カルテ入力のあれこれ
私は総合病院の外科病棟で働く看護師です。私の働く病院では、電子カルテを使用しています。そんな電子カルテ入力について、私の体験を通して以下の4つの要点に沿って紹介していきます。
- そもそも電子カルテとは
- 電子カルテのメリット
- 略語の多い医師のカルテ
- 理想の医療現場
今後の電子カルテ運用の参考になれば幸いです。
電子カルテとは
電子カルテとは、患者さんのバイタルサインや検査データ、看護記録や検査のオーダーなどのさまざまなものを、パソコンなどにデータとして入力が可能なシステムになります。電子カルテには、電子保存の3原則というルールが定められています。
1.真正性 | 責任の所在や虚偽入力や書き換えの防止 |
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2.見解性 | 肉眼で見読できること |
3.保存性 | 保存期間5年で復元可能であること |
これらのルールに従い、きちんと電子カルテの運用ができているのか調べるために、私の働く病院にも定期的に保健所の監査が入ります。
電子カルテのメリット
ひと昔前は紙カルテが主流でした。紙カルテのデメリットとしては、カルテが1患者1冊になるので、カルテに記載したいときに他の誰かが使用していれば記載できず、順番待ちになってしまうことです。また、手書きのため、人によっては字に癖があって読みにくく、情報収集する際に何と書いてあるのかわからず、解読するのに無駄な時間やストレスがかかったりします。記載する側としても、内容が長い場合は、書くこと自体が負担になります。置き場所も取るのでスペースも必要になります。これらのデメリットから、最近では、電子カルテが普及。総合病院などの大きめの病院はほとんど電子カルテを使用しています。電子カルテのメリットを以下に挙げます。
- 必要な情報を必要なときにすぐに検索できる
- 保管スペースを取らない
- パソコンやタブレットなどがあればどこからでも情報入力ができ、業務の効率化に繋がる
- 手書きよりも字が読みやすい
- 検査結果の取り込みが簡単でリアルタイムで情報確認が可能
- 紙カルテを探して医師に渡すような手間がなくなるので申し送りがスムーズにできる
- ペーパーレスになるので病院側としても節約になる
このように電子カルテにはさまざまなメリットがあり、今となっては医療現場では電子カルテはなくてはならない存在とされています。
略語の多い医師のカルテ
さまざまなメリットがある電子カルテですが、使用の仕方やスタッフの入力の仕方によっては、とても見にくいカルテになってしまうこともあります。実際の例を使って紹介しましょう。
医師の中には、略語の記載がかなり多い医師もいます。同じ科であればある程度は略語でも理解できるのですが、たとえば外科に入院中に血液内科にコンサルテーションをかけることになった際など、他の科の医師が英語だけ、しかもあまりにも略語だらけで記録すると、解読不能になります。確かに、医師は専門的な知識があり、頭が良いということは十分理解しています。
しかし、カルテはさまざまなスタッフが共有して見るものであるので、誰が見てもわかりやすいような情報入力の仕方が大切であると思います。院内で共通の略語などは使用してもまったく問題ありませんが、専門的すぎる略語だと、はっきり言ってよくわからず、毎回、電子辞書で調べながら確認して解読しなければいけなくなります。これでは時間がかかってしまい、業務効率化のできる電子カルテのメリットが全く活用できていません。
スタッフの間では、「自分が略語を知っていることを自慢しているようにしか見えない」といった声も聞かれています。プライドが高いと勘違いされてしまうことにもなりかねません。カルテ入力する際には、できる限り略語は避け、誰が見てもわかるような思いやりも大切になると思います。
理想の医療現場
私の考える理想の医療現場とは、電子カルテのメリットを最大限活用でき、効率の良い業務ができる医療現場です。電子カルテの普及によって本当にたくさんのメリットを感じているので、このメリットを最大限に活かして、患者さんのために活用していきたいと思います。
最終的には日本全国の全ての病院が電子カルテ化され、どこの病院に転職しても、電子カルテを使って働きやすい職場が整っていけばいいなと思います。