならそれがわかりますが、当時は怖い先輩看護師と夜勤が一緒だった日には、もう地獄でした。教えていただいたからこそ今の私があるのですが、当時は先輩には気を遣い、患者さんにも気を遣い、仕事では失敗できないプレッシャーがあり、心身共にぼろぼろでした。毎日毎日辞めたいと思っていた私が、今も看護師として働き続けていることが考えられないです(笑)

その当時は先輩看護師が怖すぎて、「幽霊なんて何もしないんだからいるだけならいいよ」くらいに思って働いていました。死んだものより、生きた人間が1番怖いと思います。そして、仕事や人間関係に慣れてきた頃に感じた怖いものと言えば、「急変」です。患者さんの病態が急変すると、バタバタして本当に大変になります。詳しくは、次の章で紹介いたします。

夜中に急変した患者の事例

今でも私にとって急変は1番怖いものです。一例として、夜勤中に急変した患者さんの話を紹介します。

私が心臓血管外科の病棟で働いていたときの話です。その病棟には心臓の手術をした患者さんが多く入院していました。術後は状態が不安定なため、急変のリスクも高く、重症度の高い患者さんが多くいた状態です。

心臓という臓器は命に直接関わっており、毎日休むことなく働いています。術後のため、不整脈が少し出ただけでも命に関わります。ときには人工呼吸器を使用した患者さんがICUから転棟してくることもあり、重症度の高い病棟でした。

そんな心臓血管外科の病棟で働いていた頃の話です。その日、私は夜勤だったのですが、急に患者さんの病態が悪化して医師に連絡すぐに駆けつけてくれました。緊急で手術が必要な状態とのことだったのですが、手術をするためには、手術室の看護師を呼び、手術室自体の準備も必要でした。しかし、患者さんの状態はみるみる悪化していき、手術室の看護師を待っている時間もない状態でした。そこで、なんと医師の判断によって病室で手術をすることになりました。前代未聞だったのですが、患者さんの命がかかっているので医師も私たち看護師も必死です。滅菌状態を整え、器具を各部署からそろえ、私は手術室の経験がないため、器具出しもわからない状態の中で手術が始まろうとしていました。

そんなときに活躍したのが、手術室経験がある先輩看護師でした。やはり経験がものを言うのだと、このとき実感しました。準備を進めているうちに手術室の看護師も到着して事なきを得て、患者さんの命も助かりました。患者さんはその後、ICUで治療を受けるために転棟しました。

さまざまな急変がありますが、このように患者さんが急変すると、看護師の判断や経験値次第で患者さんの命が助かるかどうか決まります。何が起こるかわからない状況は本当に恐ろしいです。経験値である程度カバーしたり、早めに異常に気づけたりするようになりますが、経験年数があったとしても、今回の例のように前代未聞のことは起こるものです。

このように急変を経験すると、急変が1番恐ろしいものになりました。急変時は、医療スタッフの力量を試されているかのようで本当に怖いです。目の前の患者さんの命が自分の手にかかっていると思うと、本当にプレッシャーで、何もなく夜勤を終えたときには肩の力が抜けます。

まとめ

今回は、看護師にとっての本当に恐ろしいものについて紹介しましたが、もちろん、先輩のおかげでいろいろなことを学べたので、今は怖いとは感じていませんが、新人当時は、本当に恐ろしかったです。

急変は今でも怖いです。急変時は、スタッフ同士の声かけやチームワークが本当に重要です。何をすればいいのかとっさに考え、何も言わなくても各自で考え、役割分担ができたようなときは、みんなで協力して乗り切った感があるので、スタッフ同士の絆が深まったような気がします(笑)

結局は、人間に関わることが1番怖いということですね。今回の記事が今後のより良い医療に繋がればと思います。

お役立ちコラムピックアップ

【医師の診療科ランキング】年収1位は脳神経外科。勤務時間は?

【医師の診療科ランキング】年収1位は脳神経外科。勤務時間は?

医師のエリートといえばどの診療科?さまざまな角度から考察してみた

医師のエリートといえばどの診療科?さまざまな角度から考察してみた

医療事務の平均年収とは

【医療事務の年収事情】契約形態毎にご紹介

オンライン資格確認 顔認証付カードリーダー 徹底比較

顔認証付きカードリーダーの特徴・機能比較

コロナで人と会えない孤独を救うインターネットは、入院患者にとって絶対必要なもの

9月末までの申請で、国の予算で自院に患者用Wi-Fiを導入できる!