病院の規模が大きくなるほど人間関係は複雑化、業務はずさん化しやすい

医療現場に限らず、どんな職場でも悩みのタネとなりがちなのが人間関係です。
それを理由に辞める方、そこを重視して職場を選ぶ方……さまざまにいらっしゃいます。
人間関係に悩まされることは、小規模な職場のほうが多いと思っている人もいるかもしれません。しかし、そうとは言い切れません。
母体であるクリニックや病院の規模が大きくなればなるほど、付き合う人も多くなるため、人間関係はより複雑になるからです。もちろん、小規模な職場にも、小規模であるがゆえの人間関係におけるトラブルがあるでしょうが、規模が大きくなれば、トラブルが自分では収拾できないほど大きく発展してしまうことがあるのです。
実際にわたしも、根も葉もないうわさが独り歩きして困った経験が何度もあります。
本記事ではそうした人間関係にまつわるトラブルをはじめ、大規模ならではの問題について紹介していきます。
何か問題を起こすと一巻の終わり
もし仕事中にミスを犯したとしても、病棟以外には知られることがないと思われる方もいるかもしれません。しかし、その考えは甘いです。
病院規模が大きくなればなるほど異動も頻繁になるため、「〇〇さんは前の病棟で××したらしいよ」と情報共有するかのように、病院全体に伝達されていきます。嘘のようで本当の話です。
実際わたしも、ある看護師がミスを起こしたことをコメディカルの方から聞いたことがあります。
病院内で起こったことは、同じ職種の人だけでなく、すべての職種の人に知れ渡ってしまうということをまずお伝えしておきます。
異動初日に悪口を聞かされる
ここからは、実際にわたしが体験したことを紹介します。
これは、わたしがとある病院で働き出して3年目になろうとしていたときのことです。その病院は、1つの部署に2年間勤務したら他の部署に異動になるとシステムでした。わたしも異動組になり、別の病棟に移ることになりました。
2年間働いた中で、他部署の看護師とは更衣室や委員会などで交流することがあったので、異動先に見知った顔がひとりもいないということはありませんでした。
異動初日、新たな気持ちで頑張ろうと、業務の流れなどを指導していただきお昼休憩に入ったときのことです。
ある先輩看護師がすでに休憩に入っており、同席させていただくことになりました。はじめは、「初日だけど頑張りすぎないでね」など優しい言葉をかけてくださっていたのですが、別の看護師も休憩に入り3人で談笑していたときでした。
「〇〇さん(わたしが以前いた部署の看護師)ってどんな感じの人なの?」と先輩看護師から尋ねられたのです。わたしはその看護師のことはとても慕っていたので、「とても仕事熱心で良くしていただいていました」と返答。すると、「あの人、前の病棟で××したから今の病棟に異動になったって聞いたから、なにか問題のある人なのかな~と思って」との言葉が返ってきたのです。
正直驚きました。
なんせ、わたしが先に「良くしてもらった」と言っているにも関わらず、その方の噂や悪口を言ってきたのですから。
その後もその話をしてきた先輩看護師は、ことあるごとにわたしの慕っていた看護師の過去に起こしたミスや問題ある言動などをわたしに話してきました。せっかく新しい部署で頑張ろうと思っていたのに、彼女がいることで気が滅入る日々を過ごすことになりました。
八方美人すぎる看護師
これは、多くの人が一度は経験するケースではないでしょうか。わたしが実際に遭遇した看護師についてご紹介します。
彼女は、病棟の副師長、中間管理職ということもあり、いろんな人の愚痴や悩みを聞く立場でもありました。
これだけ聞くと、頼もしい先輩のように思えるかもしれませんが、このタイプは敵に回すと一番やっかいだということが後々わかることとなりました。
日ごろから自分の意見をはっきりいう看護師がいました。
その看護師の評判は賛否両論ありましたが、わたしは比較的慕っている方でした。
ある日、副師長の先輩がその看護師に向かって、処置に対する指摘をしました。
すると、彼女は急性期やオペ室での勤務経験もあり、バリバリやってきた自信があるため、指摘されたことをプライドが許さなかったようでした。それまで、副師長にもの申す人はいなかったのですが、初めてその看護師が、「それはあなたのやり方でしょ?わたしのやり方でも間違っていないし、何かあなたに迷惑でもかけたの?」と反論したのです。
副師長は日ごろから比較的温厚なのですが、そのときばかりは見たことのない表情をしていました。
反論された直後は、「口出ししてごめんなさいね。そっちのやり方の方が効率的かも!」と柔らかく返答していましたが、後日、彼女の本性が出てしまったのです。
反論してきた看護師が休みの日、副師長は彼女の処置方法を全否定。その日出勤していた看護師全員に対して、「あの人のやり方は決して真似しないように」と申し送っていました。
それなのに、反論した看護師が出勤の日には、「いつも要領よくてすごいね。わたしにはできない」などと本人に言っていたのです。その姿を見たときには、その場にいた看護師一同鳥肌が立ちました。
その後、反論した看護師は別の部署に異動に。副師長が裏で動いた結果なのかどうかはわかりませんが、そのときは寒気がしました。
受け持ち患者を勝手に変える看護師
小規模の病院では、受け持ちの患者がコロコロ変わることはありませんが、大規模の病院となると変わることは多く、昨日自分がどの患者を受け持ったか思い出せないこともしばしばです。
そんな状況を逆手にとり、楽をしようとする看護師がいました。
認知症があり、一日に何度もナースコールを押す、みんなが手を焼いている患者さんがいました。
その患者を受け持った日には終始振り回され、他の患者さんに手が回せなくなることを誰もが知っていました。
そこで悪知恵を働かせる男性看護師がいました。
彼は極端にその認知症患者さんを関わることを嫌がっていました。ですが、彼も病棟看護師の一員。その患者を避けて働くことは不可能なのです。
ある日、同僚の看護師が、「〇〇さん(男性看護師)って△△さん(認知症患者)の受け持ちに全然ならないと思わない?」と言ってきました。
わたしは彼女に言われるまで気づいていませんでしたが、よくよく思い出してみると確かにそうなのです。
受け持ち患者の割り振りは前日のリーダー担当の看護師がすることになっていて、各自希望を出せるということはなく、ある程度公平に割り振られることになっていました。
ある日わたしは、その男性看護師とちょうど同じタイミングで出勤することがありました。
その日の担当を確認すると、認知症患者の受け持ちがその男性看護師でした。
珍しいなと思ってみていると、次の瞬間、彼がその患者の担当を新人看護師に変更したのです。
彼は先輩だったため、そのとき私は何も言うことができませんでした。しかし、あまりにもひどいと思ったので、後日、師長に報告しました。
その後、彼がその認知症患者の受け持ちを避けられなくなりましたが、患者からのナースコールも無視するなど、酷い勤務態度でした。
人間関係に加え業務もずさん?
次は、病院の規模が大きくなればなるほど、ずさん化する業務についてご紹介します。
ずさんな業務も見て見ぬフリ
これは大規模病院のあるあるといっていいほどよく目にしてきました。
具体的にどのようにずさんだったのか細かくご紹介します。
ゴミがベッド上に?
わたしが実際目にしたゴミは以下のゴミが別途の上にありました。
- 吸引チューブが入っていた袋
- おむつ交換時に使用した手袋
- 患者が食事に使った割り箸やスプーンなど
それがいつも寝ているベッドに落ちているの?と信じられない方も多いでしょうが、結構日常茶飯事だという病院もあります。
現在はコロナ禍ということもあり、患者のご家族が病棟まで入ってこられない状況のため、問題視されにくいですが、もしご家族に見つかるとなると大問題になりかねません。
わたしのいた病棟は看護助手さんが多くいたので彼女たちがだいたい片づけてくれていましたが、助手のいない病棟に移ったときはもう悲惨でした。
汚れている病衣や寝具も無視?気づかないの?と思った方、そう思うのは当然です。みんな見て見ぬふりをしているのです。
特に患者の布団は食べかすなどで汚れやすいので、適宜交換して常に清潔を保つのが決まりです。しかし、病院の規模が大きくなるとそれだけ業務内容も増えるため、患者の身の回りまで手が届かないのが現実でもあります。
言い訳に聞こえるかもしれませんが、お風呂が週に1回の患者であれば、着替えや寝具の交換もそのときのみしかおこなわないこともあります。
センサーのスイッチOFF
これも大規模病院あるあるで、転倒歴のある患者にはクリップタイプやマットタイプのセンサーを使用することがあります。それ自体は事故を未然に防ぐためのことなので良いのですが、多くの方がそのセンサーのスイッチをONにし忘れがちです。
定期的に開かれているリスクマネジメント会議でも、センサーのスイッチ入れ忘れは毎回数多く報告されていました。
まとめ
病院の規模が大きくなればなるほど、人間関係におけるトラブルが起きやすいだけでなく、業務がずさん化しやすいことがおわかりいただけましたでしょうか。
人手不足など言い訳を上げるとキリがないですが、これが現実なのです。
実際これらの事例は、大きな病院に限らず医療現場では日々起きていることなので、働く環境や業務内容などをしっかりチェックして、理想的な職場を見つけてくださいね。